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「一息つく瞬間がない」WRC第4戦ラリー・フランス、コルシカ島で開幕

今週末、WRC(FIA世界ラリー選手権)第4戦「ラリー・フランス」が開催される。

©TOYOTA GAZOO Racing

第1戦「ラリー・モンテカルロ」は雪が残る山道、第2戦「ラリー・スウェーデン」はスノーラリー、第3戦「ラリー・メキシコ」は灼熱の砂漠地帯でグラベル(未舗装路)ラリーと、まったく違う路面で戦ってきた。4戦目となる「ラリー・フランス」は、地中海に浮かぶコルシカ島で行われるターマック(舗装路)ラリーだ。

またコルシカ島は、直線が100mにも満たないコーナーばかりの道が続き、別称で「1万のコーナーがあるラリー」と言われている。

©TOYOTA GAZOO Racing

道幅も狭い場所が多く、マシンのセッティングやドライバーの腕前ももちろん重要だが、ドライバーに次のコーナー情報を伝える“コ・ドライバー”の能力と信頼関係も非常に大切となる。

ドライバーとコ・ドライバーは、夫婦関係にも例えられる場合が多い。デビューからずっとコ・ドライバーを変えないドライバーと、比較的頻繁にコ・ドライバーが変わるドライバーがいるのだ。

前者の代表は、現在のワールドチャンピオンであるセバスチャン・オジェ(シトロエン)やトヨタのエース、ヤリ‐マティ・ラトバラが有名。どちらもコ・ドライバーと苦楽を共にしてきた。

後者のタイプは、アンドレアス・ミケルセン(ヒュンダイ)やクリス・ミーク(トヨタ)が挙げられる。また、コ・ドライバーの交代がドライバーとして躍進するきっかけとなったタイプとしては、2017年にコ・ドライバーを変更して一気にトップドライバーへと成長したオット・タナック(トヨタ)がいる。

こうした様々なタイプのドライバーとコ・ドライバーの組み合わせがWRCにはあるのだが、その信頼関係が大いに問われるラリーのひとつが、コーナーだらけの「ラリー・フランス」なのだ。

◆上位3名、ラリー・フランスへの印象

現在チャンピオンシップを争っている上位3名、セバスチャン・オジェ(シトロエン)、オット・タナック(トヨタ)、ティエリー・ヌービル(ヒュンダイ)は、WRC公式サイトのインタビューで「ラリー・フランス」への印象をそれぞれ語っている。

※セバスチャン・オジェ
「多分、平均速度は一番遅いラリーであり、それでいて、実際に走ってみると遅くないと感じるラリーだ。その理由は簡単で、コーナーからコーナーへと続き直線がない。コ・ドライバーにとっては、シーズン中でも突出して厳しいラリーのひとつだ。そしてドライバーにとっても、リラックスというか一息つく瞬間がない。直線がないからね。常にコーナーへの集中力が求められる。ただ、路面へのグリップがすごくて、ドライビング自体はとても楽しい」

※オット・タナック
「ラリー・フランスは間違いなく、ターマック(舗装路)ラリーとして歴史あるクラシックイベントだ。個人的にはタフなイベントだね。というのも、過去にはコースを楽しみすぎたこと(コースから外れて落ちた過去)もある。いまの僕にとっても厳しいイベントだと思っている」

※ティエリー・ヌービル
「ここで勝ったのは栄誉だよ。とにかくマシンセットアップを決めて、より速く走れるマシンを目指す。誰もが平均速度が一番遅いイベントだと言う。でも、実際はそうじゃない。シーズンでいちばん緊張感が続くイベントだ。路面のグリップは高く、コーナーだらけ。低速コーナーだって、グリップが高いから、実際にはかなり速いコーナーになっている」

「ラリー・フランス」の初日は29日金曜日から。距離にして17.37km、17.6km、25.94kmの3つのコースを2回ずつ走り、合計で6つのSSが行われる。2日目の土曜日もSSは6つ。ここでは14.45km、25.62km、そして週末最長となる47.18kmの3つのコースを2回ずつ走行する。

最終日となる日曜日は、31.85kmと最後にパワーステージとして19.34kmの走行と、2つのSSが設定されている。初日の金曜日からいかにタイムを出すことができるかが、週末の行方を占うことになる。

◆トヨタ勢はどう挑むか

©TOYOTA GAZOO Racing

ところで、1973年のWRC初開催よりずっと前、1956年からラリー会場としての古い歴史がある「ラリー・フランス」だが、じつは観光地としても有名な場所である。

もっとも有名なのは、ナポレオン生誕の地であること。ナポレオン・ボナパルト(1769年~1821年)はこのコルシカ島で生まれ、洗礼を受けた。現在も生家や洗礼を受けたノートルダム・ド・アソンプション教会があり、多くの観光客が訪れる場所となっている。

また、現在でこそフランス領だが、もともとはイタリアのジェノバ共和国の領土であったことから(1768年にヴェルサイユ条約によりフランスへ売却)、現在でこそフランス語圏だが、その文化は独特なもので、食文化などにはイタリアの色も濃く残っている。観戦するには非常に大変なラリーのひとつだが、観光を楽しむには、歴史的遺産・絶景・美食と全てが揃った絶好のラリーの地である。

©TOYOTA GAZOO Racing

さて、話をラリーに戻すと、ここでの戦いはターマックを得意とするオジェ(シトロエン)、ヌービル(ヒュンダイ)に、タナックを筆頭としたトヨタ勢がどう挑むかが注目される。また、ターマックで圧倒的な強さを見せ今年からヒュンダイと2年契約を結んでいるセバスチャン・ローブも侮れない。果たして、どんな戦いを見せてくれるのか。

1日目金曜日の「ラリー・フランス」SS1は、17.6km。現地スタート時間は午前8時29分。日本時間では金曜日午後4時29分からとなる。<文/モータージャーナリスト・田口浩次>

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