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甲子園初出場で強豪・明豊を追い詰める善戦。公立・東播磨の強さの秘訣は「日本一の走塁」

第93回選抜高校野球大会。3月22日に行われた1回戦は、高校野球ファンの記憶に刻まれる試合となった。

21世紀枠で甲子園初出場を果たした公立高校・東播磨高校が、今大会の準優勝校、大分の明豊高校を相手に延長11回まで熱戦を繰り広げたのだ。

初出場にもかかわらず、なぜここまで強豪校を追い詰められたのか――。

4月4日に放送された「GET SPORTS」では、「熱闘甲子園」キャスター・ヒロド歩美が東播磨高校の練習に密着。強さの秘訣に迫った。

◆テニスボールでのノックも。室内外で工夫を凝らした練習の数々

兵庫県稲美町にある県立東播磨高校。

同校が勝ち取った21世紀枠は、秋の大会で上位の成績をおさめた高校の中から模範となる取り組みなどが評価され選ばれる特別枠だ。

東播磨が選ばれた理由のひとつが、さまざまに工夫を凝らした練習への取り組みだった。

彼らが練習するグラウンドは、なんと他の部活と共用。それでも部員全員が参加できるようにと、5つの班に分かれ、限られたスペースで同時練習を行っている。

外だけでなく、室内でも練習を行っていて、“前転してからのボールキャッチ”という異色な練習も。

前転をすることで、一度ボールから目を離してもスムーズに落下点に入る力を養うために取り組んでいるそうだ。

さらに、福村順一監督によるテニスボールでのノックも。ボールの出所を隠したうえで、スタートが出遅れても最短距離でキャッチするための練習だ。

しかも、足元には無数のコーンが置かれており、選手はそこに触れないようにボールを追う。こうすることで、あえて打球から目を離すようにしているのだ。

「基本的に飽きないようにというか。単調練習になってしまうので、いろんなことをしようと思っています」(福村監督)

取材した日にはヒロドアナも練習に特別参加。福村監督の厚意で、テニスノックの球出しを務めることに。

「選手の子ら俺が打つよりもイキイキしている」と監督が言うように選手達には多くの笑顔が。

つらい練習でも、部員には笑顔がある。バリエーションとゲーム性をもたせることで楽しみながら力をつけていたのだ。

◆走塁の熱意は「自信を持って日本一と言えますね」

そんなさまざまな工夫を重ねてきた東播磨は、コロナ禍でのオンライン指導という新しい取り組みも評価され、21世紀枠に選出。

そして、もうひとつの選考基準である秋の大会では、兵庫県で見事準優勝。

その強さの理由は、“走塁”にあった。

「走塁に関しても全員で毎日やっていたり、そこらへんは(すでに)甲子園に出ているチームにも引けを取ってないのかなって思います」(島津知貴)

「走塁に対する熱意。どこのチームにも負けないほど練習を毎日やっているので、自信を持って日本一と言えますね」(原正宗主将)

選手たちが絶対の自信をもつ走塁。これも独自に工夫した練習で培ってきたものだった。

ひとつは「スラスラ」と名付けられた、短い距離でスライディングを繰り返す練習。暴投など、相手のミスがあったときにすぐに立ち上がり、次の塁を狙えるようにしている。

少ないチャンスを走塁でものにしようとする野球こそ、東播磨の真骨頂なのだ。

なかでもその野球を象徴する伝統的な戦術が、”ゴロゴー”。ゴロゴーとは、ランナー3塁の場面でバッターが狙って内野ゴロを打ち、1点をもぎ取るプレーのことだ。

ランナーはバッターのスイングとほぼ同時に走り出すため、ゴロを打てば高確率で得点が入る。これがチームで最も理想とされる得点方法となっている。

このゴロゴーをより確実にするため、毎日のように練習を重ねてきた。

「ランナーも、バッターが当ててくれると信じないと早くスタートが切れないところまで極めてやっているので、そこは信頼関係のうえで成り立っていますね。日頃の練習からやってないと、本番ではやっぱり思い切ってスタートを切れないので、真剣に1球1球を大事に練習はやっていますね」(原主将)

仲間との絆――これこそが東播磨が目指す理想の野球だ。

◆初甲子園で”らしさ“見せつけるも、さらなる進化を

東播磨は、初出場となったセンバツでもその力を見せつけた。1回戦、対するは甲子園春夏通算11度出場、大分の名門・明豊高校。

強豪校と接戦を演じ、東播磨が1点を追う9回の攻撃で3番・高山隼が二塁打で出塁。すると、続く4番・砂川天斗に福村監督は代打を送った。

「4番の砂川に代打を送って、とにかくバントしかないと。あの中で、一番チームの中でバントが上手いというよりも、性格的にしっかりしていて一番努力しているので、大事な局面を上野(耕平)に託しました」(福村監督)

三塁コーチから打席に入った上野は、バントを見事に成功させ1アウト3塁。東播磨の理想とする“ゴロゴー”が狙える形となる。

ここで打席に立ったのは、チームのエース・鈴木悠仁。

「『ああ、ここ絶対ゴロゴーだな』って思って、練習通りにやればできるだろうって、自信を持って打席に入ることができました」(鈴木)

仲間を信じたゴロゴーを、後のない土壇場の場面で見事成功。その後、延長で敗れはしたものの、聖地で東播磨の野球を体現してみせた。

「伝統の“ヒガハリ野球”っていうものを、甲子園で全力で表現することを目標にしてきたので、甲子園という舞台で(ゴロゴーで)得点ができたのは良かったかなと思います」(原主将)

しかし、このゴロゴーは、まだまだ完成されていないと監督は言う。

「実際、ランナーの高山はミスをしていて、ちょっと速く動いちゃってるんで。だからそれでエンドランみたいな形になっていたんですよね」(福村監督)

さらに進化したヒガハリ野球を、夏の夢舞台で見せてほしい。

番組情報:『GET SPORTS
毎週日曜日夜25時25分より放送中、テレビ朝日系(※一部地域を除く)