「日本の象徴で“ちょんまげ”描かれたら?」着物で国の魅力伝える女性のこだわり
テニスの現役を退いてから、“応援”することを生きがいにしている松岡修造。
現在は2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックに向けて頑張る人たちを、「松岡修造の2020みんなできる宣言」と題して全国各地を駆け巡って応援している。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開会式で、206の国と地域をモチーフにした着物の披露を目指す「KIMONOプロジェクト」。
今回、修造が応援に行ったのは、アフリカ大陸北部、紅海に面する「エリトリア」の着物制作を担当している京都在住の白木美保さんだ。
◆駐日大使から出た“1つの要望”
白木さんは、もともとエリトリアの知識は無かったが、高校生の三俣悠さんが手がけたデザインの原案に一目ぼれ。着物作成への情熱を燃やすこととなった。
まずは、エリトリアがどんな国なのかを調べることから始めるものの、日本での知名度が低いせいか、集められる資料も限られていたため、“不安”が募った。
「自分の描くエリトリアのイメージが、はたして本当に合っているのか?確かめたかったのです。海外で日本の象徴として、ちょんまげと、芸者さんと、お寿司を描かれたら、どう思われますか?」
そして、白木さんはエリトリア人の生の声を聴こうと決意。京都から東京の大使館を訪ねると、駐日エリトリア大使のアフォワキさんから1つの要望が出た。
「『自由』という言葉がとても好きなので、私たちの母国語で『自由』という文字を書いて入れていただけるとうれしいです」(アフォワキ駐日大使)
エリトリアは、長きにわたってイタリアや隣国エチオピアの支配が続き、1993年にようやく独立。「自由」を勝ち取った歴史があったのだ。
「自由」の文字をどこにどう組み込めば、エリトリアの人々が最も喜ぶのか。納得できるアイデアが浮かぶまで、大いに悩んだ。
◆5時24分を指す時計の意味
そして今年2018年11月、8カ月の月日を経て、ついに着物が完成した。
完成した着物は、エリトリアを思わせる動物や建物がふんだんに盛り込まれたデザインで、1000色以上を使った逸品。大使から要望された「自由」の文字は、こだわりの箇所に刻んだ。
「心臓が人の中では一番重要な部分だと感じておりましたので、左の胸付近に入れました」(白木さん)
さらに、首都にある時計台の部分にもこだわった。針が5時24分を指しているのだが、実はこの時刻、独立記念日の5月24日をなぞったものだ。
全てを見終わったアフォワキ大使が、白木さんに語り始める。
「心の底から言わせてください、私は感動いたしました。この作品を製作して頂き感謝いたします。東京2020は人間の良心と思いやりの結集となります。ありがとうございました」(アフォワキ駐日大使)
その言葉を受け、白木さんは涙を浮かべ、「エリトリアの平和が続くことを心から願っています」と答えた。
白木さんは、この着物を日本とエリトリアの“絆の第一歩”にしたいと言う。
東京2020に向けて、できる宣言は「エリトリアの文化、自然、人々の魅力を、着物を通して伝えたい!」。
白木さんの努力の過程を追ってきた修造は「美保さん、おめでとう!そしてこれからがスタートだ!」と、熱い言葉で背中を押した。<制作:TOKYO応援宣言>
※番組情報:『TOKYO応援宣言』
毎週日曜あさ『サンデーLIVE!!』(午前5:50~)内で放送、「松岡修造の2020みんなできる宣言」も好評放送中、テレビ朝日系