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富田靖子、ヒトカラでストレス発散!「back numberさんの同じ曲を飽きるまで」

©テレビ朝日

映画『アイコ十六歳』で主演デビューしてから36年間、テレビ、映画、舞台に欠かせない女優として活躍を続けている富田靖子さん。

昨年は映画『友罪』、舞台『母と暮せば』をはじめシリアスな役柄が多かったが、博多華丸さんとW主演をつとめた映画『めんたいぴりり』(公開中)では地元(福岡)の博多弁の肝っ玉母さんを熱演。さらに難病の娘を持つ母親役を演じた映画『愛唄 -約束のナクヒト-』も公開中。幅広い役柄に挑戦を続けている。

©テレビ朝日

◆大切なのは“縁”と“インスピレーション”

-お仕事を選択する基準と言うのはありますか-

「縁ですかね。スケジュールに関しても台本に関しても、ご縁と思っているので。縁みたいなものを感じればやりますし、台本の表紙を見て何か縁を感じると思ったら、台本を読まずに『やります』って言ったりすることもあります。表紙が何かキラキラしていると思ったら『読んでないけど多分やると思います』とかっていうお返事をしたり…。

絶対に台本ということではないですね。そこには人も入ってくるし、新たなエネルギーも入ってくるので、縁とかインスピレーションを感じたときにはやります」

-このところシリアスな役柄が続いていましたが、役を引きずったりすることはありますか?-

「撮影が終わっても引きずることはないです。演じる役の抱えている痛みを出来る限り撮影している間は感じながらやるんですけど、その痛みを感じるためにはどこかでリセットしないとダメなので、なるべく撮影が終わったら考えないようにしています。

ずっと浸っていると痛みに慣れてしまうので、痛みに慣れないためにも、あえて撮影以外のところでは全く違うことを考えるようにしていますね」

-精神的につらい役が続いてストレスがたまったときの発散方法はどのように?-

「気分転換には1人でカラオケに行きます。絶対にその場面は見せられないんですけれども、1人で『1時間だけ行ってきます』っていうような感じで、ものすごい大きい声ですごい音痴で歌っています(笑)。音程をあてることが目的ではなくて、大きい声で生を歌うというのが目的なので、もう誰にも見せられない(笑)」

-どんな曲を歌うのですか-

「back numberさんの『瞬き』という曲を歌います。同じ曲を1時間、ずっと飽きるまで歌うんですよ。それで途中で飽きたらまた別の曲にいったりはするんですけど、大体同じ曲を延々と、ずっと歌っています」

-スカッとします?-

「走った後のような感じで歌っています。カラオケボックスって外に音が漏れるじゃないですか。お店の方はものすごい人が来ちゃったなあって感じなんだと思います。

前は自転車に乗って歌っていたんですけど、子どもが『それは恥ずかしいです』って言うので(笑)。『そうか、恥ずかしいよね。マスクしていても声が漏れるよね』って思って、自転車で歌うのをやめて、今はひとりカラオケでマイクの音量を下げて、ひたすら地声で大きい声で歌うということをやっています。

何か大きい声を出すと、ちょっと自分の中で『あぁ、今日も頑張った』みたいな達成感があって、ちょっと気持ち良かったりします」

(C) 2019『めんたいぴりり』製作委員会

◆映画『めんたいぴりり』で博多華丸さんとおしどり夫婦に!

日本で初めて明太子を作って販売したという「ふくや」創業者の川原夫妻をモデルにして2013年にテレビ西日本開局55周年ドラマとして制作され、日本民間放送連盟賞優秀賞をはじめ、数々の賞を受賞した『めんたいぴりり』。

2015年には続編『めんたいぴりり2』が放送。その劇場版となる今作で、富田さんはドラマ版と同じく、博多華丸さんとおしどり夫婦を演じている。

※映画『めんたいぴりり』
戦争の傷跡を残したまま復興を遂げようとしている昭和30年代の福岡。小さな食料品店「ふくのや」を立ち上げ、豪快でしっかり者の妻の千代子(富田靖子)と営んでいる海野俊之(博多華丸)は大のお人好し。困っている人を見つけると手を差し伸べずにはいられない。韓国・釜山で生まれ育った俊之は当時の思い出の味にヒントを得て明太子作りに精を出すが…。

-これまでのシリアスな役柄とは全く違いますね-

「そうですね。『めんたいぴりり』のようなしっかり者の肝っ玉母さんという役柄の方が少ないですから。どちらかというと苦悩や葛藤を抱えていたりする役柄の方が多いように思います。

特に今回の映画版では、大きな声を上げているときの方が多かったですね。夫があんな感じなので手綱をきゅっとしめておかないといけないですから。困っている人がいると、なけなしの生活費まで渡してしまうほどお人よしの夫ですから、私がしっかりしていないといけないという役どころなので(笑)」

-肝っ玉母さんぶりがとても新鮮でした-

「ありがとうございます。『めんたいぴりり』は、やっていてとても楽しいです。博多弁は身内以外とは使ったことがなかったので、正直最初のほう華丸さんと博多弁で話すということに違和感がありました。でも、撮影をしている間にドラマの共演者とも『身内』『家族』のようになり、違和感なく博多弁で話せるようになりました」

-華丸さんとのやりとりも絶妙ですし、人の温かさが心に響く作品ですね-

「華丸さんとはもう何にも考えなくても大丈夫という感じです。今回映画の中でも言っているんですけど『与えた恩は水に流せ、受けた恩は石に刻め』という言葉があるんですけど、人の温かい思いで笑顔になったりとか、本当にそういう時代だったんだと思うし、それは今も絶対残っていることで、そういう温かい思いがこの映画で改めて感じていただけたらと思います」

-撮影現場はどうでした?-

「本当に楽しかったです。子役の子どもたちも本当に仲が良くて、『自分が出ているシーンの撮影が終わったら、早く帰って勉強しなさい』って言っても、『いいよ、終わるまでいる』と言って撮影を見学している姿に胸がいっぱいになりました」

撮影現場では、スタジオに前室とかフリースペースがなかったので、廊下にモニターがあって、そのモニターの前にみんなで一列に椅子を並べて、一緒にお菓子を食べながら見ていたという。

「ずっとその廊下の一角でみんなで一列に並んで、もぐもぐ食べながら身を乗り出してモニターを見て笑ったりしていました。そういう狭いスペースでやっていたことが、みんなを密接につないでくれたような気がします。

狭いスペースなので、『あんたが出ているシーンだからモニターの前に行きなさい』なんて言いながら、みんなで場所を譲り合ったり、みんながお互いに思い合っていました。本当にキャストもスタッフもチームが全部家族だったので、その空気感が映像に出ているんじゃないかなあと思います」

©テレビ朝日

◆母として、女優として

『めんたいぴりり』のドラマ版が始まったのは子どもが幼稚園のとき。最初は小学生になったら長い出張はもうできないと思い、1回だけのつもりでドラマ版に出たのだという。

「1回だけのはずが6年続いてしまったという感じで、こんなに長いお付き合いになるとは思っていませんでした」

-お子さんはご覧になっているのですか-

「はい。華丸さんのことはお父ちゃんと言っています(笑)。『お父ちゃんが出ているドラマだ』とか言って(笑)。華丸さんが出ている番組を見ると、『あっ、お父ちゃんが出ている。お父ちゃん髪の毛が伸びた』とか言っています。

華丸さんというお名前をちゃんと覚えているのかどうかは確認していないんですけど、子どもが見ている唯一の作品だと思います。普段は背負っているものが大きい役が多いので」

-でも、いずれは10代の頃からの作品も見るようになるのでしょうね-

「どうでしょう。もし、見たいと言ったらそのときには本人に選ばせようとは思っています」

-家庭と仕事、スケジュールはどのように考えてらっしゃるんですか-

「そうですね。家族、身内にはいっぱい迷惑をかけてはいるんですけれども、作品を決めた後、なんとかします。子どもも『どうせやるんでしょう?』っていう感じなんだと思いますけど(笑)。でも、やると決めたらスケジュールを何とか調整できるように最大限の努力をします」

(C) 2018「愛唄」製作委員会

もう1本公開中の映画『愛唄 -約束のナクヒト-』では、病気の娘を持つ母親という難役に挑み、全く別の顔を見せている。

※映画『愛唄 -約束のナクヒト-』
GReeeeNのヒット曲『愛唄』のもうひとつの物語を映画化した青春ドラマ。恋する勇気を持てないまま大人になってしまったトオル(横浜流星)は、病気で余命を宣告され自暴自棄になってしまうが、旧友との再会、そして、偶然見つけた詩との出会いを経て、全力で恋と向き合うことに。そしてようやく運命の少女・凪(清原果耶)と出会うが、彼女には悲しい秘密があった…。

-清原果耶さん演じる病気の娘・凪の母親役という難役でしたが、役作りはどのように?-

「まず髪を切りました。撮影に入る前は胸くらいまで長さがあったんですが、入院している娘に付き添ったり、家のこともやらなければいけないとなると、とても自分の身のまわりのことなどに構ってはいられないだろうと思ったんです。それで肩までバッサリ切りました」

-娘の命を縮めることになるとしても、外出を許して青春を謳歌(おうか)させるのか、究極の選択に迫られる難しい役どころですが-

「親としては1日でも長く娘に生きて欲しい。でも、そのために何もさせずにただ病室で過ごすことを強いるのか…。恋や友だちとの他愛ないおしゃべり、人並の楽しい経験もさせてあげたいという思いもありますけど、命を縮める危険があるとなると難しいですよね」

-娘とひかれ合うトオルに怒りをぶつけるシーンもありました-

「トオル役の横浜流星君とは前の年に親子役をやっていたので、娘を思うあまり激しい怒りをぶつけるときもストレートにいけた気がします。親子役で共演した経験があったから、きつい言葉も彼をひっぱたくシーンも、逃げることなくぶつけることができました。だから、役者って面白いなあって思います」

「目標に向かってがむしゃらに突っ走るのではなく、巡り会った台本をひとつひとつ大切にして、気がついたらその目標を達成していたというのが理想」と話す笑顔にスクリーンの姿が重なる。(津島令子)

(C) 2019『めんたいぴりり』製作委員会

※映画『めんたいぴりり』新宿バルト9ほか全国公開中
監督:江口カン 出演:博多華丸 富田靖子 博多大吉(友情出演) 高田延彦 吉本実憂 柄本時生 でんでん

(C) 2018「愛唄」製作委員会

※映画『愛唄 -約束のナクヒト-』全国公開中
監督:川村泰祐 出演:横浜流星 清原果耶 飯島寛騎 成海璃子 財前直見 富田靖子 中山美穂

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