ドラマ『unknown』第7話、“心臓が止まるかと思った”ラスト。終盤に向け、残る謎を整理
<ドラマ『unknown』第7話レビュー 文:横川良明>
ラスト1分で心臓が止まるかと思った。
新たな犠牲者が出た『unknown』第7話。もはや誰が最後まで生き残るかわからないサバイバルデスマッチの様相を呈してまいりました……!(※以下、第7話のネタバレを含みます)
◆ここに来て伊織真犯人説が急浮上!
ミステリーのお約束。それは、主人公よりも先に犯人にリーチした人間は殺される。
「これは……?」と犯人が残した証拠に気づいたりすると、間違いなく背後に犯人の人影が忍び寄ってるし、「ちょっとお話ししたいことがあって……」と何を思ったか単独で犯人と接触を図ろうものなら、確実に返り討ちに遭ってる。
今回も、後者のパターンでした。
殺されたのは、世々塚幸雄(小手伸也)。世々塚は、結婚式の当日、血まみれのレインコートを着て逃げ去る人間を見たと電話をしていた。
知りすぎたがために消されてしまったと考えるのがオーソドックスな見立てだが、何が怖いってその電話をしていた相手が闇原伊織(麻生久美子)であること。
え〜! どう考えても、このドラマの癒し班だと思っていたのに!!! これで伊織が殺人犯だったら、あの普段のほのぼのキャラはなんなの? 演技なの? 女優かよ! 日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を獲るわ! 報知映画賞も毎日映画コンクールもブルーリボン賞も総なめするわ!
まあ、名優・麻生久美子ですから、見せ場がある分には万々歳です。悪びれもせず不敵に微笑みながら生き血を吸う麻生サイコパス久美子とかめちゃくちゃ見たい。
そういう意味では、伊織が犯人というのは意外性もあるし、ドラマとしても盛り上がるし、ぜひお願いしたい展開ではあるのですが、いくらなんでもこころ(高畑充希)のショックがデカすぎるやろ。海造(吉田鋼太郎)とかパパパニックやで。
それに、伊織が犯人だとしたら、この回で世々塚の通話相手が伊織だったことは見せない気がするんですよね。ということは、あくまで伊織はフェイク。
なんせ世々塚は伊織のファンなわけだし。あのいつになく重々しかった世々塚の声のトーンも、推しに電話していたと考えれば、めちゃくちゃカッコつけていたんだということで説明がつく(つくか?)。
ここはやはり真犯人は伊織ではない別の誰かという説を推してみたい。
では、真犯人は誰なのかを考える前に、改めて現状の謎を整理します。
・そもそもなぜ犯人は被害者の血を抜くのか?
一連の犯行の特徴は、被害者の頚部にアイスピックのようなもので刺された刺し傷があり、体内の血液が抜かれていたこと。
まるで吸血鬼に襲われたようなこの手口が意味するものはなんなのか。犯人からのメッセージなのか。それとも本当に吸血鬼の仕業なのか。
吸血鬼のイラストが描かれた犯行予告から考えて、犯人が吸血鬼に注目を向けたがっていることは明白だ。
・宗像一家殺害事件の真相は?
今回、大きな進展を見せたのは、彪牙の犯行の動機についてだ。教員だった彪牙はいわゆるモンスターペアレントだった宗像夫妻に相当手を焼かされていたらしい。
宗像夫妻の要求はどんどんエスカレートし、やがて彪牙の家族に向けた脅迫行為へと発展する。彪牙は家族を守るために、宗像一家を殺害したのか。
だとしたら、現場にやってきた虎松に向けて「もう、大丈夫だよ」と言った理由もわからなくはない。
・なぜ犯行の証拠を置いていくのか?
被害者の血がついたハンカチに、血まみれのレインコート。なぜか犯人は犯行のたびに証拠品を「わっしょいクリーニング」に置いていく。その目的はなんなのか。依然として真相は深い霧の中にある。
・梅婆を襲ったのは誰なのか?
もはや記憶の彼方に消え去りかけていたけど、そもそも第1話で今福梅(木野花)の家を訪ねたのは誰だったんだろう。梅婆は誰かがやってきたのに気づいて、次の場面では気を失って倒れていた。普通に考えると、家を訪れた者に襲われたように見える。
燃えさかる「うめぼし堂」から梅婆が救出されたとき、誰かがその様子を見ていた。現場にいた世々塚、まつり、庭月源治(酒向芳)、聖夜(長田成哉)は除外されるので、可能性があるのは加賀美、伊織、海造、漣(井上祐貴)、大五郎(曽田陵介)、南十字初(新納慎也)、曽我眞一(石川禅)、そして彪牙あたりか。
ただ、この事件自体、梅婆を狙ったのか。虎松が来ることを知って、ある種の囮的な意味合いで梅婆を襲ったのか。目的が判然としないままだ。
もし吸血鬼殺人事件の犯人の犯行だとしたら、なぜいつものように出血死させるのではなく、わざわざ焼死させるような方法をとったのかわからない。あくまで火災自体は事故であり、梅婆の家から何かを持っていくことが犯人の目的だったのだろうか。
・結局加賀美は何者なのか?
もはや加賀美に関しては謎が多すぎてまとめきれない。
施設育ちであること。警察に憧れていたが、自分は警察になれるような立派な人間ではないとあきらめたこと。コロッケが異常に好きなこと。こころが吸血鬼であることを知っているような素振りを見せること。なぜか虎松に執着していること。
どれをとっても怪しすぎて、以前、「どんぞこ」で『ぐりとぐら』を読んでいたけど、なぜ『ぐりとぐら』だったのかとか、やたらとチューペットを分けたがるのはなぜかとか、些細なところまで深読みしたくなる。
ぐりとぐらは双子の兄弟。チューペットも1つのものを2つに分けて食べる食べ物。この2点から「片割れ」的なイメージが導き出されるけど、はたして加賀美は誰かの片割れ説ある……?
◆では、犯人大予想です
ここはもうストレートに加賀美しかないと思います。タイトルが『unknown』である以上、犯人もまた誰にも言えない“秘密”を抱えている人物。その“秘密”が一連の事件の鍵となるのでしょう。
世々塚が最期に言い残したのは「吸血鬼を狙っている」。つまり、吸血鬼に恨みを抱く人間が、吸血鬼を陥れるために犯行を重ねていたことを示している。まさか今まで殺された人はみんな吸血鬼だったのだろうか。
確かに、4人目の被害者・今村春菜(平山りの)は待ち合わせ場所でこころと居合わせたとき、日傘を持っていた。女性なので日傘を持ってること自体はそこまで珍しくないとは言え、吸血鬼の特徴と一致はしている。
じゃあまつりが吸血鬼だったのかと言われると、かなり謎。少なくとも虎松と漣とすれ違ったときは、思い切りノー日傘だった。が、吸血鬼である漣自身もノー日傘なので、ノー日傘であることが吸血鬼ではない証明にもならない。
やたら「わっしょいクリーニング」が狙われている以上、何かしら“秘密”を抱えたまま死んだとは言えそうなので、あながちまつり吸血鬼説はなくはない気がする。
そして、吸血鬼を狙っているとすると、6月11日の犯行予告の「吸血鬼」のイラストが4つであったことは納得がいく。この4つとは、こころたち。つまり闇原一家全員が狙われていたというわけだ。
こころを裏庭におびき出したのは、こころを殺害するため。スタンガンで気を失い、血を抜かれようとしていたこころを彪牙が偶然発見し、助けようとして犯人に殺されたというのが、あの夜の真相ではないだろうか。
ミステリーの定石から考えても、彪牙は悪人ではない。宗像一家を殺したのも、本当に息子を守るためなのだろう。もしかしたら宗像一家が吸血鬼だったのかもしれない。やっぱり人を襲う悪い吸血鬼もこの世にいるのではないだろうか。
加賀美もまた吸血鬼によって親を殺された。だから、吸血鬼を根絶やしにするために自らの手を血に染めているというのが、現時点でのファイナルアンサーだ。
とはいえ、じゃあ梅婆の家を訪れたのはなんだったのかなど解けない謎はいくつもある。問題集を解くとき、わからない問題が出るとさっさと答えのページをチェックしてしまうタイプだった僕としてはとっとと正解が知りたいので、早く来週火曜になってください!(文:横川良明)
※番組情報:『unknown』
【毎週火曜】よる9:00~9:54、テレビ朝日系24局
※『unknown』最新回は、TVerにて無料配信中!(期間限定)
※動画配信プラットフォーム「TELASA(テラサ)」では過去回も含めて配信中!