松坂桃李を大絶賛!ドラマSP『微笑む人』原作者・貫井徳郎氏、ギャップが「怖さになる」
松坂桃李が初めてテレビ朝日のゴールデン帯ドラマで主演を務めるドラマスペシャル『微笑む人』を、3月1日(日)に放送する。
同作は、「本の置き場所が欲しかった」という理由だけで妻子を殺害したと供述するエリート銀行員・仁藤俊美(にとう・としみ)の事件を追ううちに、彼の過去に隠された事実が次々と明らかになっていく衝撃ミステリー。
原作となっているのは『後悔と真実の色』で山本周五郎賞、『乱反射』で日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)を受賞した作家・貫井徳郎氏の同名小説。
貫井氏自身に、「僕のミステリーの最高到達点」と言わしめた『微笑む人』は、累計15万部を突破し、その思いも寄らない展開と結末から「ミステリーの常識を超えた衝撃作!」と大きな話題を呼んだ。
今回は、そんな衝撃作を初めて映像化。小説にはないオリジナルキャラクター、そして脚本家・秦建日子氏が書き上げた独自の結末を用意し、貫井氏が描き出した世界はそのままに、さらなるスパイスを加えて、ドラマとしてよみがえる。
◆原作者・貫井氏ですら「映像化不可能」その理由は…
原作者・貫井氏をもってして「映像化は不可能ではないか」と考えられていた『微笑む人』。
今回のドラマ化の話が来たときは「映像畑の方々は映像化しやすい作品よりも、しにくい作品をあえて選んでやるんだな」と感じたと話す。
「なぜ映像化しにくいのか」――それは“テーマの難しさゆえ”と話す貫井氏。
大手銀行に勤めるエリートで常に微笑みをたたえた、誰が見ても“いい人”である仁藤が、信じられないような理由で妻子を殺した、というところから始まるストーリー。
貫井氏はこの作品のテーマを「世間の人たちは、自分がわかる範囲だけで“わかった気”になっている」ということだと定義する。
「でもそんなことって、『言われたくない』『目をつぶっていたい』って思っている方々が大半だと思うんです。そんな大半の人たちが受け付けられないと思っているようなテーマでも、テレビで放送したら多くの人の目に触れてしまうでしょうから、映像化はちょっと難しいかなって思っていたんですよ」と、『微笑む人』ドラマ化決定の意外性を明かした。
「原作そのままよりはアレンジしたほうが面白い作品になるのでは、と思っていたので、脚本を秦建日子さんが担当してくださると聞いたときは、『それならば僕が思いつかなかったようなアイデアを足して映像化していただけるのでは!』と楽しみになりました」と貫井氏。
秦氏が用意した驚がくのラストを読み「なるほど!とびっくりしましたよ。テレビの前で気軽に視聴し始めた方々も、引き込まれるような展開で、満足感を得られるようなラストになっているのではないでしょうか!」と、太鼓判を押した。
◆貫井氏「松坂桃李さんをキャスティング…もう成功!」
そして貫井氏は、今作で主人公・仁藤を演じた松坂についても大絶賛。
「仁藤役に松坂桃李さんをキャスティングしたというだけで、もうこの作品は成功じゃないですか!?と思うくらい、ぴったりだと思いました」と手放しで称賛した。
貫井氏は松坂の印象を「見るからにいい人。爽やかですし、裏に隠していることなどもなさそう」と分析。
「でも、そういう人が“本の置き場所が欲しかったから”というわけのわからない理由で妻子を殺す――そのギャップの大きさが、逆に怖さになると感じました」と話しつつ、「松坂さんがこんな役をやってくださるとは!」と驚きも。
「どんなフィクションでも度を越していると見たくはない。この作品が果たして度を越すのか越さないのか…」と映像化に期待を寄せる貫井氏。
“怖いもの見たさ”の感情も手伝わせながら、貫井氏が描きあげた『微笑む人』の世界をぜひ覗き見したい。
◆原作者・貫井徳郎氏 コメント(全文)
――『微笑む人』がドラマ化されることになったとき、まずどのように感じられましたか?
「ここ最近、作品を映像化していただく機会が多いのですが、そこで思ったのは『映像畑の方々は、映像化しやすい作品よりも、しにくい作品をあえて選んでやるんだな』ということなんです(笑)。
『微笑む人』は、どちらかといえば映像化しにくい作品だと思っていたので、お話をいただいたときは『あ、そうきたか』と思いましたね。
ただやはり、原作そのままよりは、アレンジしたほうが面白い作品になるのではないかと思っていたら、脚本を秦建日子さんが担当してくださると聞き、それならば僕が思いつかなかったようなアイデアを足して映像化していただけるだろうな、と楽しみにしております」
――詳しくはネタバレになってしまいますが、秦建日子さんの脚本のラストはいかがでしたか?
「なるほど!とびっくりしました。テレビの前で気軽に視聴し始めた方々も、引き込まれるような展開で、満足感を得られるようなラストになっているのではないでしょうか!」
――貫井さんが考える『微笑む人』の映像化のしにくさ、とは何だったのでしょうか?
「テーマが難しいのではないかと思ったんです。この本のテーマって『世間の人たちは、自分がわかる範囲だけで“わかった気になっている”』っていうことなのですが、そんなことって、『言われたくない』『目をつぶっていたい』って思っている方々が大半だと思うんですよ。
大半の人たちが『受け付けられない』と思っているようなテーマでも、テレビで放送したら多くの方の目に触れてしまうので、ちょっと映像化は難しいのではないかな、と感じていました」
――そんな映像化不可能と思われた作品を松坂桃李さん主演でドラマ化。松坂さんが演じた仁藤俊美はいかがでしたか?
「仁藤役に松坂桃李さんをキャスティングしたというだけで、もうこの作品は成功じゃないですか!?と思うくらい、ぴったりだと思いました。
松坂さんって見るからにいい人。爽やかですし、裏に隠していることなどもなさそう…。でも、そういう人が『本の置き場所が欲しかったから』というわけのわからない理由で妻子を殺す――そのギャップの大きさが、逆に怖さになると感じました。
そして、松坂さんがこんな役をやってくださることにも少なからず驚きはありましたね」
――尾野真千子さん演じる晶は原作にはない役でしたが…?
「映像と小説の違いの間には補助線を引いたほうがわかりやすくなる、ということがあります。今回はその役を尾野真千子さん演じる晶がやってくださっていると思います。尾野さんの存在で、このストーリーが視聴者の方々にわかりやすく伝わるといいな、と思っております」
――原作のファン、まだ小説を読んでいない方、それぞれいらっしゃると思いますが、そういった方々に貫井さんからメッセージをお願い致します。
「物語を楽しむにあたっては、『怖いもの見たさ』という感情って必ずあると思うんです。でも、それが度を越していると、いくらフィクションでも見たくない。このドラマが、果たして度を越すのか越さないのか――僕はそこが非常に興味のあるところです。
僕は小説だと、意外と気にせずに度を越したものを書くほうなので(笑)。どんな風に受け取られるのか、楽しみです」
※番組情報:ドラマスペシャル『微笑む人』
2020年3月1日(日)夜9時~、テレビ朝日系24局