<ビズリーチ×慶應大>画期的な連携!“経営プロ人材”と“起業志す研究者”をマッチング 起業経験者も「あれば間違いなく使ってた」と力説の理由
転職サイトなどを運営する株式会社ビズリーチと慶應義塾大学が、12月15日、経営のプロフェッショナル人材と起業を志す研究者のマッチングを目指す連携協定を結んだことを発表した。
ビズリーチはこれまで「みらい投資プロジェクト」と銘打ち、JAXAや国立高等専門学校機構などとの連携を進めてきたが、今回は、学内の研究成果をベースにスタートアップ創出を目指す慶應とともに「慶應版 EIR(客員起業家)モデル」を構想。
研究を事業化したい研究者と、副業・兼業で客員起業家として支えるプロ経営人材のマッチングをビズリーチ上で行う。
そして、ビズリーチの人材活用プラットフォーム「HRMOS(ハーモス)」を活用し、客員起業家をデータベース化するプロジェクトを発足した。
プロジェクトの背景について慶應義塾の学長・伊藤公平氏は、「起業を志す研究者は多いが、アントレプレナーシップ(起業家精神)を持つ研究者は少ないため、人材支援が必要だ」と話す。
大学での研究を生かして起業した慶應義塾大学大学院教授の白坂成功氏も、研究の事業化にあたって「相当の苦労があった」と過去を振り返った。
現在は合計230億円を民間から調達済みの株式会社Synspectiveの共同創業者となったが、起業にあたって経営人材の確保が困難を極めたため、「もし私が起業するときにこのシステムがあったら、間違いなく使っていた」と力説。
「宇宙工学の研究を事業化するにあたって、技術者は周囲に数多くいたのですが、経営のプロ人材がなかなかみつかりませんでした。宇宙関連の事業はどうしても時間がかかるため、技術者は10年先のことを見ているが、事業をまわすためには半期ごとの進捗が必要です。
その目的やスピード感を共有してくれる経営のプロを探すのに苦労して、いまのCEOと出会うまでに半年、説得に3ヶ月かかってしまった。もしその当時にビズリーチのプロジェクトがあれば、半年は早く事業化できたと思います」(白坂氏)
ここまでは研究者側からの需要について解説したが、転職サイトに登録する人々にとっても、大学などのパブリックセクターの仕事の公募は大きな魅力があるという。
ビズリーチ株式会社の創業者・南壮一郎氏は、過去の応募実績などからこのように説明する。
「今年、慶應義塾大学の常任理事付スタッフの募集をビズリーチ上で行った際に、720名の応募がありました。世の中の役に立ちたいという気持ちをもつ人は、決して少なくないのだと思います。
また官公庁や自治体などのパブリックセクターは、人材確保に費用を割くことが難しいため、公式サイトで募集をするにとどまるケースが多いです。そして、誰の目にも触れず、人も集まりづらい。そこで、転職意欲の高い人が集まるビズリーチ上に掲載することで、多くの人の目に触れることが可能になります。
『みらい投資プロジェクト』として、そういった採用する側、される側双方の課題を解決するべく、システム使用料は無償で、採用フローの支援などにも取り組んでいます」
◆第一弾は“副業・兼業のみ”募集の理由は?
現在、「慶應版 EIR(客員起業家)モデル」の第一弾として、「ナノカーボンを用いた新しい集積光デバイス」の世界初の実用化を目指す、慶應大学理工学部物理情報工学科の牧英之教授の起業を支援する人材を、副業・兼業限定にてビズリーチ上で募集している。
“副業・兼業のみ”に限っている理由について南氏に尋ねると、副業という働き方のメリットを力説してくれた。
「アンケートをとったところ、ビズリーチに登録してくださった方の7割以上が『自身の市場価値を知るために利用している』と答えています。つまり、直近で転職したいという明確な意思というよりは、自分の市場価値や可能性を試してみたい人が多いということです。
そうであれば、副業・兼業として少しずつ新しい業界に関わることで、リスクを抑えて新しいチャレンジをしやすいですよね。
リスキリング(技術革新に対応するため、新しい知識やスキルを身につけること)のために、新しい業界に足を踏み入れる場合でも、たとえば週末の草野球のように気軽に参加できるコミュニティでネットワークを広げたりできる。
副業をもっと気軽に考えられる世の中になれば、多くの人の可能性が広がっていくのだと思います」(南壮一郎氏)