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小宮孝泰、主演作の“北海道知事賞”受賞に驚き!「こんなくだらなくてダメでエッチな作品が…」

渡辺正行さん、ラサール石井さんとともに「コント赤信号」として人気を博し、30代からはドラマ、映画、落語、独り舞台、舞台プロデュース、英語劇などソロ活動にも精力的に取り組んできた小宮孝泰さん。

2012年、公私ともに一番の理解者だった愛妻・佳江さんに先立たれた小宮さんは、佳江さんが病気のことや家族のこと、日々の生活のことをノートに書き残していたほとんどすべての文章を6年かけてパソコンに打ち出して整理し、写真を選別して二人の出会いから別離までを愛情をこめて綴ったエッセイ『猫女房』を2018年に出版。「妻より長生きできたことが何よりの妻孝行だと思うようになった」と話す。

※『猫女房』
著者:小宮孝泰
42歳の若さで先立った妻・佳江さんが夫を気遣い、たくさん遺してくれたメッセージと猫の写真を散りばめながら夫婦の日常・思い出、「がんと過ごした日々」を詳細に記し、医師の選択と治療、在宅医療と在宅死の問題も丹念に描く。

◆売れない歌謡コーラスグループが主人公の人気芝居が映画化

30代からは俳優業をメインにしてきた小宮さん。演出家で劇作家の水谷龍二さんやラサール石井さんたちとはじめた芝居『星屑の会』が26年目にして映画化。2020年、映画『星屑の町』(杉山泰一監督)が公開された。

※映画『星屑の町』
大手レコード会社の元社員・山田修(小宮孝泰)をリーダーに、歌好きの飲み仲間や売れない歌手が集まって結成し、十数年経ってもヒット曲もない「山田修とハローナイツ」(大平サブロー、ラサール石井、渡辺哲、でんでん、有薗芳記)。生まれ故郷の東北の田舎町へ巡業に訪れた修は、遺恨を抱える弟・英二(菅原大吉)と久々に再会を果たす。英二の息子(小日向星一)の幼なじみで歌手志望の愛(のん)がハローナイツに入りたいと言い出したことから騒動に。

-ずっと舞台で上演してきた人気芝居が映画という形になっていかがでした?-

「前に映画化の話は一度ならずあったんだけど、スポンサーが集まらなくて頓挫(とんざ)することが多かったんです。だから、本当に実現するとは思いませんでした。

映画になったのは、もともと1995年に上演した第1作の話なので、ずっと若い頃の話だから、本当はもっと前に撮ったほうが良かったんだけどね。

芝居では菅原大吉くんの立ち位置はあそこじゃなくて、映画で小日向(文世)さんの息子さんの小日向星一さんがやられた役だったんだけど、さすがにこの年齢じゃ無理だろうって(笑)」

-この舞台ができたきっかけは何だったのですか-

「僕と(ラサール)石井くんが水谷(龍二)さんの舞台の旅公演中に『歌謡コーラスグループの物語はどう?』という話が出たのがきっかけです。

それでコーラスグループのメンバーをどうしようかということになって。でんでんさんは水谷さんの共通の仲間で、(渡辺)哲さんは水谷さんの紹介。有薗芳記くんは僕がアングラ芝居をやっている頃からの付き合いなんですよね」

-メンバーの皆さん、息もピッタリですごくいい感じでした-

「そうですね。映画では舞台から台本が変わるのかなと思っていたんですけど、ほぼ変更がなかったので演じやすかったです。

あの映画は1シーン6ページのところがあるんですよ。普通だったら、カットを割っていっても良いんだけど、あれは長回しで撮ったりしているの。ずっと舞台でやってきたからそれができるんですよ。セリフも入っているからあまりトチらないし」

-集合場所に車が来なかったことがあったとか-

「そうそう、あれは笑ったなあ(笑)。朝6時に新宿集合だったから、5時半くらいに集合場所に行ったらでんでんさんがいて、それから哲さんが来て、『きょうロケバスで行くのは俺たちだけかな?』なんて言いながら待っていたんですよ。

でも、6時20分くらいになっても誰も来ないから、『さすがにこれはおかしいね』って、晢さんがスタッフに電話したら、『すみません。そっちへ行くのを忘れていました』って(笑)」

-メインの3人を忘れてというのはすごいですね-

「すごいでしょう? それもこっちが連絡するまでしばらく気づかなかったんだからね。それで、『領収書をもらえばタクシーに乗っていいらしいよ』ってなって。

早いうちに気がついたから、そんなに時間的に支障がなかったし、あまり怒るのも大人げないから、『ちょっと、来なかったじゃない』くらいのことで済ませましたけどね。

3人だったから逆に怒らなかったのかな。ひとりだったら怒ったかもしれない。怒らないと格好がつかないから(笑)。何事もなかったように撮影は進んでいきましたけどね」

-ヒロインは6年ぶりに映画出演となったのんさんでした-

「可愛いんだけど、歌はワイルドでカッコいいんですよ。彼女のセリフに『おら、あんたたちの人生、変えるかもしんねえよ』というのがあるんだけど、本当に僕らの人生を変えてくれるんじゃないかと(笑)。シリーズ化するのが夢なんですけどね」

◆妄想老人を演じた主演映画の撮影で公園を追い出され…

現在公開中の主演映画『桃源郷的娘』は、老人の性と妄想力を描いたコメディー。

小宮さん演じるホームレスの老人が、公園のベンチで眠っている若い女性(川越ゆい)に恋をする。しかし、すでに男性機能を失っている彼は、恋を成就させるために突拍子もないアイデアを思いつくというストーリー。

-主演というプレッシャーはありましたか?-

「主演だからというプレッシャーはなかった。舞台の場合は違うと思ったら次の日に直すこともできるけど、映画はもうやっちゃったものをお客さんと一緒に観ることになる。それはものすごく気恥ずかしいんですよね。

そんなにたくさんウケないと思うけど、ウケたらものすごくホッとするし、いくつかのギャグはウケてほしいなとは思います。そういうプレッシャーは確かにあります。ギャグ的な部分は、ほぼ僕が考えているといってもいいくらいですからね。

監督が考えてきたのもありましたけどね。例えば『あしたのジョー』の『立つんだジョー』というセリフが台本にあったんですけど、最初に読んだとき『ワーッ、やばーい。このベタなというかダジャレだけのセリフ、どうしようかな。まあちょっと現場で考えてみるか』って(笑)。

そもそもこれがおもしろくないから変えようとか言ったら、たぶん監督も傷つくだろうし、これはもう監督からの挑戦だろうと思って、どうやったら成立するのかなと」

-太田監督の監督デビュー作である前作『狂える世界のためのレクイエム』には映画を撮らない映画監督役で出演されていましたね-

「そう。難しい映画論とか言っちゃってね(笑)。ロベルト・ロッセリーニがどうだこうだとか言ってもわからない人が多いでしょう?

監督は日活社員で総務人事部の所属だから製作畑ではないんですよ。とにかく映画が好きで映画オタクみたいな人。そんな監督から『お金は自分で用意しました!』と事務所にオファーいただいて『狂える世界のためのレクイエム』に出演することになったんです。

だけど前作は『コメディーなんだかシリアスなんだかよくわからない』と言われ、劇場公開にこぎつけるまで苦労したんですよ。同じ過ちを繰り返すのでは芸がないから今回は企画から参加させてもらって、『前作が観念的だったから今回はわかりやすいエロとコメディーの映画にしようよ』と僕が提案したら、監督も同じ考えだったんですよね。

素っ裸の(川越)ゆいちゃんを背負って走ったり、撮影許可を取ってなくて公園を追い出されたり、気合いの入ったカメラマンや照明さんたちと言い争いになったりしたこともありましたけど、作品を良いものにしようという生きた現場だという実感はありました」

-『桃源郷的娘』は「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2019」で北海道知事賞を受賞しました-

「ビックリしました。こんなくだらなくてダメでエッチな作品が北海道知事賞をもらえるなんてまさにギャグみたいだよね(笑)。1時間の間に3回は笑いが来て欲しいなあ」

-今後はどのように?-

「一番は英語圏のフィルムに出たいということ。ロンドンの演劇留学から帰って来てからも英会話教室は続けているんですけど、仕事が入ってほかのことをやらなきゃいけなくなると英語が抜けちゃうので、日々やらないといけないなと思っています。

舞台は、東京の劇場は2年くらい前からめぼしいところは抑えないと取れないので、僕もすでに計画はしてあるんですよね。コント赤信号で芝居をやりたいとかね」

-私は(M.C.ハマーのパロディーの)「MCコミヤ」も結構好きでした-

「今やるとなったら大変だけど、あの衣装はまだ少し取ってありますよ。年をとるということは、昔できたことができないということ。あれができないんですよ(笑)。でも、新しいことができるかもしれない。だから一応からだは鍛えていますよ」

俳優業をメインに幅広い分野で活動を続けている小宮さん。生前はお芝居も落語も最初に観てもらうのは奥さまだったそうで、今も舞台のときには奥さまの写真立てを持って行き、照明室などに置かせてもらっているという。亡き奥さまへの愛が心にしみる。(津島令子)

©太田慶

※映画『桃源郷的娘』
アップリンク吉祥寺ほかにて全国順次公開中
配給・宣伝:アルミード
監督・脚本・編集:太田慶
出演:小宮孝泰 川越ゆい 永里健太朗 ヘイデル龍生 三坂知絵子
川端康成の『眠れる美女』をモチーフに、アナーキー老人の爆走する性と妄想力を描いた艶笑コメディー。老浮浪者(小宮孝泰)は公園のベンチで居眠りをしている娘(川越ゆい)に恋をした。だが、彼はすでに男性機能を失っていて…。

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