五輪女王ザギトワ、スケートを諦めかけた「4年前の挫折」
12月7日(金)、カナダでフィギュアスケートの『グランプリ(GP)ファイナル』が開幕する。
日本人初のGPシリーズデビュー戦から2連勝でファイナル進出を決めた紀平梨花、平昌五輪代表の宮原知子、坂本花織らが出場する同大会。
メダル獲得の期待がかかる日本勢の前に立ちはだかるのは、GPシリーズのショートプログラムで今季世界最高得点を記録したアリーナ・ザギトワだ。
12歳で親元を離れ練習拠点のモスクワへ渡ったザギトワは、オリンピックのメダリストを数多く育てたエテリ・トゥトベリーゼコーチに指導を仰ぎ、2月の平昌オリンピックでは金メダルを獲得した。
過去にはオリンピック女王になったあと、休養したり一線を離れたりする選手もいるなか、燃え尽きることなく氷上で戦い続けるのはなぜなのか?
今季、グランプリシリーズ2連勝でファイナル進出を決め、好調ぶりを維持するザギトワに松岡修造が初めてインタビュー。彼女がその胸中を明かした。
◆4年前に味わった大きな挫折
――平昌オリンピックで金メダルをとったことによって、ものすごく注目を浴びました。“勝ったことによっての苦しみ”のようなものを感じている部分はありますか?
ザギトワ:「もちろん練習がしたくない気持ちはありました。でも求められるのは体調を整えることです。オリンピック女王は“甘えてはいけない”というプレッシャーがあります。
私はその日その日自分に課題を与えています。厳しい練習の後に、愛犬マサルと散歩することも課題のひとつなんです」
――モチベーションはどう維持していますか?
ザギトワ:「フィギュアスケートヘの愛情でしょう。私のキャリアはまだ日が浅いので、新しいことをする、大会に出ることを面白く思っています。
外国に行って、新しい人たちに会うこと、そして競うこと自体が好きです。
シーズンとシーズンの間、大会がないときに、その気持ちが恋しくなるのです。それでスケートがやりたいと再確認ができます」
16歳にして「金メダリストとしてどうあるべきか」を常に意識するザギトワ。しかし4年前、エテリ コーチのところに来たばかりのころは、今の姿からは想像もできない大きな岐路に立っていたと言う。
ザギトワ:「あれはつらい時期でした。新しいジャンプの練習中に、腕を骨折して、私は骨折したまま大会に行きました。演技前の練習でうまく着氷できなくて、足の骨も折ってしまったんです。
数週間ギブスをつけて安静にしていたため、筋肉が落ちてしまって…。ジャンプをすべて一からやり直さなければならなくなりました。
その頃自分から練習をしなくなり、誰かの指示を待っているだけでした。でもエテリコーチでは、それは通じません。コーチは当時、私に『期待しても仕方がない』と思っていました」
度重なるケガを負い、厳しい練習にもついていけなかったザギトワは、チームを追い出されそうになっていたのだ。それでもあきらめなかったのは…
ザギトワ:「数日間練習しないだけで、すぐに滑りたくなりました。学校に行って宿題をして…普通の子と同じ生活をしようと思いましたが、私にはできませんでした。でも私にはその経験が必要でした。スケートは私の生きがいだと気付くために」
――諦めなくてよかったですね。
ザギトワ:「あのときスケートをやめていたらオリンピック女王にはなれませんでした」
12歳でぶつかった挫折から、わずか4年で栄光を掴み取ったのだ。
――ザギトワ選手は、どんなフィギュアスケーターになりたいと思っていますか?
サギトワ:「決して忘れられないフィギュアスケーターになりたいです。そして、まぐれでオリンピック女王になったと思われないでいたいです」
※番組情報:『フィギュアスケートグランプリファイナル2018』
男女ショート:12月7日(金) よる7時30分〜 テレビ朝日系列(一部地域を除く)
男子フリー:12月8日(土) よる6時56分〜 テレビ朝日系列
女子フリー:12月9日(日) よる9時〜 テレビ朝日系列