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秦 基博が思い出させてくれた気持ち「初心は恋よね」。『銀巴里』最後の歌姫・クミコ

コンサート、映画、舞台など、あらゆるエンターテインメントをジャンル問わず紹介する番組『japanぐる~ヴ』(BS朝日、毎週土曜深夜1時~2時)。

7月13日の放送では、SNSで拡散された感動投稿を楽曲化した「妻が願った最期の『七日間』」が話題になっている歌手・クミコのインタビューを放送。

©BS朝日

デビューから現在までの足跡を振り返った内容は、彼女の歌に対する想いや出会いの素晴らしさを感じさせ、そして生きることについて考えさせるものとなった。

◆秦 基博が“初心は恋よね”と思い出させてくれた

もともと役者を目指していたが、芝居の劇中歌を歌ったことをきっかけに音楽の道へ進んだクミコ。1978年に『世界歌謡祭』に参加後、シャンソンの老舗・銀座「銀巴里」のオーディションに合格し、プロとしての活動をスタートさせた。

その後、シャンソンの枠にとらわれず、さまざまなジャンルの楽曲を歌って活動。

松本隆のプロデュースによるアルバム『AURA アウラ』(2000年)、デビュー25周年記念アルバム『十年 ~70年代の歌たち~』(2007年)、シリーズ35万部のベストセラーを楽曲化した「届かなかったラヴレター」(2009年)、秦 基博やつんくらが作曲家として参加したアルバム『デラシネ deracine』(2017年)などで知られている。

作詞家・松本隆との出会いは、クミコの音楽人生を変えたと話す

松本をプロデューサーに迎えたアルバム『AURA』は、作曲や編曲で細野晴臣・鈴木慶一・あがた森魚・筒美京平らが参加。松本は、それまでアイドルたちに提供してきたものとは違うテイストの歌詞を提供し、彼女を驚かせたとのこと。

「ダークな女性像、歴史に埋もれる女性、反社会的な女性、恋に身もだえする不倫をする女性、ダークサイドの女性たちの心情を綴った歌詞が多く、当時45歳だった自分にぴったりの言葉ばかりでした。これから先、自分が滅びていくことも含めた下り坂の心情が、とてもしっくりときました」

©BS朝日

これがきっかけで、2017年にはアルバム『デラシネ deracine』で松本隆と再タッグを組んだ。

同作の作曲陣には、七尾旅人・つんく・秦 基博などが参加。クミコの新しい魅力が引き出された。なかでも秦 基博が作曲した「さみしいときは恋歌を歌って」は、歌手としての原点を改めて思い出させてくれたという

「“恋歌”という言葉は、自分の中にはすでになかった言葉でしたので、この年齢になって火を付けてもらった感覚でした。歌い手というのは、愛はよく歌うけど、年齢を重ねると恋というものは忘れそうになってしまうもの。それを改めて歌うことで、“そうよね、初心は恋よね”と思い出させてくれました」

◆「岩谷時子さんはナンバーワンの作詞家です」

いまクミコの楽曲で話題になっているのが、6月にリリースした「妻が願った最期の『七日間』」だ。楽曲の元になったのは、がんの女性が死ぬまでの7日間でやっておきたいことを綴った詩で、病室の枕元にあったノートにそれを見つけた夫が新聞に投稿。

SNSで紹介されるや瞬く間に19万もの“いいね”が付くなど大反響を呼び、書籍化されてロングセラーを続けている。

投稿した男性本人から「楽曲化してほしい」という手紙がクミコに届き、山口百恵や郷ひろみなどを手がけた名プロデューサー・酒井政利がプロデュースを手がけた。

「私自身にも印象深く残っていたお話でしたし、伺ったところご夫妻は早稲田大学の先輩だったそうで、これもご縁だと思いました。酒井さんも本を読まれて感動され、“これは大人の純愛”だと。80歳を過ぎた酒井さんから“純愛”という言葉が出てきたことに驚いたし、それに胸を打たれました。

人として見つめる覚悟を持たないといけないと教えられ、私自身も真摯に受け止めて歌いました。人はこうやって生まれて死んでいくんだということが納得できるような、肩の力が抜けるような…。こういうことだよね、人生は、と思っていただける歌になりました」

©BS朝日

クミコが人生を賭して歌う、人生と愛。それは、彼女のルーツ=シャンソンのテーマにも通じる。

昨年は、アルバム『私の好きなシャンソン~ニューベスト~』が発売されており、なかでも多くの歌手が歌ってきた「愛の賛歌」は、作詞家/訳詞家・岩谷時子の歌詞が胸に響いたそう。

「フランス語の原曲は、愛する人のためなら人を貶めたり傷つけたりしても構わないと歌う、とても過激な歌です。私が歌っている岩谷時子さんの詞は、越路吹雪さんなども歌われたポピュラーなもの。私とあなたしか出てこないシンプルな内容ですが、そこで語られていることは、何十年経っても古く感じません。

この歌を歌うと“そうだ、ちゃんと愛していこう”と思えます。愛への勇気を確認することができます。岩谷時子さんは、私のなかではナンバーワンの作詞家ですたおやかで色っぽくて、ちょっと悪かったりすごくいろいろな要素があるので、彼女の詞は何度歌っても楽しいです

そんな岩谷時子の歌詞による名曲をクミコが歌う、「わが麗しき歌物語 Vol.2 ~岩谷時子とクミコの歌たち~」が、9月23日(月・祝)に大阪 森ノ宮ピロティホールにて開催。

そして、10月26日(土)にはビルボードライブ東京での公演も決定。「素敵な本を読んだあとのような、“良かったな”という気持ちになっていただけるような歌になれば最高です」と彼女。世代を問わず胸に響く、クミコの歌にぜひ一度触れてほしい。

<文/ライター・榑林史章>

※番組情報:『japanぐる~ヴ
毎週土曜深夜1時~2時、BS朝日

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