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世界ラリー(WRC)第2戦がスタート!北欧勢が圧倒的に強い雪上ラリーでトヨタは?

◆ラトバラが3度勝利しているスウェーデン

FIA世界ラリー選手権(WRC)の2017年シーズン。開幕戦のラリー・モンテカルロは、王者セバスチャン・オジェ(フォード)が勝利。2位にはヤリ‐マティ・ラトバラ(トヨタ)が入り、元VWのチームメート同士がワン・ツーを分けあった。

そして今週開催される第2戦(2月9日~12日)の開催地は、北欧スウェーデン。2月のスウェーデンは、誰もが想像するような極寒の真冬の道を走行する。13戦ある世界ラリーで唯一の雪上ラリーがラリー・スウェーデンだ(※ラリー・モンテカルロは一部のみが雪上)。

スウェーデンといえば、毎年日本でも大きなニュースになるノーベル賞が有名だ。

ノーベル賞が与えられる会場は、首都ストックホルム市内にあるノーベル博物館。ノーベル賞のメダルの形をしたチョコレートが名物として売っていたり、博物館内にあるカフェの椅子をひっくり返すと歴代の受賞者の直筆サインがあり、それを探すのが観光客の楽しみだったりする。

また、1628年8月10日に処女航海に出航した軍艦ヴァーサ号が、あまりにも砲門などを多く設置する設計のため重心が高くなりすぎ、わずかな横風で転覆して沈んだ記録がある。そして333年後の1961年に海底から引き上げられたヴァーサ号は、その姿の95%がほぼそのままで現存する。まさに、現代の奇蹟とも言うべき軍艦が展示されているのだ。

他にも、王宮など観光客にとって見所たくさんなのがストックホルムである。

撮影/田口浩次

撮影/田口浩次

しかし、ラリー・スウェーデンの開催地となるのは、ストックホルムから西へ約300キロほど走った先にある、ノルウェーとの国境沿いにあるヴェルムランド地方のカールスタード。ノルウェーのオスロからのほうが約220キロ程度と近い。

 

◆北欧ドライバーが圧倒的に強い雪上ラリー

ラリー・スウェーデンの過去の歴史を紐解こう。1973年以降の歴代勝者を見ていくと、北欧出身ドライバー以外で勝利を挙げたことがあるのは、2004年のセバスチャン・ローブ(フランス)と、2013年・2015年・2016年と3度勝利したセバスチャン・オジェ(フランス)だけ。他はすべて北欧勢が勝利している。

また、トヨタのエースドライバーであるラトバラは、このラリー・スウェーデンに強く、2008年・2012年・2014年と3度ここで勝利している。

2月2日に東京・お台場で開催されたTOYOTA GAZOO Racingの2017年モータースポーツ体制発表会でゲストとして登場したラトバラは、ラリー・スウェーデンでの目標を聞かれた際に「5位以内を目指す」とコメントしていたが、その横でチーム代表のトミ・マキネンが「優勝狙ってるって言っちゃえよ」と茶々を入れていたのは、この実績があるからなのだ。

 

◆オジェ、ラトバラの争いにヒュンダイが絡む?

果たしてラリー・スウェーデンはどのような展開となるのか? 順当にいけば、ここでの勝利経験があるオジェとラトバラは本命と対抗のような存在だ。そして、開幕戦のラリー・モンテカルロでは順位を落としたが、マシンの速さではライバルを圧倒していたヒュンダイの存在が気になるところ。

さらに言えば、18年ぶりの世界ラリー復帰でラリー・スウェーデンが2戦目となるトヨタは、直前のテストでは好感触を得ており、他のチームのように過去の経験がないものの、ヤリスWRC(日本名:ヴィッツ)がどれほどのパフォーマンスを見せるのか、日本人ファンとしては楽しみだ。

ラトバラのチームメートであるユホ・ハンニネン(フィンランド)も北欧ドライバーだけに、トヨタは2台とも上位に食い込むかもしれない。

 

◇◇◇

ただ、誰が勝つにせよ、雪上ラリーはファンや観客からしても、他にないラリーとして注目を集める。テレビ映像を通しても、マシンが右に左にと自在に動いてコーナリングしていく雪上ラリーは、見ていて純粋に楽しいものだ。ぜひともチェックしてもらいたい。

<文/田口浩次(モータージャーナリスト)>

※写真はすべて©WRC/無断転載禁止(一部筆者撮影)です。

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