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アナウンサーが思わず感動した、褒められたときの“素敵な返しの一言”とは?【萩野志保子&島本真衣】

世の中には“言葉のプロ”と言われる職業は数多くありますが、“話し言葉のプロ”と聞いて多くの人が思い浮かべる職業といえば、アナウンサーでしょう。

そんなアナウンサーたちは、日常会話においてはどんなことを意識しているのか?

©テレビ朝日

アニメ『ドラえもん』で出木杉くんの声優も務める萩野志保子アナウンサー、平日朝の情報番組『グッド!モーニング』を担当する島本真衣アナウンサー(ともにテレビ朝日)。2人の女性アナウンサーが、「日常会話で意識したい言葉の使い方」について話します。

◆菅田将暉さんの素敵な返し

日常会話で少し困るシチュエーションのひとつが、「褒められたときにどう返していいか分からない」というもの。せっかく褒めてもらっているのに、ただただ謙遜してしまうばかり…という人も多いのでは?

そんななか、島本アナは最近、“褒められたときの素敵な返し”に出会ったそうです。

©テレビ朝日

島本アナ:「私は、担当している情報番組のVTRの中で著名人の方々が話す何気ないコメントに心動かされることが多いんですけど、最近とても素敵だなと思ったのが、菅田将暉さんの一言です。

菅田さんが、映画で共演した舘ひろしさんからすごく褒められている場面がありました。そうやって目上の人から褒められたとき、『いえいえ、そんな…』と謙遜してしまう人が多いと思うんですけど、そこで菅田さんは、『ありがとうございます。“舘さんに”そんなこと言っていただけるなんて嬉しいです』と返していたんです」

萩野アナ:「なんと知性的な! 瞬時に迷いなくそうお返しできるなんて、さすがですね。尊敬もありがたみもこもっていて、それでいて軽やか。返されたほうもご満悦になれるし(笑)、これぞハッピーな会話のお手本だね。スターはちがう!」

島本アナ:「はい、そうなんです。なんて素敵な言い方なんだ!これは使いたい!と思いました。そして、謙遜するよりも、最初に『ありがとうございます』と受け取るといいんだなって」

萩野アナ:「本当にそうですよね。相手の言ったことを“まず受け取る”ことって、日常会話においてすごく大事だよね。

たとえば、『萩野さん、そのワンピース似合ってますね!』とあまり話したことがない後輩が声をかけてくれたとして…。これに、『“でも”そんなことないのよ~実は2キロ太っちゃって』なんて答えるとします。これって不毛よね(笑)。第一声が“でも”になっていて、相手の言葉を受け取れていないし。

正直、以前はそうやって、せっかく投げかけてくれた会話を台無しにしていたことがあったかもしれないなあ…。今にして思えば、『ありがとう!』と受け取ってから返せるようになったのも、凛としたまいぽん(島本アナ)たち後輩アナウンサーのおかげかも(笑)」

島本アナ:「ありがとうございます!(笑)」

萩野アナ:「謙遜の気持ちはきっと、『ありがとう』の言い方にその温度がこもるからそれでじゅうぶん伝わるし、なによりその後の会話がスマートになるよね。これって褒められたときに限らず、意見を伝えたいときも同様な気がするなあ。話しかけるときや答えるときの“一言目”って、会話の流れに大きく影響するものね」

島本アナ:「一言目、確かにすごく大事ですよね。たとえば萩野さんは、私に朝の挨拶をするとき、『まいぽん、おはよう!』と明るく言ってくれるんです。何気ないことですけど、“おはよう”の前に第一声として名前を呼んでくれるって、すごく良いなあといつも思っています」

◆“さ入れ言葉”を使わない

そして話は、“言葉のぜい肉”というテーマへ。

アナウンサーは、入社時の研修で「言葉のぜい肉をそぎ落とす」ということを教えられるそうです。

生放送をはじめ時間が限られた状況で伝えるべきことを伝えなくてはならないアナウンサーは、言葉に“ぜい肉”をつけない、つまり余計なことを言わないということを常に意識しなくてはなりません。第一声を「でも」などで始めてしまうのは、会話の中に“ぜい肉”を増やしていってしまうことなんですね。

アナウンサーならずとも、相手の言葉をまず受け取り、伝えたい気持ちだけを第一声で端的に言う。ぜい肉を増やさないと意識する。それだけで、日常会話はより円滑に進んでいきそうです。

そして、萩野アナと島本アナの2人が、特に若い人たちに対してアドバイスしたいという“言葉のぜい肉”をそぎ落とす作業が、「“さ入れ言葉”を使わない」ということ。

“さ入れ言葉”とは、一体?

©テレビ朝日

萩野アナ:「アナウンス研修で『言葉のぜい肉をそぎ落とす』というと、描写するときの余計な修飾語や同じ表現の繰り返しなどを指すことが多いですが、過剰にへりくだった話し方も、伝えたい本質から遠ざけてしまう意味では“言葉のぜい肉”と言えるかも!

たとえば、“さ入れ言葉”。『行か“さ”せていただきます』とか『やらな“さ”すぎ』といった言葉遣いが最近目立ちませんか?“ら抜き言葉”はかなり広く意識されるようになりましたけれど、“さ入れ言葉”こそむしろ意識されると良いと思います」

島本アナ:「すごく分かります。“さ入れ言葉“と結びつきやすい過剰な敬語って、そもそも日本語として間違っていることも多いですからね」

萩野アナ:「そうそう。『行か“さ”せていただきます』は、“さ入れ言葉”と間違った敬語のダブルパンチだから、内容以前に相手にとって“気になること”を増やしてしまいますよね。丁寧に言いたいのであれば、『伺います』や『参ります』で良いですよね」

島本アナ:「気持ちは分かるんですけどね、過剰にへりくだってしまうのは。私自身もたまに、生放送でアスリートや芸能人の方が“話した”ことを『~と仰いました』と過剰敬語で言ってしまうことがあって、『~と話していました』で良かったのに…と後悔するんです。敬意をこめて伝えようと思うと、過剰敬語になりがちなんですよね」

萩野アナ:「うんうん、わかります!緊張で混乱してしまうこと、ありますよね。たとえば、後輩が尊敬する大先輩に『〇〇さん、〇〇の資料、こちらに置か“さ”せていただきます!』と言ったとして…」

島本アナ:「なんだか、壁を感じてしまいますね。そういう言い方は(笑)」

萩野アナ:「そうなんです。もし言うとすれば、“さ”はいらないので『置かせていただきます』だし、そもそも別にそんな風に言わなくていいじゃないですか(笑)。『こちらに置いておきますね!』って元気よく笑顔で言うほうが、距離も近くなるはずです」

第一声の「でも」や、“さ入れ言葉”。――萩野アナと島本アナが解説する“言葉のぜい肉”について考えてみると、日常会話をより良くするためには、どんな言葉を使うかより、どんな言葉を使わないかを意識することが大切なのかもしれません。

※配信情報:「女性アナウンサ―ゆかた壁紙コンテンツ2019

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登場アナウンサー:萩野志保子、島本真衣、加藤真輝子、林美桜、三谷紬、斎藤ちはる、下村彩里

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