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宮澤佐江、「芸能界を離れる」と思っていた1年間の活動休止。再スタートのきっかけは1本のミュージカル

AKB48の選抜常連メンバーとして知られ、中国・上海のSNH48、SKE48を経て、デビュー10年目の2016年にAKBグループを卒業した宮澤佐江さん。

AKB48時代から映画、ドラマ、舞台に出演し、卒業後は本格的に俳優として活動をスタート。ミュージカル『王家の紋章』、『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)をはじめ、多くの作品に出演。2018年に1年間芸能活動を休止し、2019年にミュージカル『ピーター・パン』で活動を再開。現在、ミュージカル『キングアーサー』が公演中。

2023年3月17日(金)には、ヒロイン役で出演している映画『犬、回転して、逃げる』(西垣匡基監督)が公開される。

 

◆ドラマ『おっさんずラブ』で田中圭の顔が近すぎて…

宮澤さんがAKBグループ時代、初めて外部の大きな舞台に出演したのが、岸谷五朗さんと寺脇康文さんが結成した演劇ユニット・地球ゴージャスのプロデュース公演Vol.13『クザリアーナの翼』。岸谷さんと寺脇さんから多くを学び、演じることの楽しさを知ったという。

-卒業後、『王家の紋章』などいろいろな舞台に出演されていますが、いかがでした?-

「あまりにも地球ゴージャスでの取り組みの印象が強かったので、他の作品の稽古の仕方に最初は全然慣れなかったです。地球ゴージャスは、最初にみんなで1時間くらいかけてアップしたり、マット運動をしたり、発声練習したり…本当にカンパニー全員で取り組むんですよね。

他のカンパニーは個々でやって、時間になったら稽古が始まるという感じだったので、『どうやって過ごしたらいいんだろう?』っていうのはありました。右も左もわからないまま、なんとなく雰囲気でやっている感じで。カンパニーによって舞台の作り方がたくさんあるんだなというのを学びました」

-2016年には、ドラマ『おっさんずラブ』に出演されました-

「はい。私は田中圭さんの同僚の役で、特番しか出てないんですけど(笑)」

-二人の関係が危うくなりそうなシーンもあって-

「そうでした。一瞬だったんですけどありました。でも、私は目をつぶっていたので撮影をしているときはわからなかったんですけど、オンエアを観て、あんなに圭さんの顔が近くにあったんだってビックリしました(笑)」

-撮影はスムーズに?-

「ステキな尊敬できる役者さんがたとご一緒できるお仕事だったので、撮影のときはすごく緊張していたんですけど、圭さんがすごく気さくな方で、いまだに連絡を取り合わせていただいています。すごくいい先輩です」

-ハツラツとしたキャラで宮澤さんにピッタリでしたね-

「ありがとうございます。私は数日の参加だったので、もっとみんなと一緒にやっていたかったなあって思いました」

-『おっさんずラブ』のときには、AKBグループを卒業されていたわけですが、寂しさを感じたりすることはありました?-

「寂しいとかはなかったかな。でも、やっぱり1人になると実力のなさに気づかされましたね。すべてにおいてですけど。

やっぱりみんなと一緒にいるから緊張せずに歌番組に出られたり、ステージに立てたりしたけど、1人になるだけでこんなに緊張したり、重荷があるんだなということに気づいたりすることが多かったです。だから、みんなでいたときには気づけなかったことがすごくたくさんあります」

 

◆できない自分が悲しくて自己嫌悪に

AKBグループで数多くの公演も経験し、卒業後も多くのミュージカルの舞台に出演している宮澤さんだが、自己嫌悪に陥ったこともあったという。

「自分ではできるだろうと思っていたことが、全然できていないということを思い知らされて、すごく悲しくなって自己嫌悪に陥って…というのがありました。

ありがたいことに今もミュージカルのオファーをいただきますけど、ミュージカルの作品に出ることは、結構自分の中でプレッシャーが大きいので、即答で『出ます』とは言えないですね」

-それぞれ精鋭が集まってくるわけですものね-

「本当にそうですね。私がアイドルを目指してアイドルになったのと同じように、皆さんはミュージカルに出たくて、ミュージカルを目指して仕事をしている人たちなので。

だから、追いつけないのも比べられてしまうのも当たり前だけど、他の方がしたことのない自分の経験を爆発できるという、ちょっとした自信も自分の中にあったりもするので、毎回チャレンジという感じでやらせていただいています」

-元AKBなので、大体のことができるだろうとハードルを上げられたりするのでは?-

「それが、逆にアイドルって、どこかでポンコツだと思われているんですよ(笑)。『団体としてはキラキラして可愛いけど、1人になったら歌も踊りもダメなんでしょう?』っていう目で多分見られている分、何かちょっとできたりすると、『意外とできるんだね』って(笑)。

期待値が低い分助かりましたけど、今はその域を超えて闘わなきゃいけないところまで経験を積んでしまっているので、また新しく目標を立てて頑張っている最中です」

卒業後も順調に仕事を続けていた宮澤さんだったが、2018年7月末に、前の事務所をやめて芸能活動を休業することに。

「プレッシャーが思っていたよりも大きすぎて、ちょっと心が疲れちゃったんですよね。そのプレッシャーに耐えられる精神が保てなくなっていたこともあったので、ちょっと一回離れてみようかなと思って。

2006年にAKB48の一員としてデビューしてから約12年間、ずっと走り続けてきたんですけど、一度自分自身をちゃんと見つめ直したいと思って、お休みさせてもらいました」

-休業中不安はありませんでした?-

「まったくありませんでした。もう休みたかったので。休みたいというか、当時は、もう芸能界を離れるだろうなあという気持ちだったので、今こうやってまたたくさんの方の目に触れる仕事につけていることが不思議です」

-休業中はどのように過ごされていたのですか?-

「何も考えないで過ごしていました。好きなものをたくさん食べて、何も気にせず太って(笑)。太って恋愛もしました。

友だちと旅行の計画をたてて旅行にもたくさん行きましたし、家族と一緒にいる時間も増えました。デビューしてから家族とゆっくり過ごす時間はほとんど持ててなかったので。でも、暇でした(笑)」

-またお仕事をはじめようと思ったきっかけは?-

「ホリプロのミュージカル『ピーター・パン』です。以前、出させていただいたご縁もあって、翌年の『ピーター・パン』に出ませんかというご連絡を直々にいただいて。

スケジュールがガラ空きなのはもうバレているので(笑)。自分がやりたいか、やりたくないかという気持ちだけだったんですけど、休業していても映画を観たり、ドラマを観たりしていると、どうしても『自分だったらこういうふうにお芝居をするのかな?』とか、『このロケ大変だったんだろうなあ』とか、自分と置き換えて見てしまっている部分があって。

あと家族が、もうちょっとテレビとかで活躍している姿を観たいなあというふうに背中を押してくれたので、『私でよければ出演させてください』ってお返事をして、『ピーター・パン』をきっかけにホリプロに所属することになって再スタートさせていただきました」

-現在公演中の『キングアーサー』は、コロナで心配されましたけど、幕が開いて良かったですね。モチベーションはどのように維持されていました?-

「コロナ禍で公演期間中に突然公演が止まっちゃったことはあったんですけど、初日がズレるという経験は初めてでした。どちらの場合も、その中止になってしまった公演に来る予定だったお客さまのことを思って胸が痛かったです」

-待ちに待った初日が開いたときにはいかがでした-

「すごく幸せな時間でした。本当に時間をかけて丁寧にみんなで作ってきた作品なので。やっぱりライブものは、お客さまがいてようやく完成するもの。どんなにこっちが頑張っても無観客でやったらそれは完成にはならないので。

やっぱり、お客さまに観ていただいて、感想や拍手をいただくことによって、その作品が仕上がるので、皆さんの拍手だったり、視線が感じられたことはすごく幸せでした」

-ご自身では、舞台と映像の演技はどのように考えてらっしゃいますか?-

「私はミュージカルとか舞台のお芝居と、映像のお芝居を変える必要性がないと思ってずっとやってきているんです。『王家の紋章』を観に来てくださった舞台の演出家さんが、『ミュージカルっぽい芝居をしていなかったのがすごく良かった』っておっしゃってくださったのがすごくうれしくて。

自分ではミュージカルっぽいお芝居をしていたつもりだったんですけど、周りのミュージカル界の人と比べると、やっぱりお芝居がちょっと違ったみたいで。そこは逆にちょっと強みにしたいなと思っています。

1人の役者として、役になりきれていればいいかなというのが、自分のモットーと言いますか、あえて映像とのお芝居に差をつけないというのを自分の中で決めていますね」

©2023 映画「犬、回転して、逃げる」製作委員会

※映画『犬、回転して、逃げる』
2023年3月17日(金)よりシネ・リーブル池袋、シネ・リーブル梅田ほか全国順次公開
配給:アイエス・フィールド
脚本・監督:西垣匡基
出演:長妻怜央(7ORDER) 宮澤佐江 なだぎ武 中村歌昇 三戸杏琉 小坂涼太郎 ワタリ119 仁科亜季子/登坂淳一

◆新作映画で「動物と一緒に出演」という目標が実現!

2023年3月17日(金)には、ヒロイン役で出演している映画『犬、回転して、逃げる』が公開される。

この映画の主人公は、泥棒という裏稼業を持つカフェ店員の青年・木梨栄木(長妻怜央)。木梨の次のターゲットは、1日でも早く世界が終わることを願っている婦人警官の眉村ゆずき(宮澤佐江)。

しかし、彼女の部屋で、「ずっとお前を見ているからな」という手紙を見つけて驚く。数日後、木梨がこよなく愛する愛犬の豆柴・天然くんが部屋から姿を消してしまい、盗まれたと思い込み、失意のどん底に。さらに街では相次ぐ爆弾予告事件、小学生の誘拐騒動が勃発し、予想外の展開に。

-愛犬家の宮澤さんには、ぴったりの作品ですね-

「うれしかったです。動物と一緒にお仕事をするというのは、お仕事の目標の一つでもあったので。今回それが叶ったなって」

-とても不思議なスキップシーンが印象的でした-

「あのスキップはひどかった(笑)。ト書きに『すごい不思議なステップを踏む』って書いてあったので、『不思議なステップってなんだろう?』って。

いくつかステップを監督にお見せしたんですけど、あのどんくさいステップが一番監督にハマッたみたいです。

もうちょっとカッコいいというか、かわいいステップとか、ダンサブルなステップを提案してみたんですけど、『ちょっとそれじゃないですね。最初にやったステップが一番どんくさそうでいいですね』って言われて、一番やりたくなかったステップが使われることになってしまいました(笑)」

-ステップだけでなく、家の中での動きなどもユニークなキャラでしたが、ご自身ではいかがでした?-

「ユニークですよね。誰しもが一度は何かをきっかけに、『何のために生きているんだろう?』とか、『生きるのはつまんないなあ』とか、『楽しくないなあ』って感じたことがあると思うんですよ。

私が演じた眉村ゆずきは、その気持ちがちょっと強い女の子だったというだけなので、あまり非現実という感じが自分の中にはなかったですね」

-撮影で印象に残っていることは?-

「ロケが多かったんですけど、周りの工事の音、風の音、バイクとか車がブーブーいう音とか、撮影中の雑音がたくさんありすぎて、すごく大変でした。『何でこんな工事をしている横で撮影するんだろう?』というシーンもあって(笑)」

©2023 映画「犬、回転して、逃げる」製作委員会

-今回豆柴の天然くんが出てきますが、念願の動物とのお仕事はいかがでした?-

「うれしかったです。(犬が苦手という役だったので、)飼い主の木梨役がやりたかったって思いました。天然くんにモフモフしてスリスリしたかったです(笑)」

-休憩時間は一緒に遊んだりしていたんですか?-

「はい。ちょっとワンちゃんに慣れるためにコミュニケーションを取ったりはしていました。基本的にワンちゃんのスケジュールに合わせて人間のシーンの撮影を組んでいる感じでしたね(笑)」

-宮澤さんにとって愛犬Pちゃんが一番癒しの存在ですか?-

「そうですね。愛犬がいることは私の一番の特効薬ですね。毎日癒されています」

-撮影で苦労されたことは?-

「舞台のお仕事が続いていたなかで久しぶりに映像の作品に参加させていただきました。

以前、違う作品で、自分では意識はしてなくても、やっぱりちょっと声を張ってお芝居をしてしまったりとか、オーバーに演技をしてしまったりということで注意を受けたことがあったので、二度と同じ注意は受けたくないという思いでお芝居に取り組んだのが頑張ったところかな」

-相手役の長妻怜央(7ORDER)さんとの共演はいかがでした?-

「二人のシーンはあまり多くはなかったんですけど、演者さんにもスタッフさんにも分け隔てなく、コミュニケーションを自分から取りに来てくれる天真爛漫で気さくな方でした。なので、緊張せずに一緒にお芝居ができたかなあって思います」

-これから公開になりますが、伝えたいことはありますか-

「人それぞれいろんなことがあると思うけど、ひょんな出会いだったり、ちょっとしたきっかけとか、誰かの一言に背中を押されて生きる意味を再確認できたりだとか、前向きになれたりすることがあると思うんですね。

そういう普段ありそうな日常をちょっとコメディータッチでお届けしている作品なので、観た人がちょっとクスクスって笑いながらも、『まあ明日も生きてみるか』って思ってもらえたらうれしいしいなって思います(笑)」

ハツラツとした笑顔がまぶしい。テレビや映画に加え、5月にはミュージカル『She Loves Me』、8月にはミュージカル『スクールオブロック』も控え多忙な日々が続く。元気いっぱい輝き続けてほしい。(津島令子)

ヘアメイク:伊藤里香
スタイリスト:藤井エヴィ

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