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体操女子57年ぶりのメダルへ。村上茉愛「本気で獲りにいきたい」カギは平均台

東京五輪で、体操女子57年ぶりのメダル獲得に挑む・村上茉愛(24歳)。

怪我から一時は「引退」も考えたエースは、さらなる進化を遂げて復活し、メダル獲得のためにあらたな“武器”を磨いていた。

7月4日(日)放送の『GET SPORTS』では、進化をつづける日本のエースに、世界体操プレゼンター・知念侑李(Hey! Say! JUMP)が迫った。

◆「体操から一回離れたい」エースを襲ったピンチ

2017年の世界体操。種目別ゆかで、日本女子として実に63年ぶりの金メダルを獲得した村上。

その勢いはとどまることなく、翌2018年の世界体操では、4種目の合計点で争う個人総合で日本女子史上初の銀メダルに輝いた。

前回のリオオリンピックでも個人総合に出場し、東京五輪では日本女子史上初、個人でのメダル獲得に期待がかかっている。

そんな村上だが、ここまでの歩みは決して順風満帆ではなかった。

2019年、代表選考会の直前に持病である腰の怪我が悪化する。試合に挑もうとするが、あまりの痛みに棄権。代表に入ることができず、一時は「引退」の2文字も頭をよぎったという。

彼女にとって、この3年間はどんな時間だったのか?

「怪我もそうだし、コロナもそうだし、試合がなかったので、3年間が空白すぎてすごく長かった。トータルで振り返ったら、つらい思いしかなかった。体操から一回離れたいなと思いました。でもその気持ちがあったから、コロナ禍の自粛生活は、自分の競技に向き合える時間になったと思います」

コロナ禍という難しい状況の中、精神面でも強くなった村上。

怪我と向き合いながら復活をはたすため、懸命にトレーニングをつづけ、見事大舞台の切符を手にした。

3年間はすごく長ったんですけど、自分は体操が好きということがあらためてわかった。一から競技力も人間力も見なおすことができて、怪我する前よりも強くなったので、五輪でメダルをとれるようにがんばりたいと思います

五輪出場を決めた試合後のインタビューではそう語り、涙ながらに五輪でのメダルを誓った。

◆痛恨の落下。0.1点差で逃した表彰台

メダル獲得の目標のため、村上が強化している種目がある。

平均台が1番自分のなかではやっぱり、試合のリズムもそうだし、点数的にもカギになってくる

村上がメダル獲得のカギと語る「平均台」とは、幅わずか10センチ、はがきと同じサイズの平均台を使って実施される競技。

平均台は少し感覚がズレたり、歪んだりすると、落ちてしまったりするので、自分の体操の中でも一番制御が効かない種目。自分の演技がきちんとできれば、メダルを狙いにいける。(メダルへ)1歩近づくのかなって思います

実は村上、この平均台で失敗した悔しい経験がある。

2017年の世界体操の決勝。個人総合の予選をトップ通過し、金メダルが期待されるなかで迎えた決勝。3種目目の平均台で落下し、わずか0.1点差で表彰台を逃したのだ。

「あそこでもし(表彰台に)のっていて、個人総合で金メダルを獲れていたら、今ここにはいないかな。たぶんあそこで満足していた自分がいると思う。あの悔しい経験があったから、もう一度あの舞台で戦いたいって思えたし、やっぱりメダルを本気で獲りにいきたいって思えて、今もやれている」

悔しい経験を経て、世界と戦ううえで平均台がカギを握ると強く感じた。では、東京オリンピックでメダルを獲るために、何が必要なのか?

「とにかくふらつかないことが一番。一度ふらつくと、リズムが狂ってどんどんどんどんふらついたりするので、ふらつかないことが一番大事になってきます。ちょっと足を上げただけで0.3の減点になってしまうので、減点項目がガッと引かれる。ちょっとふらついただけで、点数が全然変わっってくる種目です」

ふらつきが命運を握る平均台。先述した村上の落下は、1点の減点だった。こうした「ふらつき」や「落下」を防ぎ、極力減点されない演技を目指すことが重要だという。

「頭が“ブレる”っていうんですけど、真っすぐの姿勢、“気をつけ”の姿勢がゼロだとしたら、前に行きすぎたり、後ろに行きすぎたりするので、極力気をつけの姿勢できれいに着地をすることを意識してやっています」

大切なのは、技を繰り出し、平均台に着地したときの姿勢。頭を下げず、体の軸を1本の棒のように意識することで、ふらつきが防止できるという。

村上は映像で自分の姿勢を何度も確認し、平均台以外の場所でも繰り返し練習を重ねた。

「平均台は怖いというより自分にどれだけ自信をもって挑めるか。普段の練習も平均台の通す量を倍ぐらいに増やして、自信がつく練習をたくさんやりました」

オリンピックで悲願のメダル獲得へ、これまで以上に多くの時間を平均台に費やした。

◆五輪では「自分が求めつづけてきた体操」を

そしてオリンピック前最後の試合となった種目別選手権。本番に向け弾みをつけるべく、カギとなる平均台に臨んだ。

村上はふらつきを最小限に抑えるため、身体の軸を真っすぐにすることを意識。さらに、ブレない軸が求められる大技「3回転のしゃがみ立ちターン」も成功させた。

最後の着地もきれいにきめ、結果は13.9という高得点。この種目3年ぶりの優勝をはたした。

「なんとかミスなく演技できたのは、すごく久しぶり。失敗癖がちょっとあったので、それを感覚として取り戻せたのはいい収穫だったと思います」

引退も考えるほど苦しみながら、それでも自分と向き合い、2大会連続の大舞台への切符をつかみ取った日本のエース。

「目標はメダルですか?」という質問に、キッパリと「はい」と答えた。

自分が求めつづけてきた体操、力強く質の高い綺麗な演技。みんなを惹きつけるような、『やっぱり村上は強いな』って思ってもらえるような演技をして終わりたいなと思っています

番組情報:『GET SPORTS
毎週日曜日夜25時25分より放送中、テレビ朝日系(※一部地域を除く)