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運命のフリーへ…。フィギュア日本女子3選手、夢の舞台に懸ける「三者三様」の思い

2月17日(木)、北京オリンピックのフィギュアスケート女子フリースケーティングが行われる。

15日に行われたショートプログラムでは、ROC(ロシアオリンピック委員会)のカミラ・ワリエワが首位に立ったが、日本の坂本花織、樋口新葉、河辺愛菜の3選手も健闘。フリーでの演技に期待がかかる。

テレビ朝日のスポーツ情報番組『GET SPORTS』では、日本女子フィギュアの3選手を特集。北京オリンピックに懸ける三者三様の思いに迫った。

◆4年越しにたどり着いた夢の舞台

「ずっと目指してきた舞台なのに実感がわかない、信じられない感覚です」

念願のオリンピック代表になった心情をそう表現したのは、樋口新葉(21歳)。彼女にとってこれまでの4年間は挫折と苦難の連続だった。

平昌オリンピックを目指していた2017年。グランプリシリーズ2戦連続表彰台など、目覚ましい活躍を見せていた樋口だったが、代表選考の大一番でジャンプを失敗。わずかなミスが勝負を分け、夢舞台には届かなかった。

それから2か月、世界の視線が平昌の戦いに注がれていた頃、樋口は別の大会に出場するためオランダに遠征。オリンピックの模様は宿舎で見届けた。

「最初は五輪がはじまるのが怖かったから、観たくないなと思っていたんですけど、『みんながんばっているから私もがんばらないと』と思いました」(樋口)

ライバルたちの戦いに刺激を受け、砂浜に描きこんだのは“再スタートの決意”。

「やってやる〜!!」

そこからの4シーズン、ケガや不調を乗り越えながら、ただひたすら北京オリンピックを目指した。

新たな武器とするため、トリプルアクセルの習得にも挑戦。何度転んでも立ち上がり、練習に没頭した。

次のオリンピックは厳しいんじゃないかなと感じるときもあって、ケガもあったり、マイナスなことを考える時間が多かったんです。でもトリプルアクセルに挑戦しはじめてからすごく気持ちが変わって、オリンピックに向けた最後の挑戦としてがんばっていこうと思いました」(樋口)

2021年の夏には、もうひとつ活力となる出来事があった。アスリート仲間であり、プライベートでも気を許す親友たちが東京オリンピックで活躍したことだ。

競泳の池江璃花子(21歳)は、白血病から復帰して見事オリンピック出場。前回のリオで補欠だった卓球の平野美宇(21歳)は、悔しさを晴らして銀メダルを獲得した。

逆境から這い上がった親友の姿があったからこそ、「オリンピックに出れば人生が変わる。やっぱり自分がそこに関わりたい」と強く思った。

迎えた2度目のオリンピックシーズン。樋口はグランプリシリーズ・カナダ大会でようやく公式戦ではじめてとなるトリプルアクセルに成功する。次のフランス大会では3位に入り、上り調子で年末を迎えた。

そして運命の全日本選手権。フリースケーティングに臨む樋口の心は揺れていた。

「やっとここまで来られた自信があったからこそ、すごく怖いというか、緊張もあったし、4年前と同じになったらどうしようって気持ちがすごく強くて…」(樋口)

そんな不安を抱えたまま演技をはじめ、冒頭のトリプルアクセルはステップアウトするミス。

しかし、その後は崩れることなく、総合順位2位となる渾身の演技を披露した。

4年前の悔しさをぶつけるような演技を終えた樋口は、得点が発表される前から涙がとまらなかった。そして結果が発表されると、喜びを爆発。ようやく夢舞台への切符をつかみ取った。

もう4年前とは同じ気持ちを味わいたくないと思ったので、それがすごくオリンピック出場につながったと思いますし、これからの自分のスケートの中でも強みになっていくのかなと思います」(樋口)

◆4年間の成長を証明する戦いに挑んだエース

そしてもう1人、代表を決めて新年を迎えたのが坂本花織(21歳)だ。

2大会連続出場となる大舞台を前に、絵馬にしたためた願いは「オリンピックでパーフェクトの演技ができますように、自己ベスト更新!」

17歳で出場した前回の平昌オリンピックでは、強豪揃いの女子シングルで6位に入賞し、健闘をたたえられた。

あれから4年。今や日本女子のエース格となった坂本は、今回の北京オリンピックで個人戦を前にもうひとつの大きな“使命”と向き合っていた。

今年は団体がメダルを獲れるチャンスだと思うので、しっかりそのチャンスをつかみにいきたいなと思っているし、とにかくパーフェクトでやりたいです」(坂本)

10カ国が出場し、男女シングル・ペア・アイスダンスの全8演技の合計順位ポイントで競うフィギュアスケート団体。

4年前の平昌でも個人戦を前に団体戦に抜擢された坂本だったが、冒頭のコンビネーションジャンプで痛恨のミスを犯していた。その後、なんとか立て直したものの、団体女子フリーでは最下位となる5位。チームも5位に終わり、メダルを逃した。

「最初のジャンプでミスをしてからすごく焦ってしまって、どのジャンプもタイミングがズレてしまった。そこが一番悔しいです」

試合後のインタビューで、悔しさをあらわにしていた坂本。オリンピック初演技で力不足を痛感し、団体戦特有のプレッシャーにも打ち勝つことができなかった。

「ただ出場するだけではなく、次こそは大きな結果を残せるように」――その思いで坂本はこの4年間さまざまなことに取り組んだ。

ジャンプの安定感を高めるため、体の“軸”に注目。体幹を強化するトレーニングに打ち込み、持久力強化のためにはランニング時間を大幅に増やした。さらに、課題だった表現力を養うため、ヒップホップなど多種多様なダンストレーニングも取り入れた。

そして今シーズン、安定感抜群の演技で代表争いを常にリード。グランプリシリーズNHK杯で優勝、全日本選手権でも優勝と圧倒的な成績を収め、オリンピック2大会連続出場を決めた。

迎えた北京オリンピック団体戦、今回も坂本は最終日の女子フリーを任されることになった。

日本の一番手・宇野昌磨が自己ベストの演技で好スタートを切ると、アイスダンスの小松原美里・尊組、さらにペアの三浦璃来・木原龍一組が勢いをつなぐ。

女子ショートに登場したのは、坂本と同学年の樋口。オリンピック初舞台にもかかわらずノーミスの素晴らしい演技を披露した。

そして、ついにやってきた団体最終日。女子フリーを迎えた時点で日本は3位。チーム全員が見つめる前で坂本が演技に臨んだ。

演技冒頭からジャンプを次々と決めると、これぞ日本女子のエースという会心の演技を見せる。結果はROCに次ぐ2位で、日本初の団体メダルに花を添えた。

「公式練習のときはすごく緊張したんですけど、試合のときはだいぶ落ち着いてできました。みんながノーミスでやってきたし『自分もノーミスで締めないと』と思って、ひたすら自分に集中してやりました」(坂本)

4年間の成長を見事に証明してくれた日本のエース。いよいよ次は、個人の力が試される女子シングルに挑む。

◆大技を武器に躍進したシンデレラガール

そして日本女子3人目の選手は、河辺愛菜(17歳)。

シニア2年目で大きな実績こそないものの、大技「トリプルアクセル」を武器に大躍進したシンデレラガールだ。

年末に行われた全日本選手権では、ショートに続きフリーでもトリプルアクセルに成功。その後も伸び伸びとした演技で観客を魅了し、有力選手たちを抑えて3位に入った。

(オリンピックは)トップアスリートが戦っているところという感じで、自分が出るのは想像できなくて、夢の舞台という感じ

謙虚にそう語る河辺は、普段は京都の高校に通う高校生。友人の声援を受け、はじめてのオリンピックに挑む。

シンデレラガールが夢の舞台でどんな演技を見せてくれるのか、その活躍に期待したい。

※放送情報:『北京オリンピック スピードスケート女子1000m、フィギュア女子フリー』
2022年2月17日(木)午後4:45~深夜0:10 テレビ朝日系