【水野美紀インタビュー】天真爛漫な木村佳乃とバトルで…「“憎い”と言い聞かせた」
11月10日(土)よりスタートする土曜ナイトドラマ『あなたには渡さない』。
連城三紀彦氏の『隠れ菊』を原作に、平凡な専業主婦・上島通子(木村佳乃)が夫の裏切りからどん底に落とされ、そこから強く美しく、そして恐ろしく“変身”していくドラマだ。
不倫・離婚・仕事・家族…リアルな問題の数々を乗り越えていく通子を筆頭に、40代男女の濃厚なラブサスペンスが繰り広げられる。
◆水野美紀、不倫相手を奪う女社長に
そんな同作で、通子の前に突然現れ「ご主人をいただきにまいりました」と離婚届を突きつける女・矢萩多衣(やはぎ・たえ)を演じるのが、水野美紀。
2017年1月に『奪い愛、冬』での“怪演”が話題となった水野だが、『あなたには渡さない』でも再び男女の愛憎劇に挑むこととなった。
今回、初共演の木村佳乃と、木村の夫役である萩原聖人をめぐってバトルを繰り広げる水野に、作品の見どころや役柄、プライベートについて聞いた。
―同作に出演が決まったとき、台本を初めて読んだときの感想を教えてください―
「すごい大人のドラマだなあと。それもいやーな心理戦が続く大人のドラマ。苦みと渋みしかないなと思いました(笑)」
―徐々に多衣と通子が協力していく関係になっていくのも見どころかなと感じました―
「そうなんです。多衣と通子の関係性がすごく面白いです。敵が味方になっていくという感じも、すごく大人だなと。若い頃の恋愛とか友情ではこんな関係は生まれないと思います。ここまで人生経験をつんだ大人同士のやりとりだからこそ、敵・味方・いい・わるい、で割り切れないところで、人間同士が惹かれあうという部分が描かれています」
―若い人が見たらどう感じると思いますか?―
「見たら“なんでそうなるの?!”って分からないとこだらけだと思います(笑)」
―水野さんご自身は、多衣の気持ちに共感できますか?―
「いや、なかなか…。でも多衣は普通の人だなと思います。常識人であり、商売人。自分のやっていることは普通じゃないとか相手に迷惑をかけていると分かったうえで、計算で行動しているんです。
そんななかでも、商売人としてビジネスの部分の考え方が強くて、そういうのは私には新鮮でしかないです」
◆初共演・木村佳乃との“言葉”でのバトルを語る
多衣のライバルである通子を演じる木村佳乃とは、意外にも今回が初共演。そんな木村の印象は「バラエティで見たままの明るくて天真爛漫な人」だと語る。毎回“言葉”でのバトルシーンがあるというが…
―先日発表されたコメントで、明るい性格の木村佳乃さんとバトルするのは楽しみでもあり怖くもあるとおっしゃっていましたが、実際にやってみていかがでしたか?―
「こんなに憎めない人を憎むのって大変だなと思いました(笑)『どこかで憎いと思わないといけない』と一生懸命自分に言い聞かせて、割と大変な思いをして演じています」
―バトルシーンがこの作品の見どころのひとつにもなってくると思うのですが、撮影前に木村さんと打ち合わせはしましたか?―
「2人でシーンについて話すことはなく、監督と『どう撮りたいか』というところをすり合わせて進めていってます。結局あまり余計なことをせずに淡々とやり取りしているのがいちばん怖いということになりました。どのぐらい嫌味っぽさや敵対心を出していくか、逆にどのくらい隠すかを監督に指示してもらいながらやっています」
―昨年放送の『奪い愛、冬』では、夫が奪われるのを阻止する妻の役を演じられていました。今回はそれと正反対の役どころですが、演じてみていかがでしたか?―
「あの役こそ単純明快で分かりやすくて、演じるのは楽しかったですね。なんで今怒ってるか、なんでいまこんな行動に出るのかがハッキリしているので作りやすかったです。それに比べて今回はとにかく大人で複雑。いままで演じてきた役のなかでもトップクラスで難しくて、本当に複雑です(笑)」
―具体的にどの点に苦労されていますか?―
「どこまでが建前で、どこまでが本音で、これは相手をどうしようと思って投げている言葉なのか? と色々考えながら演技することですね。言葉には出していないけど裏で別に考えていることも多いので、ひとつのやりとりやシーンのなかに何を匂わせて、色々思ってるなかのどの表情を表に出すのかを探り探りやっています」
―生きていくうえでも感情をどの程度表に出そうとか、考えることがありますよね―
「普通は『相手に失礼がないように』建前をつくることがほとんどだと思うんです。でもドラマの中では(多衣は)むしろ嫌われるように言ってるんじゃないかと思うときもあるし、そもそも相手に好かれようと思っていないんじゃないかと思います」
―『あなたには渡さない』は40代の男女にフォーカスを当てている物語ですが、水野さんにとって40代は人生においてどういう時期になっていますか―
「40代で結婚して妊娠して子供を産んだので、プライベートの地盤固めをしている年になっています。仕事に対して気持ちの変化もあって、これから子供を育てあげるために仕事を頑張ろうって思うし、なるべく仕事も減らして子供といる時間を作ろうとか家族との時間を確保しようって考えるようになりました。
年に一回は旦那と休みを合わせて旅行に行くとか、保育園に預けている時間内で仕事を済ませられるようにするとか、そういう工夫をしています」
―最後に、視聴者の方にドラマの見どころなどメッセージをお願いします!―
「表面上穏やかに会話しているように見えて、実質は言葉のナイフで切り合っているような、そんなピリピリとした緊張感のあるバトルをお楽しみください」
<撮影:長谷英史、取材・文:佐藤菜月>
衣裳協力:
※番組情報:土曜ナイトドラマ『あなたには渡さない』
2018年11月10日スタート【毎週土曜】午後11:15~、テレビ朝日系24局