五輪1カ月前の「悲劇」…引退も考えたバドミントン・フクヒロペア、試練乗り越え新たな戦いへ
8月22日(月)、バドミントンの世界一を決める「世界バドミントン東京2022」がいよいよ開幕する。
史上初の日本開催となる今大会、日本勢はエースの桃田賢斗、東京オリンピック銅メダルの混合ダブルス、渡辺勇大・東野有紗ペア、女子シングルスの山口茜らが出場。
初日の本日からさっそく各種目の競技がスタートし、大会3日目の24日(水)には女子ダブルスの福島由紀(29歳)と廣田彩花(28歳)、通称“フクヒロペア” が登場する。
◆金メダル最有力コンビを襲った悲劇
昨年2021年の東京オリンピックでは、世界ランキング1位(当時)として“金メダル最有力”と言われていたフクヒロペア。
しかし、オリンピック1カ月前に悲劇に見舞われる。廣田が練習中に前十字靱帯断裂という大怪我を負ってしまったのだ。
廣田:「もうオリンピックに出られないんだなって思って、(目の前が)真っ暗になったというか、すごく福島先輩に申し訳ない気持ちが…」
手術を受ければオリンピックには間に合わない。廣田は温存療法を選択し、残された1か月間で必死の調整を続けた。
そんな廣田を懸命にフォローしたのはパートナーの福島だ。
福島:「廣田が取る範囲以外は自分が全部取ろうという気持ちでコートに入りました。いろいろ考えてもうまくいかないと思ったので、私は私に集中して、拾えるところを全部拾おうという気持ちでした」
オリンピック本番では、予選から怪我の廣田に攻撃が集中。それでも福島が懸命のカバーを見せ、決勝トーナメントへ。本来のプレーができない中、結果は大健闘のベスト8だった。
◆「その言葉があったので自分もがんばろうと」
大会直後、廣田は右膝を手術し、復帰に向けてすぐさまリハビリをスタートさせた。
廣田:「やっぱりほかの選手の海外の試合とかを見ると、自分は置いていかれているんじゃないかという気持ちが出てきたり、そういう不安は多少ありました」
初めての大怪我で長期離脱を余儀なくされた廣田。不安に駆られる日々の中、支えとなったのは福島からの“言葉”だ。
廣田:「福島先輩が『待っているよ』じゃないですけど…。東京オリンピックが終わったら(福島先輩は)辞めるんじゃないかと少し思っていたので、『廣田が復帰するのを待つ』と言ってもらえたことがうれしかったです。その言葉があったので自分もがんばろうという気持になりました」
福島:「正直(東京オリンピックが)終わったらどうしようかなと迷っていました。廣田がリハビリがんばっているのも見ていましたし、それではっきり(現役を)続けるというか『復帰戦を絶対やろう』という気持ちになりました」
もう一度2人でコートに――。廣田が復帰に向けたリハビリを続ける一方、福島は別の選手と試合に出続け、廣田の復活を待った。
そして東京オリンピックから約8カ月。2022年3月の全英オープンでついに2人は復帰戦のコートに立つ。
残念ながら初戦で中国ペアに敗れはしたものの、「コートに戻ってこられて、久しぶりにフクヒロとして試合ができたのは本当に楽しかった」(廣田)と2人で戦える喜びを実感した。
その後は、4月のアジア選手権でベスト4、6月のインドネシアオープンでは準優勝と徐々に調子を上げている。
廣田:「怪我をしてどん底を味わった分、2人の絆は深まったと感じます。福島先輩がいたから自分もがんばろう、乗り越えていこうという気持ちにもなったので、この怪我があってよかったじゃないですけど、今はそういう風に思えているので、より絆が深まったんじゃないかと思います」
◆「強くなったフクヒロのプレーを見せられたら」
そんな2人が目標にしてきた大会が「世界バドミントン」だ。
過去には2017年~2019年まで3大会連続で銀メダルを獲得しているだけに、悲願の金メダルに期待が高まる。
廣田:「初めて(世界バドミントンに)出た時は準優勝で素直にうれしかったんですが、その次の年からは優勝を目指していたのに2位で終わって、すごく悔しい試合が続きました。やっぱり1回は表彰台の一番上に立ちたいという気持ちはあります」
福島:「東京オリンピックで残念だったのが無観客だったこと。今回世界選手権が日本で開催され、しかも有観客というのが私の中では結構嬉しいです。廣田が復活しましたし、いろいろな人に見てもらいたいという気持ちで一戦一戦がんばりたいと思います」
どん底を乗り越えたフクヒロペアがどんな進化を見せてくれるのか、その活躍に期待したい。
※放送情報:『世界バドミントン東京2022』
8月25日(木)3回戦 深夜1:26~(一部地域を除く)
8月26日(金)準々決勝 深夜2:20~(一部地域を除く)
8月27日 (土) 準決勝 よる9:55~ (テレビ朝日系列地上波 全国ネット)
8月27日 (土) 決勝 よる9:55~ (テレビ朝日系列地上波 全国ネット)
CSテレ朝チャンネル2では22日(月)1回戦から連日放送
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