「自分からは攻撃しない」空手界のレジェンドが語る、形に込められた“沖縄の心”
テニスの現役を退いてから、“応援”することを生きがいにしている松岡修造。
現在は2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックに向けて頑張る人たちを、「松岡修造の2020みんなできる宣言」と題して全国各地を駆け巡って応援している。
東京2020で初めて採用される「空手」。今回、修造は空手を世界に発信したいという人物を応援しに、沖縄の豊見城市にやってきた。
そこにいたのは、伝統空手の四大流派・剛柔流の最高師範、東恩納盛男さん(80歳)。
この道65年の大ベテランで、全世界になんと30万人以上の弟子を持つ空手界のレジェンドの1人だ。
毎日薪を割ったり石を叩いたり、長年鍛錬してきたことで、手足ともに皮が分厚くなっている。
◆空手に込められた“沖縄の心”
そもそも、空手発祥の地は沖縄。琉球武術と中国憲法が合わさり、独自の進化を遂げ、現在の空手になったという。
沖縄には年に一度、「空手の日」というものがあり、那覇市の国際通りでは3973人が一斉に演武し、ギネス記録を打ち立てたこともある。
さらに1980年代に空手ブームを巻き起こした映画「ベストキッド」では、主人公のダニエルの師匠・ミヤギ氏が沖縄出身であることが触れられている。
実は、その“ミヤギ”という名前も東恩納さんの師匠で、剛柔派の流祖・宮城長順氏からとっていたという。
まさに沖縄から世界に広まった空手だが、東恩納さんが競技以上に伝えていきたいのが、空手に込められた“沖縄の心”だ。
「沖縄には“平和の心”があるんです。江戸時代、沖縄にペリーが来た時もわざわざ王朝まで案内するほど、みんなで歓迎しました。
沖縄では、まずは相手を尊敬します。相手にも心があるから、こちらからは攻撃しません」(東恩納さん)
古くから外の力を受けてきた沖縄。20世紀にはアメリカの占領を受けながらも、人々に培われたのは、相手と戦わない“平和の心”だった。
その思いはアメリカの人々にも伝わり、その後の空手の普及につながったのだという。
「沖縄はアメリカ軍によって攻撃を受けましたけど、そのアメリカの人々が沖縄で空手を習って、世界に普及させてくれたんです」(東恩納さん)
相手を受け入れて、そこから立ち上がる。これこそがまさに沖縄の強さで、空手の形にも現れているという。
「空手に先手はありません。自分からは攻撃しないんです。全ての形は“受け”から始まります。
師匠には、空手は沖縄の文化だから、絶対に形を変えるなと言われました。作った人の心と真髄が全部詰まっていると」(東恩納さん)
東恩納さんのできる宣言は「沖縄の伝統空手の心を世界平和に繋ぎたい!」。その言葉を聞き、修造は「世界中に“沖縄の心”が伝わってほしい」と強く願ったのだった。<制作:TOKYO応援宣言>
※番組情報:『TOKYO応援宣言』
毎週日曜あさ『サンデーLIVE!!』(午前5:50~)内で放送、「松岡修造の2020みんなできる宣言」も好評放送中、テレビ朝日系