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『愛しい嘘』第4話。男のズルさ、脆さ、頼もしさに心かき乱れる!白熱した林遣都VS徳重聡【ネタバレ有り】

<ドラマ『愛しい嘘~優しい闇~』第4話レビュー 文:横川良明>

こんな林遣都が見たかった…!

スリリングな展開が続く金曜ナイトドラマ『愛しい嘘~優しい闇~』。第4話は男のズルさや脆さ、そして頼もしさに心がかき乱れるような回だった。

◆林遣都VS徳重聡。スリリングな駆け引きに思わず息を呑む!

第4話を牽引したのはやはりこの男、優美(黒川智花)の夫・正(徳重聡)だ。

優美のスマホに稜(溝端淳平)との通話記録があったことから、2人が不倫関係にあったのではないかと疑う正は、家政婦に命じて中傷ビラを撒き、稜の畑を荒らさせる。

しかも、事態が明るみに出ると、権力を使って真相を隠蔽。その狡猾な悪役っぷりで、視聴者の神経を逆撫でする。

特に強烈だったのは、優美の遺骨をいとしそうに抱き寄せている場面だ。その幸せそうな顔は、思わず声が出る不気味さ。実際、正は遺骨になってようやく優美を自分のものにできたのだろう。生きていると、自分の思い通りにはいかない。でも、物言わぬ骨なら、自分を落胆させるようなことは何もしない。

結局、正にとって優美は自分の支配欲を満たすためのお人形でしかなかった。どれだけ愛していたと言ったところで、正は優美のことを意志のある人間としては見ていなかったのだ。それが、あの遺骨ハグではっきりした。

これが、いかにも硬派な徳重聡のルックスだからこそ、正の不気味さが際立つ。次々と繰り出される振り切った表情は、まさに“顔芸”のオンパレード。かっと目を見開き、口角を釣り上げ、舐めるように相手を睨めるその顔は、毒蛇のよう。

『トレース〜科捜研の男〜』の悪徳政治家や『ドクターX 〜外科医・大門未知子〜』の言ってることがペラペラな環境大臣など、最近は強烈キャラがすっかり板についた徳重聡だが、この正はその真骨頂。今後も悪役俳優として唯一無二の路線を突き進んでほしい。

一方、そんな男の傲慢さを煮詰めたような正とは対照的に、男の知性と機転を見せたのが雨宮(林遣都)だった。DVの証拠があると偽り、正の口封じに乗ったように振る舞うことで、正から優美に暴力をふるった事実を認めさせる発言を引き出し、さらに週刊誌の記者と手を組むことで、正に社会的制裁を与えた。

この一連の駆け引きは、雨宮の切れ者感が存分に出た場面。「でも、無駄になってしまいました」と乾いた視線で正を一瞥したあと、「この証拠、どうしたらいいと思います?」といやらしく頬を緩ませる。このゲスい表情にゾクゾクしてしまう時点で、林遣都の手のひらで踊らされている証拠。

しかも、そんな大胆な騙し討ちを演じた直後、「ああ、怖かった」といたいけなワンコのような表情に。この振り幅がケントハヤシ!

笑ったときにできる目尻のシワは、林遣都のチャームポイント。同じ目尻のシワなのに、正に向けてのときは挑発的で、仲間たちのもとに戻ってくるときのそれは素朴で柔らかい。どれが本当の雨宮秀一なのか。くるくると変わる表情に、つい翻弄されてしまう。

持ち前の凛々しさと気品を前面に出しながら、単なる王子様然としたキャラクターで終わらず、底の見えない落とし穴のようなブラックホール感で視聴者を惑わせる、まさに林遣都のビジュアルと演技力があっての役どころ。そうそう、こういう林遣都が見たかったのです! ありがたすぎて、この雨宮だけで、ご飯3杯はいけそうです。

◆明かされた14年前の罪。稜の告白は真実か…?

ところが、そんな雨宮が正に刺されてしまうところで、今週は終了。冷血な表情から一転、正の口元がかすかに綻ぶ。その恐ろしさと、バックに流れる『あなただけ』のミスマッチ感に、思わず肌が粟立ってしまった。

何事も計画通りに見える雨宮だけど、はたしてこの正の行動も計算の内なのか、それとも予想外なのか。雨宮の命運が、次回の最大の注目ポイントだ。

また、今回、隠されていた14年前の罪が稜の告白によって明らかとなった。稜たちが遊んでいた花火によって、中野幸の自宅が燃え、両親が死んでしまったのだと言う。これが真実だとすると、中野幸にとって復讐の動機は十分。

ただし、その場に望緒(波瑠)と雨宮はいなかったのだと言う。だとすると、2人はこの復讐のターゲット外なのか。

だが、嘘がテーマの作品だけに、この稜の告白をそのまま素直に受け取っていいのかもまだわからない。今のところ稜があまりにも善良なキャラクターすぎる。怪しくない人間が何か秘密を抱えているのがミステリーの常套手段。とすると、いかにも胡散臭さが漂う雨宮ではなく、稜の方がむしろジョーカーを隠している可能性もありそうだ。

望緒をめぐって、雨宮に敵対心を抱いているのも、今後の展開のフックになりそう。演技力に定評のある溝端淳平だけに、稜の“闇堕ち”も見てみたいところだけど、はたしてどうなるか。

優美の不倫相手もまだはっきりとしていない。奈々江(新川優愛)を渓谷に連れ出すように優美にそそのかしたのも、不倫相手のようだ。優美をたぶらかし、裏で糸を引いている黒幕が中野幸だとしたら…? 優美が亡くなった今、残るターゲットである稜と玲子(本仮屋ユイカ)を狙って、次はどんな手口で来るのか、まったく想像がつかない。

少しずつ思い出してきてはいるものの、望緒の記憶が曖昧な理由もまだよくわかっていないし、玲子のついている嘘も現時点では不明だ。

前半戦を終え、ここからが中盤戦。次に暴かれるのは、誰の嘘か。心して見守りたい。(文:横川良明)

※2月4日より、これまで放送された全話(第1~4話)が「TELASA(テラサ)」、「ABEMA」、「TVer」で特別無料配信中!<期間は2月11日(金)第5話放送前までとなります>

※『愛しい嘘~優しい闇~』最新回は、TVerにて無料配信中!(期間限定)

※過去回は動画配信プラットフォーム「TELASA(テラサ)」で配信!

※番組情報:金曜ナイトドラマ『愛しい嘘~優しい闇~
【毎週金曜】午後11:15~深夜0:15放送、テレビ朝日系24局(※一部地域で放送時間が異なります)
<次回2月11日(金)の第5話は午後11:25放送>