腎臓結石の激痛に耐えて4冠達成。体操の絶対女王が“アメリカ史上最高”の女子選手と称される理由
10月4日(金)に開幕した「世界体操」。1年後に控えた東京オリンピックのメダルを占う、最後の頂上決戦だ。
大会5日目の今日10月8日(火)には「女子団体決勝」が行われ、8カ国がメダル獲得をかけて戦う。なかでも、アメリカ代表は4連覇しており、金メダル候補の筆頭国となっている。
そのアメリカ代表を率いるのが、シモーネ・バイルズ(22歳)だ。
バイルズは、2016年リオ五輪で金メダル4つを含む5つのメダルを獲得。体操界の“絶対女王”として君臨している。
さらには、“スポーツ界のアカデミー賞”とされるローレウス賞で、世界の名だたる女性アスリートを抑えて「最優秀女子選手賞」を受賞。アメリカでは「全種目の中でアメリカ史上最高の女性アスリート」とも言われている。
彼女がそれほどまでに全米で、世界で絶賛される理由はどこにあるのか――。そこには、体操の実力だけではない彼女の凄さがあった。
◆“体操史上最高難度”の超大技を成功
リオ五輪で金メダル4つを獲得することだけでも称賛に値すべきなのだが、注目はその演技の中身だ。
今年2019年8月に行われた「全米選手権」では、平均台で後方2回宙2回ひねりを、女子選手として初めて成功。
さらには、ゆかで“後方抱え込み2回宙返り3回ひねり”という大技を、これまた女子選手として初めて成功させた。
今大会「世界体操」の女子予選でも、成功させている。
なんとこの技、体操史上最高の難度“J難度”の超大技。過去に白井健三が成功させているが、男子でも“G難度”と高難度の技として指定されているほどだ。
◆歩くのも痛い…“腎臓結石”を抱えながら4冠達成
男子にも負けない大技を次々に繰り広げ、絶対的な強さを見せつけている彼女だが、驚くべきはその実力だけではない。
リオ五輪後に一時体操から離れる決断をし、2年間の休養を経て挑んだ昨年2018年の「世界体操」。
2年のブランクを全く感じさせない完璧な演技を披露し、個人総合を含め金メダル4つ、銀メダル1つ、銅メダル1つと、なんと計6つのメダルを獲得。
絶対女王として衝撃のカムバックを果たしたのだが、なんと予選の17時間前まではドーハの病院のER(緊急治療室)にいた。
“腎臓結石”を抱えていたのだが、摘出するには大きすぎる石だったため、なんとそのままの状態で演技。「歩いていても痛い」ほどの痛みに襲われるなか、不屈の精神で見事4冠を成し遂げたのだ。
「アドレナリン(が出ているの)を感じました。チームメイト達も心配していましたが、良い演技ができました」(バイルズ)
肉体的にも精神的にも驚異的な強さを備える彼女は、「世界体操」で一体どんな大技を披露してくれるのだろうか。“世界一の女性アスリート”の活躍から目が離せない。
※番組情報:『世界体操』
女子団体決勝 10月8日(火)よる11:00〜深夜01:00、テレビ朝日系24局
男子団体決勝 10月9日(水)よる11:00〜深夜01:25、テレビ朝日系24局
女子個人総合決勝 10月10日(木)深夜0:15〜深夜02:10、テレビ朝日系24局
男子個人総合決勝 10月11日(金)深夜0:20〜深夜02:50、テレビ朝日系24局
男女種目別決勝 10月12日(土)よる11:30〜深夜03:00、テレビ朝日系24局
男女種目別決勝 第2日 10月13日(日)深夜0:05〜深夜03:00、テレビ朝日系24局