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オジェが3勝目!トヨタは表彰台&パワーステージ1位獲得【WRC:ラリー・フランス最終結果】

現地時間の4月8日、FIA世界ラリー選手権(WRC)第4戦「ラリー・フランス」のデイ3(SS11~SS12)が行われた。

優勝したのは、セバスチャン・オジェ(フォード)。デイ2までに2位に44秒5のリードをつくり、最終日は2本のSSを残すだけ。圧倒的優位は誰の目にも明らかだったなか、母国ラリーで見事に勝利しシーズン3勝目。現役王者が横綱相撲でライバルたちを圧倒した。

©WRC

しかし、ラリー・フランスは甘くない。SS11はラリー・フランス全体で最長の55.17km。そして、パワーステージとなるSS12も16.25kmある。気を抜けば、誰もが“1万のコーナーがある”と評される難コースに足元をすくわれてしまう可能性があった。

各ステージ走行の序盤は、タイヤがまだ冷えている。“グリップ”と呼ばれるタイヤと路面の摩擦力があるが、ターマック(舗装路)ではタイヤの温度が上がり、ゴムが柔らかくなることで路面を最後まで掴もうとする力が働き、より強力なグリップ力を生む。

硬い消しゴムとやわらかい消しゴムで文字を消すことを比べると、やわらかい消しゴムの方が紙に引っかかる粘りを手に感じ、より簡単に文字を消すことができる。これと同じことがグリップ力の原理だ。

そして、WRCマシンが装着するタイヤは温度が変化することで高いグリップ力を生み出すことができる。逆に言えば、タイヤが冷えた状態ではまだ滑りやすい状態なのだ。

これでクラッシュしたのが、元王者のセバスチャン・ローブ(シトロエン)。初日のローブに続き、最終日にまだ温まっていないタイヤで失敗してしまったのが、WRCクラスでのラリー・フランス初挑戦でありながら2日目にオジェよりも速いタイムを刻み大きな注目を集めたトヨタのエサペッカ・ラッピだった。

©WRC

ラッピは、「残念ながら小さなミスを冒してしまいました。責任はすべて自分にあります。恐らくリヤタイヤがまだ少し冷えていたのだと思いますが、リヤのグリップを失い外側の縁石にタイヤが当たってしまいました。その結果ホイールのリムが一部破損しタイヤが外れかけたので、クルマを止めてタイヤ交換をしなければなりませんでした 」とコメント。

結果、SS11はステージ10位。このステージトップのオット・タナック(トヨタ)から1分55秒5遅れで、総合トップのオジェからも2分36秒9遅れとなり、総合7位にまで後退してしまった。

©WRC

トップのオジェはSS11を4位と無難にまとめ、いよいよ最後のSS12、パワーステージを残すのみとなった。

ステージ1位に5ポイント、以下1ポイントずつ減り、上位5台にはラリー結果とは別のポイントが加算されるパワーステージ。総合順位がふるわなかった場合も、ここで巻き返しを図ることができる。

そして、ここで見事にステージトップを獲得したのがラッピだ。ステージ2位にローブ、3位にオジェと、伝説の王者と現役王者を従えてのステージトップ獲得。この走りで総合順位もひとつあげて6位となり、優勝こそオジェのものだったが、デイ2、そしてデイ3の主役は間違いなく初挑戦のラッピだったと言えるだろう。

 

◆トヨタ、タナックが表彰台獲得

トヨタは、エースのヤリ‐マティ・ラトバラがデイ2のSS8でコースアウトクラッシュし、チームはデイ3に向けた修復作業を目指したが、マシンがロールゲージ(乗員を守るために作られた頑丈なパイプ部分)にまでダメージが及んでいたため、規定によりリタイアに。トヨタは2台だけが最終日に臨んだ。

デイ3はSS11でタナックが、SS12でラッピがステージトップを獲得し、トヨタの速さはターマック(舗装路)でも証明され、タナックは表彰台を獲得した。惜しむべきは、デイ1からマシンセッティングがもっと決まっていれば、間違いなく3台とも優勝争いに絡み、王者オジェを苦しめていたであろうことだ。

©WRC

こうしてラリー・フランス最終結果は、1位オジェ(フォード)、2位タナック(トヨタ/1位から36秒1遅れ)、3位ティエリー・ヌービル(ヒュンダイ/同1分7秒5遅れ)、4位ダニ・ソルド(ヒュンダイ/同2分2秒6遅れ)、5位エルフィン・エバンス(フォード/同2分6秒1遅れ)、6位ラッピ(トヨタ/同2分33秒5遅れ)となった。

優勝したオジェは、「ラリー・フランスでのマシンのパフォーマンスに本当に満足している。金曜日からマシンは素晴らしい状態で、今回の勝利の土台とも言うべきリードを築けた。だからといって余裕があったわけじゃないけど、マシンは走るごとに良くなっていった。正直、今週末はもっと接戦を予想していた。だから、金曜日から大きなリードがあったことは驚きだったよ」と語り、勝利を喜んだ。

2位に入ったタナックはラリー後の会見で、「2位で終えたことは満足だよ。正直、ここラリー・フランスは僕個人としては、いちばん競争力が足りないラリーだ。ここで強かったことは過去にないからね。今シーズン、僕たちは高いレベルでの継続性を目指している。金曜日は悪くなかった。土曜日それを向上させた。そして今日はほぼ限界にまで向上させたと思う。SS11はその結果だし、すべてが報われた感じでとてもハッピーだよ。SS11は距離も長いから、慎重に走ることを重視したんだ。でも、タイムは出ていた。最高の結果だ」と、ヤリスWRCのパフォーマンスに満足げだった。

©TOYOTA GAZOO Racing

こうしてシーズン4戦目となるラリー・フランスは終了。シーズン3勝目を挙げたセバスチャン・オジェ(フォード)が完全にチャンピオンシップをコントロールしている状態だ。

WRCの舞台は、ヨーロッパから再び海を越え、南米アルゼンチンに向かう。第5戦「ラリー・アルゼンチン」は、4月26日から29日にかけて行われる。誰が王者オジェを止めるのか? トヨタ、ヒュンダイ、シトロエンの各ドライバーは、“ストップ・ザ・オジェ”を目指して次の準備を進めることになる。<文/モータージャーナリスト・田口浩次>

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