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五郎丸歩「日本では考えられない」仏リーグでの経験。来季から参戦の松島幸太朗へエール

ラグビーワールドカップで活躍したスターが集結する世界最高峰プロリーグ、フランスラグビーリーグ「TOP14」。

1892年に発足し、現在、興行的にもっとも成功しているリーグといわれ、決勝戦は約8万人がスタジアムを埋める。

このリーグに、来シーズンから日本代表の松島幸太朗選手が参戦する。移籍するチームはフランスオーヴェルニュ州、クレルモン=フェランに本拠地を置くASMクレルモン・オーヴェルニュ。TOP14で2度優勝したことがある強豪だ。

松島選手の加入によりますます盛り上がりを予感させるTOP14とは、いったいどんなリーグなのか。

2016/17シーズンに同リーグのRCトゥーロンでプレーした元日本代表・五郎丸歩選手(ヤマハ発動機)に電話取材し、TOP14の魅力を語ってもらった。

◆「TOP14は世界中が憧れている場所」

──2016-2017シーズンにトゥーロンでプレーして強く感じたことは?

「TOP14は日本ではなかなかなじみがなく、南半球の『スーパーラグビー』が憧れのリーグとなってきましたが、世界的に見ればフランスのTOP14やイングランドの『プレミアシップ』のほうが選手たちの目指す場所になっていると思います。

ワールドカップや各国代表でトップを張りつづけている選手たちが集まっており、とくにトゥーロンは世界各国から集まったスター軍団で、サッカーでいうならレアル・マドリードのようなスーパースターが集まったチームです。そこでプレーさせてもらったシーズンというのは本当に刺激的な1年でした」

──その前にプレーしていたスーパーラグビーとの違いは?

「TOP14は経験を積んだ選手たちが集まってくるところで、スーパーラグビーはどちらかといえば若手のこれから頑張ろうとしている選手たちがプレーしているという印象があります。

TOP14は本当に結果を残した選手だけが集まるところで、世界中が憧れている場所でもありますし、ラグビーの文化が根付いていることもあって人気があります。スーパーラグビーは最近観客数が少なく、日本(サンウルブズ戦)だけ満員になる一方、海外ではガラガラ、というイメージです。

TOP14は本当に地域のラグビーが好きな人たちが集まってきて、試合によっては5万人、6万人入ることもあります。南半球とはまた違った雰囲気をもったリーグだと思います」

写真:AFP/アフロ

──トゥーロンの本拠地、スタッド・マヨルの観客が作る雰囲気は?

「試合を見て楽しむ環境が試合の前から後まですべて準備されていて、ただ見に行くだけではなく、見に行く前からファン同士が触れ合ったり、試合が終わった後は選手とファンとスポンサーが触れ合ったり、本当に丸一日楽しめるような、ピッチサイドだけでなくマネジメントも充実しているリーグだと感じました」

──フランスリーグのラグビースタイルは?

「フィジカルを前面に出したシンプルな戦い方をすると感じました。シーズンは約10か月ありますし、そのなかにはテストマッチ(各国の代表戦)も入るのですが、中断せずに10カ月まるまるやりますので、本当にチームの力が試されるリーグだと思います。

また、日本では細部までサインプレーを決めるなど、ある程度決めごとで勝ちにいくというスタイルのチームが多いのですが、TOP14は個の力に頼る部分が非常に大きいですね。トゥーロンは当時まさに個の力で勝つチームでしたし、そういった部分が全面的に出ていたと思います」

──TOP14はホームとアウェイでスタジアムの雰囲気が大きく違うように思われますが?

「アウェイでは非常に厳しい空気のなかでの試合となります。日本国内や南半球ではなかなか感じられない雰囲気ですね。日本はお客さんがみなさんラグビーファンという感じで優しく観戦してくださるので。

フランスではホームチームをかなり応援しますし、アウェイのチームにはブーイングが出たり、キックを蹴るときもプレッシャーをかけたりと、フランスならではの雰囲気が出ていたと思います」

◆「今まで体験したことのないシーズンだった」

──松島選手が移籍するクレルモン・オーヴェルニュについては?

「トゥーロンに近いレベルで本当に個の力があるチームです。そのなかに松島選手が来季加入するということですけど、僕はやっていけるのではないかという感じはします。

彼も個の力が非常にありますからね。あとは周りとうまくコミュニケーションを取りながら彼なりの良さを出せれば、とてもいいシーズンになるのではないかと思っています」

──あらためてトゥーロンから持ち帰ってきたものとは?

「日本でいえばシーズンは9月ごろ始まって長くて3月まで、つまり約半年ですが、TOP14ではそれが10か月になるということで、今まで体験したことのないシーズンだったと思います」

──松島選手もそのようなシーズンを迎えることになりそうですね。

「彼も引きつづき日本代表に選ばれれば、シーズン途中で日本に帰ってきたりヨーロッパで代表と合流したりと、今まで経験したことのないシーズンになると思います。そのなかでオンとオフをどう切り替えていくか、ということがフランスリーグで活躍していくためのカギになるでしょう。

10か月まるまる集中しつづけるのは難しいですし、とくに途中で日本代表に合流すると、リズムが変わったり時差の影響を受けたりします。

そういう意味でもオンとオフをしっかりと切り替えながらやっていければ、彼の力でいけばスタメンを勝ち取ることができるのではないかと思います」

写真:AFP/アフロ

──フランスは広い国ですが、国内の移動は大変でしたか?

「トゥーロンは田舎町でしたから、移動については飛行機を貸し切ってチャーターして飛んで、ナイターの試合が終わって空港に深夜1時ごろ着いて、そこからチャーター機でトゥーロンに戻ってきて、という感じでした。

日本では考えられない移動ですが、コンディション維持を優先してくれるなどしっかりと選手を守ってくれていると感じました。これは日本だけでなく、南半球でも味わえなかったですね」

──フランス国民からラグビーは愛されていると感じましたか?

「非常に愛されていますね。松島選手が移籍するクレルモンは優勝経験もありますし、クレルモン=フェランはさほど都会ではないエリアなので、ラグビー選手たちがいい意味で持ち上げられるといいますか、注目を浴びるなかで生活していくことになるのかなと思いますね」

──そのほか、注目しているチームがあればお願いします。

「トゥーロンからリヨンに移籍していった選手が多いので、リヨンも好きで見ています。あとは、次のワールドカップ(2023年大会)がフランス開催ということで、TOP14で実際に使うスタジアムやワールドカップの会場になっているところもあります。

そう考えるとフランスで生活に慣れることは、松島選手の次のワールドカップに向けてプラスになってくると思います」

◆松島は「結果を残してくれると思います」

──代表では一緒にプレーし、トップリーグでは対戦してきた松島選手を、どのような選手だと思っていますか?

「ポテンシャルが非常に高くて個人能力も高いので、TOP14にいっても周りと遜色ない、スタジアムを沸かせる、ファンを楽しませるプレーをしてくれるのではないかと思いますね」

──同じFBでも、五郎丸選手とは違うタイプの選手かと思いますが。

「彼の最大の魅力はランニングですからね。僕の武器はキックなので、まったくタイプが違います。彼は結果を残してくれると思いますよ。ワールドカップであれだけ注目を浴びた選手ですから、チーム(クレルモン)にもなじみやすいと思います。

全然知られていない選手よりはワールドカップで活躍した選手の方が受け入れられやすいですし、チャンスをもらえるのであれば、そこで一発、二発と自分をアピールできればすんなりチームに溶け込めるでしょうし、ファンも受け入れてくれると思います」

◆「次のワールドカップを先取りするために見てほしい」

──新型コロナウイルスの影響で大きな活動ができないなか、クラウドファンディングやアディダスの料理動画、手洗い動画などに取り組まれました。現在はどんな日々を過ごしていますか?

「シーズンもこれからというところでトップリーグは中止となってしまいましたが、起きてしまったことは仕方ないので、次のシーズンに向けて準備していくだけだと思っています。

その準備が今回はかなり長くなると思うので、そのなかで自分ができることをしっかりと前向きに取り組んでいきたいということで、クラウドファンディングや料理動画、手洗い動画など、自分ができる範囲でやらせていただいています」

──来季のことはまだ見えませんが、準備するのみということですね。

「そうですね。我々にできることはそれしかないですからね。自分に与えられた環境のなかでベストパフォーマンスを出せるように、次の準備をしていくだけです」

──最後に、これからフランスのラグビーを楽しもうとされている人たちにメッセージをお願いします。

「TOP14は世界でもかなり注目を浴びており、ワールドカップで活躍していた選手たちが必ずどこかのチームにいるようなリーグです。日本とはまた違う、フィジカルを前面に出したラグビーを楽しんでほしいと思います。

そしてもう一点、次のワールドカップがフランスで開催されるということで、ラグビーに興味を持ってくださった方が次のワールドカップを先取りするために見てほしい、ということも挙げたいと思います。

そのなかで松島選手が活躍して、彼だけでなく次につながる日本選手たちが絡んでくると、さらに可能性が広がるのではないかと思っています」

自らの体験をもとに、後輩へ熱いエールを送った五郎丸。来季、松島が世界最高峰のリーグでどんな活躍を見せてくれるのか注目だ。6月7日(日)に放送される『フランスラグビーリーグTOP14 2018-2019決勝 トゥールーズvsクレルモン』では、昨シーズンのTOP14の決勝戦の戦いを振り返ることができるので、シーズンがはじまる前にぜひチェックしておこう。

※番組情報:『フランスラグビーリーグTOP14 2018-2019決勝 トゥールーズvsクレルモン』

2020年6月7日(日)午後5時~ CSテレ朝チャンネル2にて放送

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