「魔法」のような仕事。トヨタの世界ラリー(WRC)での快挙を支えたメカニックたち
1月29日深夜に放送されたテレビ朝日のスポーツ情報番組『Get Sports』(毎週日曜日0時45分~、一部地域を除く)で、トヨタの18年ぶりのWRC(世界ラリー選手権)挑戦の初戦となる2017年シーズン開幕戦「ラリー・モンテカルロ」の戦いの模様が紹介された。
番組内では、WRC16勝を誇り、トヨタのエースとしてチームに加入したヤリ‐マティ・ラトバラ(フィンランド)に焦点があてられ取材が進んだ。
ラトバラは、15歳のときにラリーデビュー。そのとき初めて乗ったマシンはトヨタのAE86レビンだった。さらに、WRCデビュー時に乗ったのもカローラだったことを明かし、今回のTOYOTA GAZOO RACINGへの加入は「まるで故郷に戻ったような気分だ」とトヨタとの縁を嬉しそうに語るシーンが放送された。
その後、ラリー・モンテカルロの詳報へと続く。ラリー初日は9位と出遅れたラトバラだったが、2日目・3日目と順位が上がっていき、走れば走るほど、今季から相棒となったニューマシン「ヤリスWRC」(日本名:ヴィッツ)のポテンシャルの高さに自信を高めていく。
また、チームメートのユホ・ハンニネンは、初日こそ3位と上々の滑り出しだったが、2日目にブレーキミスでマシンを樹木にぶつけてしまう。
そこから3時間というルールで許された短い修理時間の間に、チームのメカニックたちがマシンを修復していく。
こうしたメカニックたちの仕事ぶりにも注目が集まるのは、WRCならではの魅力かもしれない。
放送を見ると、トヨタのガレージ周りには、修理の様子を見ようと集まる多くの観客が映りこんでいた。
テキパキと作業を進め、普通の人からみたら修復不可能なマシンが僅か数時間で修復されていく様子は、まさに魔法を見るように感じるだろう。
なお、放送では紹介されていないが、トヨタのガレージは三方を透明な状態にしており、これは「観客がガレージでの作業がよく見えるように」という演出以上に、「メカニックたちに注目を集めることで彼らのモチベーションアップに繋げているのだ」とチーム代表のトミ・マキネンが日本の取材陣に語っていた。
そして、ラリー・モンテカルロはいよいよ最終日を迎え、ラトバラは新加入のチームで、2位表彰台という快挙を達成。WRCの公式放送も、18年ぶりに復活したトヨタの初戦の戦いぶりを大いに称えていた。
ラリー後、ラトバラは、今回のラリーは6位以内が目標だったことを語り、2位と言う結果は完璧だと喜ぶとともに、ヤリスWRC(日本名:ヴィッツ)のポテンシャルの高さに自信を深めていた。
なお『Get Sports』では、今後もトヨタのWRC挑戦を追いかけていくとのこと。
次戦はラリー・スウェーデン。雪上ラリーとなる。今回とまた違った魅力あふれるラリーが展開されるであろうWRCの世界、ぜひともチェックしてもらいたい。
<文/田口浩次(モータージャーナリスト)>
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