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「見返してやる」体操・橋本大輝、着地1歩の差で逃した金メダル。弱点克服の秘策は“お手玉”

2021年夏の東京オリンピック。

そこでもっとも輝いたのが、体操の個人総合で史上最年少金メダリストとなった橋本大輝。37年ぶりに個人2冠も達成した、体操ニッポンが誇る“若きエース”だ。

しかし、その後の世界体操で味わった試練。

再び世界一に輝くための“気づき”とは。

テレビ朝日のスポーツ番組『GET SPORTS』では、2年後に迫るパリオリンピックへの準備期間、橋本の連覇への第一歩に迫っている。

◆挫折を経験してきた“若きエース”

6歳で体操をはじめた橋本。高校まではまったくの無名選手だったが、それでも練習に励むと3年生で世界体操代表入りを果たし、2019年の世界体操で初めて日の丸を背負った。

しかし、大事な場面で痛恨のミスをし、結果が残せず挫折を味わう。

「自分の力不足を痛感して本当に悔しいです。“東京五輪は自分がエースになる”。それくらいの覚悟で練習をしていきたい」(橋本)

その言葉通りエースに成長した橋本は、迎えた東京オリンピックで2冠を達成。その2カ月後の世界体操では、王者として挑んだ。

しかし、オリンピックのときの完成度には遠く、精彩を欠いた。

個人総合でわずか0.017点差で敗れると、2日後の種目別鉄棒もわずかな差で銀メダル。前回に続き、悔しさが残る世界体操となった。

◆弱点克服が“パリへの第一歩”

それから数カ月後。パリオリンピックへ向けて新たなスタートを切っていた橋本は、課題を痛感して強化に努めていた。

「負けて学ぶことがとても多かったなって思います。着地一歩の差で個人総合・鉄棒の金メダルを逃しちゃって、『そうだよな』って思う試合でした。やっぱり“着地を止める強さ”は、この先勝負していく中で絶対必要なのかなと感じました」(橋本)

着地の際、一歩でも動くと確実に0.1点以上は減点される。わずか0.017点差だった個人総合も、0.1点差だった種目別鉄棒も、着地さえ止まっていれば金メダルに届いていた。

そこで橋本は、着地を止めるためにある取り組みを始めた。

「バランスボールの上で“お手玉”をするんですよ」(橋本)

体操では着地に向かう際、体の軸を左右にブレさせながらひねる。

しかし、着地の瞬間まで傾いていた重心が修正できないと、その反動で一歩動いてしまう。

重心が傾かないようまっすぐ着地するのが理想だが、どうしてもわずかに傾くことがある。

そこで、左右に重心がズレても重心の位置を修正できるよう感覚を養うのが、バランスボールを使ったお手玉のトレーニング。

「右10回、左10回。右に回転させると右に体重がかかるので制御する。でも右だけやっても意味ないので左もやる。右回しのときに油断して『右楽勝』ってなったら右に体重が徐々にかかって落ちそうになる」(橋本)

重心が左右どちらかに偏りそうになったら、逆側を意識し、重心を正面にキープするのが狙いだった。

世界体操で痛感した着地の重要性。あの一歩が、パリへの第一歩。

「色々な人から『橋本は着地が弱い』と言われてしまったので、見返してやるというか、王者(内村航平)の着地を継承して僕が王者になるんだと」(橋本)

さらに、橋本はオリンピック連覇に向けた新たな武器も手にしようとしている。

◆世界一奪還へ“新たな武器”に挑戦

体操界ではオリンピック翌年に毎回ルール改正が行われる。

鉄棒でもさまざまな技の難度変更があり、橋本が2021年と同じ演技構成にすると、演技の難しさを示すDスコアが0.3点下がってしまう。そのため、新たな技に挑戦していた。

「鉄棒は今回新しく“リューキン”という技を入れてます」(橋本)

リューキンは、ぶら下がった状態から前に振った体を切り返して反り、背中側から跳びこしながら1回ひねりをするF難度の大技。

この技の難しさは、後ろに跳びながらひねりを加えるため、鉄棒が見えづらく、距離感がつかみにくいこと。距離感を見誤ると、鉄棒にぶつかり怪我のリスクもある。

しかし橋本は、単発でも難しいリューキンを他の技と連続することで、さらなる加点を得ようとしていた。

「“アドラーひねり”という技からのリューキンに取り組んでいて、あの技ができたら個人総合でも戦える武器になるので、そこを一番やりたいなと思って」(橋本)

D難度の倒立技・アドラーひねりからのリューキン。倒立により回転が一度止まるため、飛び出す勢いがもらえず難しくなる。

この連続技が成功すると、東京オリンピックで金メダルを取った演技よりも0.2点、Dスコアを上げることができる。

幼い頃から壁を乗り越え続けてきた橋本の体操人生。

2年を切ったパリオリンピックで再び世界一へ。

「同じことをしても勝てないですし、毎年結果・得点じゃなくて自分を超えることが、チャンピオンになれる最短の道だと思うんです。毎試合成長して、毎試合橋本大輝を越えたいと思ってます」(橋本)

そんな橋本の次なる挑戦は、10月29日(土)からイギリス・リバプールで開幕した『世界体操』。“若きエース”の活躍に注目だ。

※番組情報:『世界体操イギリス・リバプール2022
2022年10月29日(火)~11月6日(日)

【放送スケジュール※日本時間】※予選は2022年10月29日(土)~31日(月)
・「女子団体」2022年11月1日(火)深夜3:30~2日(水)あさ6:15<CSテレ朝チャンネル2>
・「男子団体」2022年11月2日(水)深夜3:00~3日(木)あさ5:50<地上波>
・「女子個人総合」2022年11月3日(木)深夜3:45~4日(金)あさ6:30<CSテレ朝チャンネル2>
・「男子個人総合」2022年11月4日(金)深夜3:00~5日(土)あさ6:00<地上波>
・「種目別 第1日」2022年11月5日(土)夜10:30~深夜3:00<CSテレ朝チャンネル2>
・「種目別 第2日」2022年11月6日(日)夜11:50~深夜3:00<地上波>

※番組情報:『GET SPORTS
毎週日曜深夜1:25より放送中、テレビ朝日系(※一部地域を除く)

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