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<WRC>トヨタ、3年連続勝利なるか。万全の体制でフィンランドに臨む

現地時間の8月1日~8月4日、2019年WRC(世界ラリー選手権)第9戦「ラリー・フィンランド」が開催される。短い夏休み期間を終え、シーズン後半に向けて各チーム気力が充実した状態で挑むことになる。

©WRC

ラリー・フィンランドは、その昔“1000湖ラリー”と呼ばれていた。英語では“1000 Lakes Rally”。

その名の通り、数多くの湖が存在するフィンランドのユヴァスキュラ地域を中心にラリー・フィンランドは開催されるのだが、この地域をGoogleマップなどで検索すると、“1000湖ラリー”と呼ばれるのも理解できるほどマップ上には無数の湖が現れる。

ちなみに、ユヴァスキュラ地方はフィンランドの中心地であるヘルシンキから列車で3時間ほど離れた場所にあり、交通網が都市部ほど発達していないことから、多くの観光客やラリーを観戦しにきた人たちにとってはレンタカーが最もスタンダードな移動方法だろう。

©TOYOTA GAZOO Racing

さて、ラリーに話を戻すと、現在ドライバーズランキングは3人のドライバーたちによって争われている。

トップはトヨタのオット・タナック(150ポイント)、2位のセバスチャン・オジェ(シトロエン/146ポイント)、そして3位のティエリー・ヌービル(ヒュンダイ/143ポイントだ。

では、今回のラリー・フィンランドを得意とするのは誰か? 昨年の勝者はトヨタのタナック、そして、シトロエンのオジェは2013年に勝利している。ヒュンダイのヌービルは未勝利だ。

また、ここラリー・フィンランドはトヨタにとってゲンが良いラリー。2017年に優勝(※当時所属していたエサペッカ・ラッピが初優勝)、さらに昨年2018年はオット・タナックが勝っており、トヨタにとってかなり相性の良いラリーといえるだろう。なによりチームの本拠地がフィンランドにあり、フィンランド特有の地形や路面状況を完全に把握しているのも強みだ。

©WRC

ラリー・フィンランドは高速ラリーとして知られていて、エンジンパワーだけではなく、車体の剛性など、クルマのポテンシャルもかなり重要だ。その点、トヨタのマシンは非常にパワフルであるとライバルたちも認めている。このパワーをうまく活かし、好成績を望みたいところだ。

◆トヨタは、ドライバー全員が優勝経験あり

2017年にこの“母国ラリー”でWRC初勝利を飾ったシトロエンのエサペッカ・ラッピは、ラリー・フィンランドを「全開に次ぐ全開のラリー」と表する。

そして、ドライバー全員がこのラリー・フィンランドで優勝経験があり、万全の体制で挑むトヨタは、ドライバーそれぞれがチームリリースでコメントを発表している。

©TOYOTA GAZOO Racing

※オット・タナック(8号車)
「ラリー・フィンランドでシーズン後半戦がスタートするのがとても楽しみです。スムーズでハイスピードな道を走るのは本当に楽しく、昨年このラリーで優勝した時は最高の気分でした。もちろん、今年も同じ結果を望んでいますが、金曜日はSSの出走順が1番手なので、より困難な戦いになると思います。

2週間前、我々はラリー・エストニアに出場しました。大勢のファンの前で再び勝つことができてとても嬉しかったのですが、それだけではなく、ラリー・フィンランドに向けての良いテストにもなりました。多くのことを学習できたので、準備は万全です」

※ヤリ‐マティ・ラトバラ(10号車)
「素晴らしい夏休みを過ごし、ラリー・フィンランドでのシーズン再開に向けて準備はできています。しばらくラリーから離れて生活していましたが、フィンランドのためのテストを数日行いました。ハイスピードなグラベルロードを走ると、いつも本当に楽しい気分になります。

自分にとってフィンランドの道はホームのようなものですし、ラリー期間中は沢山の応援に励まされます。昨年はフィンランドで表彰台に立ち、シーズンの流れが良い方向に向かったので、今年もそうなることを期待しています。ここ数戦のグラベルラリーで自分たちに速さがあることは分かっていますので、それを良い結果に繋げるために全力を尽くします」

※クリス・ミーク(5号車)
「ラリー・フィンランドには多くの特別な思い出があり、お気に入りのイベントのひとつなので、今年ヤリスWRCで出場するのが本当に楽しみです。私が初めてヤリスWRCを運転したのはフィンランドでしたし、先週もテストを行いました。

フィンランドの道でのヤリスWRCは、いつも信じられないくらい素晴らしいフィーリングです。フィンランドで開発されたクルマが、このラリーでいかに強力であるかを過去2年間見てきました。

チームの皆がシーズンの後半戦に自信を持っていると感じていますし、私自身も良い結果で後半戦の幕を開けたいと思います。今年のコースに初めて走る道が多く含まれているのは自分にとって少し不利ですが、チャレンジをする準備はできています」

はたして、どのようなラリーとなるのか。興味は尽きないが、今回のラリー・フィンランドは4日間の予定で開催される。

木曜日はお披露目とも言えるSS1。2.31kmのスペシャルステージは現地時間の午後7時(日本時間は2日午前1時)スタートを予定している。

金曜日はSS2からSS11までの10のSS、続く土曜日はSS12からSS19までの8つのSSを予定。そして日曜日は、SS20からSS23までの4つのステージを走行する。

後半のスタートとなるラリー・フィンランドは、2019年シーズンの潮目を見る注目のラリー。はたして、トヨタがどのような走りをするのかをチェックしていきたい。<文/モータージャーナリスト・田口浩次>