「髪の毛切ったことない」ロシア14歳の天才トゥルソワ、強さとあどけなさ<フィギュアスケート>
12月7日から行われているフィギュアスケートのジュニアGPファイナル(女子)。
7日に行われたショートプログラムでは、ロシアのアリョーナ・コストルナヤ(15歳)が76.32点の高得点をマークし首位に立ち、同じくロシアのアレクサンドラ・トゥルソワ(14歳)も74.43点とジュニアとしては驚異の高得点で2位につけた。
この上位2人だけでなく、今回のジュニアGPファイナル(女子)に出場しているのは、6人中5人がロシア勢。
2月の平昌オリンピックでロシアのザギトワとメドベージェワがし烈な金メダル争いを繰り広げたことは記憶に新しいが、ジュニアでもいま、女子フィギュア界はロシアを中心とした勢力図が広がっている。
そんなロシアの女子ジュニア選手たちは、公式戦や練習で次々と“4回転ジャンプ”を跳んでいることでも世界的に注目を集めている。
特に、トゥルソワ。前年ジュニア覇者でもある彼女は、今年3月の世界ジュニア選手権で、国際スケート連盟(ISU)公認大会では女子2人目となる4回転に成功した(※2002年の安藤美姫以来)。この大会でサルコウ・トウループの2種類に成功した後、今季のジュニアGPシリーズ(アルメニア大会)では、大技・4回転ルッツも決めている。
男子でも跳べる選手が少ない技だが、彼女はこれにより、女子としては世界初の4回転ルッツジャンパーとしてISU公式認定を受けた。
◆ラプンツェルに憧れ「髪は切ったことがない」
アレクサンドラ・トゥルソワ、14歳。
試合や練習にも連れて行くほど愛犬の「ティーナ」を溺愛する、まだあどけなさの残る少女だ。
2004年6月23日生まれであり、女優の芦田愛菜とまったく同じ生年月日と聞けば、世界の注目を浴びるアスリートである彼女が“あどけない少女”でもあるということに説得力がもたせられるだろう。
そんな彼女の大きな特徴のひとつが、長く伸びた髪の毛。聞けば、「生まれてから切ったことがない」という。テレビ朝日の取材に、以前にこう答えている。
「(長い髪の毛は、生まれてから切ったことがないというのは本当ですか?)ええ、もう長いこと切っていなくて、たまにただ毛先を揃えるだけです。長い髪はとてもお気に入りで、小さい頃に『塔の上のラプンツェル』というアニメを見て、主人公のラプンツェルのようになりたいと思ったんです」
ラプンツェルに憧れ、また映画『ハリー・ポッター』シリーズもすべて鑑賞するなど、ファンタジーをこよなく愛する彼女。
しかし、まるで“魔法”とも言えそうな4回転ジャンプについては、「ただ、1回転多いだけです」と答え、4回転を跳ぶにあたって苦しんだことを聞いても、「私はジャンプが大好きなので、苦しんだことはありません。新しいジャンプを学ぶのが好きです。たくさんたくさんジャンプしていれば、いつか出来るようになります」と現実的かつ冷静に答える。
◆憧れの選手。尊敬する「練習態度」
さらに、「私はすべての練習が大好きです」とも話すトゥルソワ。この姿勢の背景には、同じアスリート養成学校・サンボ70で練習してきた憧れの先輩の存在があるようだ。
「私は、メドベージェワに憧れています。彼女は、毎日毎日、たくさん練習していました。失敗しても、何度もジャンプしていました。彼女の練習態度に、とても感銘を受けました。彼女のフィギュアスケートに対する態度が好きなんです」
普段のあどけない顔から、ひとたび練習になると表情を一変させ、ときに練習中にも悔しさに涙をみせるトゥルソワ。
その姿からは、彼女が憧れのメドベージェワのスピリットをしっかり引き継いでいることが溢れるほどに伝わってくる。
また、4回転を跳ぶもうひとりのロシアの14歳、アンナ・シェルバコワ。
今年、非公認大会ではあったが、ひとつのプログラムのなかで4回転ルッツを2度も成功(※そのうちひとつは、女子史上初の3回転ジャンプとのコンビネーション)させた彼女も、練習について「すべての練習が大好き」と話す。
ザギトワ、メドベージェワらメダリストを育て上げてきた名コーチ、エテリ・トゥトベリーゼの指導を受けるトゥルソワ、シェルバコワ、そしてコストルナヤ。
厳しい指導から「鉄の女」の異名を持つトゥトベリーゼコーチだが、彼女のもと“ノンストップ”の練習に励み、それを愛してきたロシアの“天才”選手たち…。その個々の努力の積み重ねの先に、フィギュア王国・ロシアの強さがあるといえるだろう。
※番組情報:『フィギュアスケートグランプリファイナル2018』
女子フリー 12月9日(日)よる9時~ 、テレビ朝日系列