テレ朝POST

次のエンタメを先回りするメディア
menu

<SPインタビュー・さかいゆう>音楽職人の原点は「L.A.」。多幸感を求めて作曲

コンサート、映画、舞台など、あらゆるエンターテインメントをジャンル問わず紹介する番組『japanぐる~ヴ』(BS朝日、毎週土曜深夜1時~2時)。

8月3日の放送の同番組では、10月13日に東京・日比谷野外大音楽堂でデビュー10周年イベント「さかいゆう10th Anniversary Special Live “SAKAIのJYU”」を開催するさかいゆうをゲストに迎え、スペシャルインタビューを放送した。

©BS朝日

2009年にシングル『ストーリー』でメジャーデビューした、さかいゆう。

ピアノの弾き語りスタイルとハイトーンでソウルフルな歌声が話題となり、アニメ『のだめカンタービレ フィナーレ』のオープニングテーマ『まなざし☆デイドリーム』を始め、映画『パーマネント野ばら』主題歌『train』、CMソングの『薔薇とローズ』などがヒット。

またソウルミュージックやジャズ、ロックなど幅広い音楽的バックグラウンドで生み出される楽曲はアーティストからの評価も高く、小泉今日子、SMAP、一青窈、坂本真綾、Sexy Zoneなどに楽曲提供しているほか、KREVAやRHYMESTERなど数多くのアーティストとコラボレーションも行っている。

今年1月には、土岐麻子やサイプレス上野などのゲストを迎え、彼のルーツであるソウルミュージックやジャズに立ち返ったアルバム『Yu Are Something』をリリースした。

©BS朝日

スペシャルインタビューは、バイト時代の話や親友の死をきっかけに音楽に目覚めたことなど、デビュー前の話から始まった。

当初は目標もなく、「その時に頑張っているという意識のまま、ずっと続いている。徐々にミュージシャンとしての資質が備わっていった感じ」と話す。さかい独特の、良い意味で肩の力が抜けたスタンスは、もともと備わった彼の性質であることが分かる。

ロサンゼルス留学時代は、毎日様々な音楽に触れながら週1〜2回ストリートライブをやっていたそうで、「L.A.で耳が育てられた」と話している。

「日本ではチケット代が1万円を超えるような素晴らしいライブが、現地では10~20ドルでたくさん観られた。ライブでなければ感じられない音圧や空気の振動があって、毎日何かしらのライブに行くか、近所のアナログバーで大きな音で音楽を聴いた」(さかい)

教会でゴスペルやアメリカンポップスの曲を教わったりもしたそうで、「そういう経験が、そのまま自分の作曲に役立っている」と分析。世代を問わず愛される上質な音楽の原点が、この時期の経験にある。

◆秦 基博とは「楽器は違うけど気持ちが分かる」

楽曲へのこだわりについては、「自分に多幸感を与えてくれる曲を書きたい」と話した。

「自分の曲は仕事として何回も聴くけど、聴くたびに新しい発見があるものがいい。自分で自分のアルバムを聴いて、やっぱりいいアルバムだと思うことが重要。シンプルにそこだけです」と、さかい。

作詞作曲はほぼ独学で、「もともとピアニストみたいに弾けることに憧れて音楽を始めたわけではないから。自分の音を見つけて、その精度を高めていくためにひたすらやっている感覚です」とも話しており、そうした探究心がさかいの原動力で、業界で音楽職人と呼ばれるゆえんだろう。

©BS朝日

また、2015年にコラボレーションアルバム『さかいゆうといっしょ』をリリースするなど、これまで数多くのコラボレーションを行ってきたことも、作詞作曲同様さかいの好奇心の表れだ。

「エド・シーランとジョン・メイヤーが武道館でコラボしたときに感じたようなドキドキを、さかいゆうを使って感じてみたいという感覚です」と話す。

トランペッターの日野皓正とコラボした『闇夜のホタル』のレコーディングで、日野がさかいゆう=女だと勘違いしていたというエピソードを明かしたほか、『ピエロチック』を共作した秦 基博について、「コードをこう変えたら気持ちいいよねというものを、言わなくてもやってくれる。ギターとピアノで楽器は違うけど気持ちが分かる」と、同じシンガーソングライターとしてシンパシーを感じていることも話した。

そんなさかいゆうの10年を凝縮したのが、10月13日に東京・日比谷野外大音楽堂で開催される「さかいゆう10th Anniversary Special Live “SAKAIのJYU”」だ。

3部構成のライブで、第1部はリハーサルなしのジャムセッション、第2部はJAY’ED、土岐麻子、冨田ラボ(冨田恵一)、秦 基博など「自分の人生に欠かせない存在」と話すゲストを迎えてコラボを展開する。

そして第3部は、「今の10周年を迎えたさかいゆうを見せつつ、これからのさかいゆうを感じてもらうために、まだリリースしていない曲もお聴かせできればいいなと思っています」とのこと。さかいゆうの過去・現在・未来が凝縮されたイベントになりそうだ。

<文/ライター・榑林史章>

※番組情報:『japanぐる~ヴ
毎週土曜深夜1時~2時、BS朝日