「古くて新しい」必殺技で史上最速G1制覇 大岩陵平が進化させた“基本技”に棚橋弘至も脱帽「革命ですよね」
2026年夏に行われた新日本プロレスの最強決定戦「G1 CLIMAX」。20人の強者たちがしのぎを削る過酷なリーグ戦を制し、デビューからわずか4年11カ月という史上最速でG1の頂点に立ったのが、27歳の大岩陵平だ。
快進撃を遂げた彼の傍らには、プロレス界に旋風を巻き起こしている“ある大きな武器”があった。
テレビ朝日のスポーツ番組『GET SPORTS』では、今まさにプロレス界に革命を起こしている男・大岩陵平と、その必殺技「ビッグロック」を徹底分析。本人の実演解説や新日本プロレス・棚橋弘至社長の証言、さらに専門家による科学的分析から、その脅威のメカニズムに迫った。
◆規格外の肉体を生み出す「ほぼ趣味」のハードトレーニング
大岩の強さを支えているのは、徹底的に鍛え上げられた規格外の肉体だ。
試合日であってもジムに足を運び、350キロもの重量を扱うトレーニングを日常的にこなす。そのパワーにはジムスタッフが「フルスタックで扱うことがそもそも規格外。さすがだなと思います」と舌を巻くほどだが、本人は「仕事というかほぼ趣味みたいなものです」と涼しい顔を見せる。
そのハードワークによって作られた上腕二頭筋の太さは、一般的な成人男性の約1.5倍にあたる“46センチ”。会場に詰めかけるファンからは「真っ直ぐなところが好き」「基本的なクラシックな技一つひとつがかっこいい」「若さをいい意味で感じさせない」と絶大な支持を集めている。
元々はプロ野球選手を夢見ていたという大岩だが、中学3年生の時に転機が訪れる。小島聡と棚橋弘至によるIWGPヘビー級選手権試合を映像で観たことで衝撃を受けた。
大岩:「もう観た瞬間ですね。『こんな世界あるんだ』って、非現実的な映像だった。2人とも身体もすごいし、技の迫力もあって、『男の中で一番強いんじゃないか』くらいの衝撃でした。それで自分もなりたいと思って、野球部をすぐに辞めてレスリングのクラブチームに行きました」
高校・大学とレスリングで全国レベルの実力をつけ、徹底的に身体を作り上げた大岩は、2021年に念願の新日本プロレスに入門。通常はデビューまで1年近くかかるところを、わずか4カ月という異例のスピードでリングに立った。
当時を知る棚橋弘至社長も「4カ月は非常に早いですね。前提として身体ができてないといけない。(大岩を見て)デッカいのが入ってきたなと。レスリングに必要な背中の筋肉も大きかったんですけど、大胸筋に目がいきましたね」と、当時の衝撃を振り返る。
◆基本技を必殺技へ昇華――棚橋社長「その発想はなかった、革命」
デビュー以来、大岩が追い求めてきたのは「基本技をいかに見せられるか」というスタイルだった。派手な大技が飛び交う現代プロレスにおいて、彼が今年5月に進化させた技こそが「ヘッドロック」だ。
相手の頭を脇に抱えて固めるヘッドロックは、昭和の時代から使われてきた古典的な技であり、試合序盤のペース握りやスタミナ削りに使われるのが一般的とされる。しかし大岩は、この基本技で試合終盤に相手からギブアップを奪ってみせたのだ。
棚橋:「ヘッドロックは基本中の基本技。基本の『き』と言ってもいいくらいで、普通の試合では初手なんです。将棋の『歩』みたいな。なかなかヘッドロックでギブアップにいこうという発想には、僕はならなかったですね。(大岩は)異彩を放っています。革命ですよね」
この“古くて新しい”必殺技に、棚橋社長は「ビッグロック」という名前を授けた。「大岩」を直訳した「ビッグ(大)」+「ロック(岩)」であり、ヘッドロックの語感を生かしつつ大岩を連想させるネーミングだ。
大岩:「最初は『ダジャレかよ』って思っちゃいましたね(笑)。でも使っていくうちに好きになってきて。実際やっていること自体はめっちゃ古いと思うんです。でもその古い中にも自分のオリジナルの技を織り交ぜたり、昔にはなかったテクニックを入れたりして、『古くて新しい』という表現が合っていると思います」
◆なぜギブアップを奪えるのか?技の極意と科学的分析
では、なぜ基本技であるヘッドロックが、相手を仕留める「ビッグロック」になり得るのか? 大岩は若手レスラーを相手に、その極意を明かしてくれた。
大岩:「相手の左の頬の骨を、自分の手の骨でグリグリやる。これだけでも痛いですけど、自分の全身を使って相手に体重をかけます。『人』という字になるくらい体重をかけながらグリってやれば、最後ちょっと力を入れるだけで(相手は)耐えられなくなる」
さらに倒れ込んだ相手に対しては、お尻を浮かせて自分のすべての体重を相手に預け、頬を絞り上げていく。相手が力で反撃しようとしても強靭な腕力で押しつぶし、ロープに振られて脱出を図られても、体重をかけてつぶすことでクラッチを解かない。
この「ビッグロック」の脅威について、スポーツ技術を研究する筑波大学の大山圭悟准教授は、科学的側面から次のように分析する。
大山准教授:「頬の骨の部分は比較的皮膚が薄く、直下に細い骨があります。骨にある骨膜はとても痛みを感じやすい部分(弁慶の泣き所など)であり、痛い状態をうまく作っています。さらに、歯を食いしばる筋肉の『咬筋』や『側頭筋』への神経・筋肉が圧迫されるため、歯を食いしばる筋肉を両方制することになる。結果として、相手は全身に力が入れにくくなります」
相手の痛感を刺激するだけでなく、反撃する力そのものを奪う構造になっている大岩の必殺技「ビッグロック」。
本来、ヘッドロックの姿勢は腕の筋肉が収縮した状態になり、大きな筋力を出し続けることが難しいとされる。しかし、大岩の丸太のように太い腕と絶対的な筋力があるからこそ、疲労することなく相手を絞め続け、ギブアップへと追い込むことができるというのだ。
◆G1制覇、そして最高峰IWGPヘビー級王座奪取へ
この「ビッグロック」を武器に、大岩は今年の「G1 CLIMAX」で並み居る強豪を撃破していった。
一度捕まえたら離さない圧倒的な執念で勝利を重ね、見事デビューから史上最速での優勝。「ビッグロック」は大岩の代名詞となった。
G1覇者となった大岩が次に見据えるのは、新日本プロレス最高峰の証である「IWGPヘビー級王座」だ。10月12日(月)、両国国技館のリングで第89代王者・辻陽太に挑む。
大岩:「IWGPといえば新日本で一番のベルトですけど、僕は世界一のベルトだと思っています。世界一のプロレスラーが巻けるベルトなので、覚悟を持って挑戦します。街を歩いていたらみんなが振り返るくらいの知名度になって、会場にお客さんもいっぱい来てもらって、日本中で試合がしたいですね」
革命的な必殺技「ビッグロック」を引っさげ、若き新星がプロレス界の頂点へと駆け上がる瞬間から目が離せない。
※番組情報:『GET SPORTS』
毎週日曜 深夜1:55より放送中、テレビ朝日系(※一部地域を除く)
『新日本プロレス両国秋の陣 命運を分ける大一番』
2026年10月12日(月)よる11:15~深夜0:15、テレビ朝日系24局(※一部地域で放送時間が異なります)