テレ朝POST

次のエンタメを先回りするメディア
menu

木下ほうか、骨髄提供を決意するまで。29歳でこの世を去った大学時代の恋人の存在

©テレビ朝日

『痛快TVスカッとジャパン』(フジテレビ系)内のミニドラマのイヤミ課長をはじめ、ドラマ『日曜劇場 下町ロケット』(TBS系)、映画『民暴』(16年)、『ぶらり途中下車の旅』(日本テレビ系)などで知られる個性派俳優、木下ほうかさん。

2017年、公益社団法人ACジャパンの骨髄バンク支援キャンペーンCMに起用され、テレビ番組でも骨髄ドナーとして骨髄提供を行った体験を告白。新聞や雑誌でも取り上げられた。

先月26日には自身の骨髄を提供した理由と体験を記した著書『僕が骨髄提供をした理由(わけ)。言うほどたいしたことなかったで~!』(辰巳出版)が出版され、「献血」が趣味で、下積み時代からこれまでの献血回数は51回ということも明らかに。

©テレビ朝日

◆骨髄ドナー登録の裏には若くしてこの世を去った大学時代の恋人の存在が

現在大阪に住む60歳代の中で献血回数が第2位という記録を持つという義兄がきっかけで、25歳のときに「献血」を始めた木下さん。献血ルームには最新の雑誌があって読み放題、飲み物やお菓子ももらえる居心地の良さに、撮影の合間や休みがあると献血に行くことが習慣になり、「献血が趣味」と言えるほどになっていったという。

これまでの献血回数は何と51回。そのときに必ず目にしていたのが「骨髄バンクのドナー登録にご協力をお願いします」というポスター。40歳になったとき、木下さんはドナー登録をする。そこにはある女性の存在が。

「大学時代に同じ演劇科の同級生だった女性と4年間付き合っていたんですけど、のちに彼女が『急性骨髄性白血病』で亡くなってしまって…。まだ29歳という若さでした。

当時はまだ骨髄バンクが発足したばかりだったので、ドナーからの骨髄移植は一般的ではありませんでした。そのことはずっと頭にありましたけど、『骨髄』や『移植』という文字が重たく感じられて不安で、なかなか深く考えようという気にならなくて。でも数年が過ぎ、きちんと調べてみようと思って調べ始めたら不安も消えてドナー登録することにしたんです」

-ドナー登録されてからは?-

「登録した直後は『適合通知が届いているかもしれない』とドキドキしていましたけど、仕事も順調に増えていた時期でもあったので、次第に記憶が薄れていってました」

-ドナー適合通知が届いたのは、いつですか?-

「登録してから5年後でした。仕事も順調だったから周りの人には反対されるだろうし、3ヵ月という長い時間をドナーとして過ごさなければならないことにも不安を感じて、かなり悩みました。

でも、そんなときに本田美奈子.さんが38歳という若さで『急性骨髄性白血病』で亡くなったという記事を読んだんです。彼女は骨髄移植を考えていたのにドナーが見つからなくて間に合わなかったのは、本当にかわいそうだと思いました。

人が生きるか死ぬかということに比べたら、僕の不安なんて、たいしたことないじゃないですか。それに大学時代の彼女のこともありましたから、提供を決意しました。両親と事務所も最初は反対だったんですが、最終的にはわかってくれました」

-そして、実際の手術が行われたのが2009年、いかがでした?-

「全身麻酔だったので、気が付いた時には手術が終わって病室にいました。痛いんじゃないかと不安でしたけど、僕は麻酔から覚めても痛みはゼロに近かったんです。だから、これはちゃんと伝えないといけないなって。そして、僕の骨髄液も無事に患者さんに届けられたと聞いて本当にうれしい気持ちになりました」

-木下さんが骨髄を提供したことで、助かった命があるわけですものね-

「そうですね。それは患者さんからいただいた手紙を見ると、死にかけていた方が生き延びたという事実が書いてあって、その方が最上級に感謝してくださるということは、本当に自分にとっても大きなことでした。患者さん本人と奥様からいただいた手紙を読むと、10年以上経った今でも涙が出ます」

骨髄を提供したことは自身のブログにしか書いていなかった木下さんだが、2017年、公益社団法人ACジャパンの骨髄バンク支援キャンペーンのCMに起用されることに。

ドナー登録ができるのは18歳以上、54歳以下で、実際に提供ができるのは20歳以上、55歳以下。CMのキャッチコピー、「僕が卒業しても、」は、CM撮影当時53歳だった木下さんにピッタリだった。

-最初にCMが決まったのはどのようにして?-

「当時のブログに、骨髄適合通知を手にした月からドナー提供が終わるまでのことも書いていたんです。それを名古屋の広告会社の方が見つけて。2009年のブログですから、よく見つけましたよね。それで、僕の今の年齢(54歳)にもちょうど合っていたわけです」

-あのポスターもCMもすごくインパクトがありました-

「ACは1年やっていました。1年間、駅や町にポスターを貼っていたり、CMを放送していたのに、何にも言われなかったんですよ。いろいろな人から『ポスターやCMを見たよ』とは言われるんですけど、その内容に関しては誰も質問してこなかったんです。だから、『なんだみんな関心ないんだ』とか『骨髄ドナーに関することなどは取り上げにくいのかな』と思っていました。

だから僕がCMに出演した意味はあったのかなと思ったんですけど、骨髄バンクの担当者からドナー登録に関する問い合わせが増えたと聞きました。売名行為だと言う人もいるかもしれませんが、自分が発信することで、ひとりでもドナー登録をしてくれる人が増えるのならそれでも構わないと思っていました」

©テレビ朝日

◆離婚したくないから結婚しない?

これまで一度も結婚したことがなく、独身生活を満喫している木下さん。『イッテンモノ』(テレビ朝日系)で理想の女性像を紹介するも、「化粧が薄い」「口紅は塗らない」「ショートカット」「ボーイッシュ」「バレーボール選手のような人」「しっかり怒ってくれる人」など、かなりこだわりがある様子。

-独身主義というわけではないんですか-

「全然。そういうわけではないです。離婚したくないから結婚しないんです。結婚するんだったら1回にしたいから。結婚して離婚して…というのが多いじゃないですか。周りが離婚したと聞いてもあまり驚かない。こういう仕事をやっている人は特に多い。だからみんなもっと慎重にやろうぜって(笑)」

-ひとりでいる不安はありますか?-

「長生きすることが不安。この先人間は100歳まで生きるとか言うでしょう? 今の平均寿命が80歳として、あと30年孤独なんですよ。ゾッとしません? いや、孤独を感じているわけではないですけど、そろそろどんどん体が弱ってくるし、家族はいないし、老後のことをすごい考えますね。きっと収入も減っていくでしょう? そうすると長生きするのがすごく怖いですね。ゾッとする」

-掃除、洗濯など家事も全部ご自分でされてるんですか-

「最低限しかやりません。そういうのが苦手だからだから『家ロケ』は禁止なんです」

※映画『グレイトフルデッド』(2013年)
深刻化する高齢化社会を舞台に、自分より不幸な人物を観察することで優越感を得る女性と、孤独な老人が壮絶な関係に陥っていく姿を描く異色のサスペンス。木下さんは俳優として出演するだけでなく、プロデューサーもつとめている。

-映画のプロデュースもされたりしていましたが、またやる予定は?-

「プロデュースはしんどいです。低予算でやっていたから、お金も集めて、お弁当配ったり、俳優さんの送り迎えをしたりとか、ロケ先の住人に土下座して謝ったり…もうあらゆることをするからしんどかったです」

-結構血まみれのシーンもありましたしね-

「地元の人が怒ってロケ場所を貸さないということもあったりしましたからね。そしたらもうそれで撮影が止まるじゃないですか。だから、泣きながら『すみません』て言ってお願いしたりして…。またやりたい内容があったらやりますけどね」

幅広い分野で才能を発揮している木下さんだが、「本業はあくまでも俳優。僕をキャスティングして良かったと思われる独自の演技の役作りをしたい」と話す。次はどんな個性的なキャラで登場するのか。ワクワクする。(津島令子)

※『僕が骨髄提供をした理由(わけ)。言うほどたいしたことなかったで~!』(辰巳出版)
著者:木下ほうか

(C)2018「かぞくいろ」製作委員会

※映画『かぞくいろ RAILWAYS わたしたちの出発』公開中
監督:吉田康弘 出演:有村架純 國村 隼 桜庭ななみ 歸山竜成/木下ほうか 筒井真理子/板尾創路 青木崇高

LINE はてブ Pocket
関連記事
おすすめ記事