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「平和の大切さを伝えられるような音楽家に」受賞者たちが“説得力ある演奏”を披露!<第34回出光音楽賞受賞者ガラコンサート>

2026年1月21日、「第34回出光音楽賞受賞者ガラコンサート」が昭和女子大学・人見記念講堂で開かれた。

「出光音楽賞」は、1964年に放送を開始した『題名のない音楽会』(テレビ朝日系)の25周年を記念して1990年に創設された、出光興産株式会社が主催する音楽賞。長年にわたり将来有望な新進音楽家の育成に多大な貢献を果たしてきた。受賞者には音楽活動の支援として300万円が贈られる。

近年では、反田恭平(2016年受賞)、藤田真央(2019年受賞)、亀井聖矢(2022年受賞)らが受賞し、世界を舞台にめざましい活躍をくりひろげている。

選考委員には、池辺晋一郎(作曲)、石田一志(音楽評論)、海野義雄(ヴァイオリン)、木村かをり(ピアノ)、木村俊光(声楽)が名を連ねる。

今回の受賞者は、宮里直樹(テノール)、北村陽(チェロ)、金川真弓(ヴァイオリン)の3名。

受賞後に開催されるガラコンサートは、受賞者たちがオーケストラと共演する晴れの場となっている。授賞式に続いて、それぞれが川瀬賢太郎指揮、東京フィルハーモニー交響楽団との共演を果たした。

◆受賞者紹介

テノールの宮里直樹は、1987年生まれ、東京都出身。

東京藝術大学を卒業し、同大学大学院音楽研究科修士課程オペラ専攻を修了後、ウィーン国立音楽大学オペラ科で学んだ。第23回リッカルド・ザンドナーイコンコルソ第2位など数々の受賞歴を誇り、すでに多くのオペラで主役を務めている。

今回は、ドニゼッティのオペラ「愛の妙薬」より「人知れぬ涙」、同じくオペラ「ランメルモールのルチア」より「わが先祖の墓よ」の2曲で、輝かしい声を披露した。

チェロの北村陽は、2004年生まれ、兵庫県出身。

9歳でオーケストラと初共演し、11歳でサントリーホール・デビュー。桐朋学園大学ソリスト・ディプロマ・コースで学び、現在はベルリン芸術大学で研鑽を積んでいる。2024年ジョルジュ・エネスク国際コンクール・チェロ部門優勝、同年のパブロ・カザルス国際賞第1位、2023年ヨハネス・ブラームス国際コンクール第1位の受賞歴を誇る逸材である。

プロコフィエフ晩年の大作、交響的協奏曲より第2楽章を鮮やかに弾き切った。

ヴァイオリンの金川真弓は、1994年生まれ、ドイツのフランクフルト出身。

4歳より日本でヴァイオリンを始め、ニューヨーク、ロサンゼルスを経て、ハンス・アイスラー音楽大学ベルリンで学ぶ。2018年にロン=ティボー国際音楽コンクール第2位、2019年にチャイコフスキー国際コンクール第4位、2024年にジョルジュ・エネスク国際コンクールで優勝し、現在はベルリンを拠点に国際的に活躍する。

今回は、コルンゴルトのヴァイオリン協奏曲より第2、第3楽章を演奏し、のびやかな美音で会場を沸かせた。

◆受賞者コメント

3人の受賞者はそれぞれ、出光音楽賞を受賞した喜びと今後の抱負を語ってくれた。

※宮里直樹

「自分が精一杯がんばってきた音楽人生をこのような賞で評価していただいて、心から嬉しく思います。

今後は、これまでに取り組んできた作曲家についてさらに深めてゆくのはもちろんですが、チャイコフスキーのオペラにも挑戦したい。また、オペラだけではなく、ドイツ歌曲やフランス歌曲なども歌ってみたいと思っています」

※北村陽

「憧れの先輩方が受賞されてきた賞なのでほんとうに光栄です。東日本大震災の際、地元・兵庫のスーパーキッズ・オーケストラの一員として被災地を訪れて演奏して、被災者の方に『あなたたちのおかげで、ようやく泣くことができた、ありがとう』と声をかけていただいたことがあります。音楽には氷のようになった心を溶かす力があると思います。

今、ヨーロッパでは戦争も起きています。悲しみを少しでも癒したり、平和の大切さを伝えられるような音楽家になりたいです」

※金川真弓

「このような賞をいただける日が来るとは思っていなかったので、ほんとうに嬉しいです。広く愛されている有名な曲だけではなく、ふだんあまり聴かれない曲や、現代の作曲家の曲も演奏して、弾く側と聴く側の世界を広げていきたいと思っています。

今は他の文化との分かち合いが少なくなりつつある時代ですが、人と人のつながりを深めていくような音楽家になりたいと思います」

◆選考委員コメント

また、出光音楽賞の選考委員を務める作曲家・池辺晋一郎、音楽評論家・石田一志の両氏は、今回の受賞者についてこう語る。

※池辺晋一郎

「宮里さんは抒情性と力強さの両方を持ったテノールです。往年のイタリアの名テノール、マリオ・デル・モナコを彷彿とさせます。

北村さんは単にチェロで音楽を奏でるだけではなく、音楽を通じたメッセージを感じさせる演奏を聴かせてくれました。音楽をやる意味、そしてチェロを通じてなにを言いたいのかが伝わってくる稀有な演奏家です。

金川さんは若いにもかかわらず、あれだけ落ち着いて貫禄のある演奏ができるのは驚くべきこと。音楽がきちんと自分のものとして身についています。

今年の受賞者は技術や音楽性を越えた、音楽の本質をとらえたすばらしい音楽家たちだと思いました」

※石田一志

「みなさんそれぞれに実力を十分に発揮されて、とても説得力のある演奏を聴くことができました。

テノールの宮里さんには高いデリカシーがありましたし、北村さんは1曲の中にたくさんの内容が詰めこまれたプロコフィエフを演奏してくれました。金川さんはコルンゴルトの華麗な世界とドラマチックな世界を表現してくれました。

3人とも表現の幅の大きな作品を堪能させてくれたと思います。受賞者のみなさんには、これからも作曲家が音楽に込めたメッセージを世界に向けて伝えていただきたいと思っています」

なお、今回の公演の模様は、2月28日(土)の『題名のない音楽会』(テレビ朝日系)で放映される。

<取材/文:飯尾洋一>

※番組情報:『題名のない音楽会
2026年2月28日(土)あさ10:00~、テレビ朝日系(※地域によって放送時間が異なります。詳細は公式HPまで)