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トヨタ、総合1・2位に!タナックは大逆転チャンピオンの可能性も【WRC:ラリー・オーストラリア】

11月17日、WRC(世界ラリー選手権)最終戦となる第13戦「ラリー・オーストラリア」のデイ2が開催された。

©WRC

土曜日は合計10のSSが行われ、その結果は以下の通り。

1位オット・タナック(トヨタ)、2位はトップから21秒9遅れでヤリ‐マティ・ラトバラ(トヨタ)、3位は同26秒3遅れでヘイデン・パッドン(ヒュンダイ)、4位は同46秒6遅れでマッズ・・オストベルグ(シトロエン)、5位は同50秒4遅れでエサペッカ・ラッピ(トヨタ)、6位は同1分44秒8遅れでセバスチャン・オジェ(フォード)と続いた。

©WRC

この日のチャンピオン争い、注目はもちろんオジェとヒュンダイのティエリー・ヌービルとのタイム差に集まったのだが、それ以上に多くの目を惹きつけたのは、トヨタのタナックだった。10あるSSのうち6つのSSでステージトップを獲得。これにより、数字としてはチャンピオンの可能性を最終日に残した。

また総合2位につけたラトバラも、ステージトップこそなかったが5つのSSで2位に入り、安定した走りを見せた。トヨタはラッピも総合5位につけていることから、このまま行けば日曜日には1999年以来のマニュファクチャラータイトル獲得がほぼ確実になってきた。

復帰2年目にしてのタイトル獲得は、いかにトヨタのマシンとチーム力が高いレベルにあるかの証明となるだろう。

©WRC

トヨタの2人は、走行後にチームリリースを通じてコメントを出している。

〇オット・タナック
「とても良い1日でした。今朝は本来のリズムを取り戻し、クルマのフィーリングも良かったので、少し攻めた走りをしてタイムを挽回しました。そして午後も攻めの走りを続け、後方の選手に対するマージンをさらに拡大することができました。明日は少々トリッキーなステージがあり、また天気も安定しないようなので、簡単にはいかないかもしれません。とはいえ、現時点では全てが正しい方向に進んでいますし、あらゆる状況をコントロールできていると思います」

〇ヤリ‐マティ・ラトバラ
「午前中は本当に良かったと思います。クルマはとても素晴らしく、ドライビングを楽しんで少し順位を上げることができました。午後も初めは良かったのですが、恐らくタイヤに対する負荷が強すぎたからだと思いますが、タイヤがかなり摩耗してしまいました。そのためペースを緩めなくてはならず、タイムが落ちていってしまいました。また、スーパーSSではアンラッキーなコンディションでの走行となりました。それでも、依然総合2位につけていますし、この順位を最後まで保つことがマニュファクチャラータイトルにとっては本当に重要です。また、良いフィーリングでシーズンを終えるのは、自分にとっても大切なことです」

©WRC

一方、初のワールドチャンピオンタイトルを狙うヒュンダイのヌービルにとっては、この日も厳しい1日となった。

SS9を走行直後のヌービルは、「正直、天候が崩れないと、ドライコンディションのグラベル(未舗装路)では追いかけるのは難しい」と雨を切望していた。しかし、恵みの雨の前に、厳しい現実が待ち受けていた。

SS11、左コーナーでマシンが大きく外側に膨らみコース脇の樹木に当たってしまった。これにより、走行不能にこそならなかったが、サスペンションの一部にダメージを受け、その後も徐々にオジェからリードを広げられる展開に。

SS18こそ待ち望んでいた雨が降り、ステージトップを獲得したが、時すでに遅し。最終的にSS18走行後の順位は前日の総合10位から総合8位に上がったものの、オジェとのタイム差は50秒4にまで広がってしまった。

走行後、チームからコメントを出したヌービルは、「僕たちは自分たちのできることをすべて尽くさなければならなかったけれど、実際に僕たちに出来ることはあまりなかった。今日は路面がとにかく滑りやすかった。チャンピオンシップについては、フラストレーションの溜まる状態だ。でも、最後のステージゴールまで、まだ終わりじゃない」と、悲観するなかにも日曜日を諦めない姿勢を見せている。

ヒュンダイにとって厳しいのは、マニュファクチャラータイトルにおいても、このままではトヨタを逆転することが不可能なことだ。

ドライバーズチャンピオンシップ、そしてマニュファクチャラータイトルも、シーズン途中まではヌービルとヒュンダイがリードしていただけに、最後の最後に両方のタイトルが手の間をすり抜けていく感覚。チームの雰囲気も厳しい。

©WRC

一方、6連覇に向けて堅実な走りを続けているオジェは、SS15走行後の時点でインタビューに答え、「いまのところすべてOKだ。すべてをコントロール下においている。このあとも、この感じを続けていかなければならない」と語り、すでにヌービルとのタイム差だけをみてリスクコントロールしていることを伺わせた。

いよいよ長かったWRC2018年シーズンも最終日を迎える。泣いても笑ってもこれが最後であり、シーズンの結果のすべてが日曜日に決まる。

天候は晴れや曇りであれば波乱も少なく、トヨタのマニュファクチャラータイトルとオジェの6連覇は堅いところだろう。

しかし、土曜日のSS18が雨に降られたように、一度雨が降ればコースコンディションは激変し、どんなトラブルが発生するかわからない。つまり、まだまだ最後まで油断大敵なラリーは続く。ヌービルにとっても、「雨があれば…」という想いは強い。果たして、最終日はどんなコンディションとなるだろうか。

日曜日はSS19からSS24までの6つのSSが行われる。トヨタのタイトル獲得、オジェの6連覇、またはヌービルの初戴冠、はたまたタナックによる奇蹟の大逆転など、さまざまなラストシーンが未だ交錯する最終日。見逃せない1日となる。<文/モータージャーナリスト・田口浩次>