コロナ禍でも解雇ゼロ!木下大サーカスが長期休演から奇跡の復活をはたした理由
テニスの現役を退いてから「応援すること」を生きがいにしている松岡修造が、東京オリンピック・パラリンピックや未来に向けてがんばる人たちを応援する「できる宣言」。
今回紹介するのは、木下大サーカスだ。
現在、コロナ禍で大打撃を受けているショーやイベント業界。2020年6月には、世界的サーカス団のシルクドゥソレイユが経営破綻し95%の従業員が解雇された。
そんななか、奇跡を起こしたのが創業118年の老舗・木下大サーカス。
2020年、4カ月間もの長期休演に追い込まれたにもかかわらず、ひとりも解雇することなく、奇跡の公演再開をはたした。
その奇跡の原動力が「情熱」だと話すのは、社長の木下唯志さん。
その「情熱」でどのように困難を乗り越えてきたのか、修造が話を聞いた。
◆なんとしてもこのサーカスを守りたい
まず木下さんが直面したのは「資金難」だ。
年間15億円以上の公演の収入が途絶えたなかで、100人もの団員の生活を保障しなくてはならならなかった。さらに、舞台で使用する大きな仕掛けのメンテナンス費用も必要になる。
そんななか、団員たちから驚きの節約方法が飛び出す。
鉄工所にお願いしていた大きな仕掛けのメンテナンス費用を節約するために、団員自ら溶接の資格を取り、メンテナンスを行ったのだ。
なんとしてもこのサーカスを守りたいと、団員たちは情熱を燃やしつづけた。
さらに、団員以外にも資金難の助けになろうと立ち上がった人々がいた。それは、年間560もの公演によって生まれた多くのファンたち。じつに総額2700万円以上の寄付が集まった。
しかし、ひとりの団員も欠けることなく公演再開の奇跡を起こすには、資金難ともうひとつ、乗り越えるべき壁があった。
それは、舞台に立てない団員たちの“不安”。
「やっぱりモチベーションですね。『どうなるんだろう』とみんな不安になっています。みんなの気持ちが低下したらいけないから、ここで本番のリハーサルをやりました。そうするとやっぱり、みんなの気持ちが高まってきますよね」(木下さん)
先行きの見えない不安のなか、情熱を持ちつづけるため、週に一度本番さながらのリハーサルを行った。団員たちは危険な技にも果敢にチャレンジし、いつ公演が再開してもいいよう準備を徹底していた。
◆コロナ禍の困難「とにかく乗り越えていきたい」
そして休演の4ヶ月間を耐えに耐え、2020年8月に公演を再開。以前と同じように、空中ブランコやハンドバランスを見せてお客さんをよろこばせた。
今なお、収入面でのピンチはつづいているが、木下さんは前を向いている。
「今コロナ禍で、実際お客さまも10分の1とか、20分の1、30分の1だけど、ありとあらゆるものをつぎ込んででも、とにかく乗り越えていきたいなと思っていますよ。地球自体がおかしいじゃないですか。そうはさせませんよ、人類は」(木下さん)
ひとりも欠けることなく、奇跡の公演再開をはたした木下大サーカス。前を向き進みつづけた木下さんのできる宣言は、「木下大サーカスは世界一の魂の集団。情熱があればなんでもできる」。
修造は「木下 できる大サーカス」とエールを送った。
※番組情報:『TOKYO応援宣言』
毎週日曜あさ『サンデーLIVE!!』(午前5:50~)内で放送、「松岡修造の2020みんなできる宣言」も好評放送中、テレビ朝日系