”巨人の4番から、日本の4番”に抜擢された岡本、「野球は高校まで」と思っていた過去
3月9日(土)に行われる「侍ジャパンシリーズ2019 日本×メキシコ」。
今回、侍ジャパンに選ばれたメンバーは27人中26人が平成生まれと若手主体となっている。
稲葉篤紀監督が「まだ見ていない力のある選手を試す最後のチャンス」と言うように、今年11月の「世界野球プレミア12」、2020年東京五輪のメンバー入りに向けて、若手にとっては大きなアピールチャンスとなる。
本大会で特に注目を集めているのが、メキシコ戦で稲葉監督が4番打者に指名した岡本和真選手(以下、岡本)だ。
巨人の4番として、昨年史上最年少22歳で打率3割・30本塁打・100打点を達成し、未来の日本野球を支える存在になりつつある岡本だが、中学時代、地元・奈良の樫原磯城リトルシニア卒業後は、野球を引退しようと考えていたという。
だが、岡本は中学卒業後、奈良の強豪智辯学園高校に進学し、その後見事プロ入りを果たす。
いまや侍ジャパンを背負う彼は、なぜ今日に至るまで野球を続けたのか。
その背景には、シニア時代の仲間の存在があった。
◆きつい走り込みに耐えたシニア時代
いったい、岡本にとってシニア時代のチームとはどんな存在だったのか。
それを岡本にぶつけると、自身の強靭な足腰を育て上げたのは、シニア時代の過酷なランニング練習だったと振り返ってくれた。
「香具山のまわりをジョギングするのですが、めちゃめちゃきついんですよ。坂がすごくて。山を走るっていうのは地面も悪いし、そういう部分では体幹もそうですけど、いろんなところが鍛えられたんじゃないかなと思います。そこを10周くらい走っていたんちゃうかな」
10周でも中学生にはきつい距離。しかし、試合に負けた日は20周させられるルールだったという。
こうした練習の成果もあり、バッティングに必要な下半身は当時から健在だった。
それを証明するように、2年生時に岡本がチームの主軸として出場した2010年の「全日本中学野球選手権大会ジャイアンツカップ」ではベスト4に進出している。
◆野球を続けるきっかけを与えた仲間たち
そんな岡本が「今の自分がいるのは彼らのおかげと言ってもいい」と答えるのがシニア時代のチームメイト、瀧井さん、橋山さん。
当時はムードメーカーだったという瀧井さん。
彼が野球を楽しみながらやっていた姿こそが岡本が野球を続けるモチベーションを維持したエネルギーだったという。
また、同じくチームメイトだった橋山さん。彼は県で有名な少年野球チームから中学時代に合流した盟友だ。樫原磯城リトルシニアのチームメイトとして顔を合わせた日から橋山さんはライバルから仲間になった。
現在、三冠王が期待されている岡本だが、自身の成績だけでなく、チーム全体のことを意識するようになったのはこの頃からだ。
「一学年の人数が多かったので、同じ練習をしても大会に出られないという子たちもいました。でも彼らは(スタメンだった)僕のいろんな面を手伝ってくれますし、それがあるから大会に出られるんだなという思いを持って試合に出ていました。彼らが手伝ってくれて、打っている姿とか勝っている姿とか見たら喜んでくれると思いますし」
当時のシニアチームは、練習は土日だけだったというが、朝8時から夜8時まで練習漬けというスケジュール。
チーム自体は前述したように全国屈指の強豪チームだった。
過酷な練習が続いたこともあり、岡本は“野球は高校まで”と思っていたという。
「野球は高校までにしようって思っていたんです。とにかくきついことが嫌いで。でも、きついことを乗り越えられたのは、やっぱり仲間の存在が大きいです。いま思えば大学野球行くのも、社会人行くのも、プロに行くのも、全員が全員行けるわけではないので」
そんな仲間の存在が彼をプロに導いたのかもしれない。
智辯学園時代は高校通算73本塁打を放ち、岡本は巨人に入団。
プロ進出後は、史上最年少22歳で打率3割・30本塁打・100打点を記録した。今では、かつて巨人の4番を担った王貞治さんらが達成した三冠王も夢ではない岡本。
しかし自身の成績を振り返る彼は「いつか抜かれる記録ですし、自分としてはタイトルをとりたい」といたって冷静だ。
目標は、あくまで長く、太く活躍し続けるバッターになること。それは侍ジャパンを背負う舞台でも例外ではない。
「侍ジャパンの4番を一回打ちましたけど、そこに関しては特にこだわりはないです。やっぱりチームから任されるというか、そういうバッターになりたい。お前が打てなかったら仕方ないぐらいの気持ちでやっています」(岡本)
明日、4番打者として侍ジャパンを背負う男の原動力は、今でも支えてくれる仲間の支えだ。
「地元の仲間とご飯を食べると、自分の中でリフレッシュというか、また頑張ろうと思えます」(岡本)
はたして、9日(土)のメキシコ戦で岡本はどんな活躍を見せるのか。
「バッティングが長所なので、そこを出せるようにしっかり振っていきたい」(岡本)
地元の仲間の熱い眼差しを受け、岡本は侍ジャパンとして日米野球から2度目の日の丸を背負う。<制作:テレビ朝日野球>
3月9日(土)よる6時56分~ テレビ朝日系列にて生中継
よる9時54分~ BS朝日にてリレー中継(※試合終了時はハイライト)