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長谷川初範、25歳で突然発症し長年苦しめられたぜん息。改善後は精力的に活動、今後の目標は「80歳まで頑張って…」

『101回目のプロポーズ』(フジテレビ系)で注目を集め、ダンディーな2枚目から悪役まで幅広い役柄を演じ分け、多くのドラマ、映画、舞台に出演してきた長谷川初範さん。

2005年に主演をつとめた短編映画『missing pages』(ジェローム・オリヴィエ監督)は、全米各地やイギリス、カナダなどの映画祭で作品賞などを受賞して海外でも高く評価された。2011年には映画『TAKAMINE~アメリカに花を咲かせた男~』(市川徹監督)に主演。2022年2月19日(土)に公開される映画『リング・ワンダリング』(金子雅和監督)では野性味あふれるワイルドな役柄を演じている。

◆25歳で突然ぜん息を発症、「完治は難しい」と医師に告げられ

中学時代は剣道、高校時代は留学先のアメリカでレスリングをはじめ、どちらでも優秀な成績を残したスポーツマンの長谷川さんだが、25歳のときにぜん息を発症。20年間苦しめられ、“死”を意識したこともあったという。

「肺活量が普通の人の三分の一しかなくて医者もサジを投げるほど重症でした。医者をやっている友人に聞いた話では、僕がぜん息と闘っていた20年間で、約10万人のぜん息患者が亡くなったそうです」

-『101回目のプロポーズ』のときも発作が?-

「はい。撮影のときは緊張しているせいか発作が出ることはありませんでしたけど、撮影が終わってホッとした途端に発作が出て、夜通し苦しんだこともありました」

-長谷川さんのように少年時代からスポーツで鍛えていた方でも突然発症するのですね-

「ストレスとか精神的なものも影響するみたいです。うちは倒産するし、一家離散だし…、今考えると思いつめすぎていたのでしょうね。当時はまだぜん息という病気は効果的な治療法が開発されておらず、医者に『先はないですよ。今より悪くなることがあっても良くなることはないでしょう』と言われていました」

長谷川さんは薬を飲むことを辞めて、“初代タイガーマスク”として知られている格闘家・佐山聡さんの「タイガージム」を訪れたという。

「医者には治らないと言われましたけど、何か方法があるんじゃないかと思ったんですよね。それで、佐山さんに『僕はぜん息の重症患者なんですけど、治りますか?』って聞いたら『治るよ。スクワットをやれば治る』と答えてくれて、希望が湧いてくるのを感じました。僕は『治る』という一言が聞きたかったんだなあって。

それで、基礎体力をつけることからはじめて約1年間稽古に通っているうちに、ぜん息は徐々に改善していって、少し落ち着きはじめたころに新薬を試したところさらに改善しました。そして吸入薬が開発されて使いはじめたら僕に合っていたみたいで、発作の頻度も劇的に減っていったんです」

ぜん息が改善した長谷川さんは、2002年、マウイマラソンに挑戦して完走し、この年にはロサンゼルス上空からのスカイダイビングにも挑戦した。2007年には美輪明宏さんの舞台『双頭の鷲』に出演。舞台出演のためにからだを鍛えることが習慣になったこともぜん息の改善に役立ったという。

 

◆ゆうばり国際ファンタスティック映画祭での出会い

2013年、「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」で長谷川さんは、金子雅和監督と出会い、2016年に映画『アルビノの木』に出演することに。

「僕は、岨手由貴子監督・平波亘監督の短編映画など若い監督の作品で映画祭に参加していまして、金子監督は『水の足跡』という作品が短編部門のコンペに選ばれていて、ポスターも映像もとてもすてきだったので僕から声をかけました。

それで、『カメラマンはどなたですか』って聞いたら、監督が自分で撮っているとおっしゃって、それが新鮮ですごいなあと思いました」

※映画『アルビノの木』
害獣駆除会社で働くユク(松岡龍平)は、鉱山として栄えた山あいの村で「白鹿様」と呼ばれる鹿を高額報酬で秘密裏に撃つことになる。そして彼は自然の中でさまざまな人と出会い、自分自身を見つめ直すことに…。

-『アルビノの木』の長谷川さんは罠猟師という設定でしたが、まったく違う姿で衝撃的でした-

「金子監督はご自身でレンズをいろいろ替えたり現場で工夫して撮影された映像をはじめて観たときは、自分でも見たことがないような僕の顔がド迫力で映っていたので衝撃的でした。それまでまったく要望がなかった役なので、すごく新鮮で俳優として新しい自分の役柄が見えてきた感じがしました。

僕は最近、ワイルドな面がもともとあるんだということに気づきました。だから内に秘めた野性を解放し、それを画的に引き出してくれた監督には感謝しています」

-最初にお話を聞いたときは?-

「僕は森の番人の役だと聞いて驚きました。でも、考えたら僕もプライベートで山梨に山荘を自分で設計して建てて、井戸水を汲み上げて煮炊きして薪を割っている。『人には見せていないけど、僕はこの役の感じそのものだ』と思いました。それで、撮影の前に1か月くらい一人で山荘に籠って役と同じような作業をしてそのままの状態で撮影現場に入りました」

-ものすごくワイルドでした-

「あれが普段の僕なんです。都会にいてジャケットを着てテレビに出ているイメージをお持ちの方も多いと思いますが、1年のうちの3分の1くらいは山荘にいて、髭もそらないし、髪もぐちゃぐちゃで生活しているんです(笑)」

-ただその姿を撮影されて見たのは『アルビノの木』がはじめてだったのですね-

「そう。それがはじめてでした。『僕ってこんな感じ?』みたいな(笑)。うちの家族には、『ここ(山荘)に来たら人が変わるよね』って言われます。山にいるときの僕だと。都会の僕ではない自分と映画で出会えて僕も驚きました」

『アルビノの木』は、第4回フィゲイラ・フィルム・アート(ポルトガル)で最優秀長編劇映画賞・監督賞・撮影賞をトリプル受賞したのを皮切りに、スペイン、スウェーデン、メキシコなど15カ国20以上の国際映画祭でノミネート上映、9つの最優秀賞を含む海外20冠を達成し、海外でも高く評価されている。

※映画『リング・ワンダリング』
2022年2月19日(土)よりシアターイメージフォーラムほか全国順次ロードショー。
配給:ムービー・アクト・プロジェクト
監督:金子雅和
出演:笠松将 阿部純子 片岡礼子 品川徹 田中要次 安田顕 長谷川初範

◆猟銃を手に山を走り、アクションシーンも

『アルビノの木』に続いて金子雅和監督がメガホンを撮った映画『リング・ワンダリング』が2022年2月19日(土)に公開される。

この作品は、漫画家を目指す若者・草介(笠松将)が、不思議な娘・ミドリ(阿部純子)とその家族との出会いを通じて、その土地で過去に起きたことを知ることに…、という展開。現代と過去、そして主人公が描く劇画…、三つの世界が交錯していく。長谷川さんは、劇画に登場する罠猟師・銀三役で出演。

「今回の『リング・ワンダリング』の撮影は、1月下旬と寒さがもっとも厳しい時期に行いました。早朝まだ暗い時間にみんなで小1時間歩いて標高1000メートルくらいのところまで登って撮影したんですが、とにかく楽しかったです」

-今回は悲しい過去をもつ罠猟師役-

「そう。自分が仕掛けた罠で娘を亡くしたという過去があって、村の嫌われ者という役でした」

-ちょっと不思議なお話で、現代と過去、そして主人公が描く劇画の世界が交錯していきます-

「そうですね。こういう多重性の話をうまいことちゃんとつなぎ合わせて最後に持っていくというのが、海外の映画通の人たちには大好評で、ワルシャワ映画祭や、アジアで最大級の映画祭であるインド国際映画祭で最高賞を受賞しました。

そこに参加できたこと自体が光栄です。僕は今村(昌平)さんの映画学校でインデペンデントな映画も友人たちとやってきたので、海外評価は一つの夢でした。

前作の時もそうですけど、ワンカットワンカット場所を決めるのに、すごく時間をかけて山に入って場所を選んで、場所を選んだら今度はそこの天候がどうか徹底的に調べる。

そうやって細かく薄皮1枚1枚重ねている映像の連続が映画になっているから、その力というのが、いわゆるインスタント食品じゃないんです。出汁(だし)の時点から『これを使っています』というこだわりがあって、それが海外で評価される。

日本のアニメに近いですよね。アニメは4、5年前から作っている。例えば『ロックの世界を描きます』と言ったら、ロックの人たちはどういう人なのか、どんなギタリストがいたのかなどを全部細かく調べて、その上でストーリーを作っていく。だから日本のアニメは世界に誇れるんです。

日本人はそういう細かい作業ができるんだけど、普通の映画ではなかなかそうはできない。時間も制約もあってできない。そういう意味で金子監督は、それをインデペンデントで実践している作り手なんだと思います」

-今後やってみたいことは?-

「80歳まで頑張ってカンヌ(国際映画祭)で最高賞(パルムドール)を獲って、あの世で今村(昌平)さんに『獲りました!』って報告したい。『そうか。俺はふたつだけどな』って言われると思いますけどね(笑)」

茶目っ気タップリに話す笑顔もステキ。長年苦しめられたぜん息が改善してドラマ、映画、舞台、バンド活動も精力的に行っている長谷川さん。おなじみのダンディーな2枚目のルックスとは対照的なスクリーンの野性味あふれるワイルドな姿が新鮮。(津島令子)

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