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1年間のどん底から凄まじい快進撃。バドミントン・桃田賢斗、日の丸背負い世界一へ臨む

◆桃田賢斗、コートに立てる喜び

5月20日に開幕した、バドミントン世界一の国・地域を決めるトマス杯・ユーバー杯。本大会は、2年に一度開催される国別対抗戦で、“バドミントンのW杯”として知られる大会。男子はトマス杯を、女子はユーバー杯を戦う。

©アフロ

そんなトマス杯で、第1シングルスに登場し予選グループリーグ負けなしと日本の3連勝、そしてグループリーグ1位通過に貢献している選手が、桃田賢斗(23歳)だ。

昨年2017年の5月、桃田は涙を流しながら深々と観客席に頭を下げていた。そして彼の口から出た言葉は――「コートに立てる喜びや、支えてくれた人、応援してくれる人への感謝の気持ちを持って、一球一球プレーしたい」

世界ジュニアを制するなど、日本バドミントンの歴史を変える逸材として期待を受けてきた桃田。2016年4月には世界ランキング2位となり、当時4カ月後に迫っていたリオ五輪へ順調に歩みを進めていた。

しかしその同時期に、日本中を大きく騒がせた違法賭博問題が発覚。メダルを期待されたオリンピックの目前で、無期限の試合出場停止という処分を受けた。

日本代表として日の丸を背負うことはもちろん、試合にすら出場することもできなくなった桃田。そこから彼は、復帰まで1年1カ月に渡る謹慎生活を余儀なくされることになる。

 

◆アジア選手権、優勝。桃田の快進撃

迎えた2017年5月の日本ランキングサーキット。復帰戦に臨んだ桃田は、決勝に進出するとファイナルゲームの末に勝利。コート上で涙を流した。

再びバドミントンができる喜び――ここから、桃田の快進撃が始まる

©テレビ朝日

およそ1年の謹慎により、世界ランキングは圏外。文字通りゼロからのスタートだったが、自費で国際大会に出場するなど着実に結果を積み重ねていった桃田は、今年4月に行われたアジア選手権の準決勝でリオ五輪銀メダルのリー・チョンウェイ(マレーシア)を破ると、決勝ではリオ金メダルの諶龍(中国 ※読みはシンリュウ)を撃破。

この大会、日本人として史上初めてシングルスで優勝を飾った。そして、圏外だった世界ランキングはたった1年で日本人トップの世界ランキング12位まで駆け上がる(※2018年5月17日時点)。桃田はこの状況について、次のように話す。

「正直、ランキングどうこうとかは自分の中では特に意識はしていなくて、自分のスキルが上がってくれば必然的に上がってくると思っていたので、自分の取り組み方は間違っていなかったと思います」(桃田)

そんな桃田の快進撃を支えたのは、試合に出られない苦しい時期にも地道に続けてきた“孤独な戦い”だ。

「まず、フィジカルが劣ると世界と戦えないと思っていたので、そこを重点的にやりました。筋トレをしたりだとか、ランニングをしたりだとか。自主練習がかなり多かったです」(桃田)

もともと抜群のセンスと技術には定評があった桃田。謹慎している間、弱点であるフィジカル強化を自らに課したのだ。

「前は意表を突くショットだったり(相手が)嫌がるようなプレーをしていて、そのプレーを崩されると為す術もなくやられてしまう場面があったんですけど、最近はそこもフィジカルでカバーできているというか、いろんな動きができるぶん、自分の中で引き出しや戦い方も増えているので、そこは前よりも進化できているんじゃないかと思います」(桃田)

卓越した技術と強いフィジカルがマッチしたことで進化できている、と話す桃田。理想の姿へ着実に近づいている確かな手ごたえを胸に、2年に一度の大舞台・トマス杯に臨む。

「復帰した当初はどういう風に世界で戦っていくかすら分からなくて、自分の中でも模索しながらやっていたんですけど、最近日本代表の遠征を回らせてもらいながら、少し自分の中でも手応えというか自信もついてきているので、良い流れのままトマスカップに臨めます」(桃田)

大会前にこう話していた桃田。2大会前の2014年、チーム最年少の19歳でトマス杯に臨んだ彼は、出場した全ての試合で勝利し、日本の優勝に大きく貢献した。今大会、さらなる重責を担う。

「世界と日本と客観視したとき、正直自分が全て勝てば優勝するチャンスはあると思いますし、第1シングルスという重要なポジションでしっかり果たせるように頑張っていきたいと思っています」(桃田)

どん底を味わった男・桃田賢斗。日本代表として戦える喜び、そして日本のエースとして自覚を胸に、世界一へ挑む。<制作:テレビ朝日バドミントン>

※放送情報:「世界バドミントン国別対抗戦2018 男女準々決勝」
5月24日(木)深夜0時50分~4時、テレビ朝日地上波(関東地区)、CSテレ朝チャンネル2で放送

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