今井達也、メジャー電撃移籍の直前まで「正式オファー0」だった 独占密着で明かした、期限ギリギリの攻防
1月3日。メジャーリーグ「ヒューストン・アストロズ」と3年最大99億円の大型契約を結んだ今井達也(27歳)
【映像】「ワールドチャンピオンを目指して頑張りたい」とメジャーでの活躍を誓った今井達也
テレビ朝日のスポーツ番組『GET SPORTS』は、移籍決定までの舞台裏に独占密着。驚きの事実が明らかになった。
◆「ポスティングは僕からのお礼」西武への強い恩義
2025年、2年連続で開幕投手を務め、6月には松坂大輔を超える1試合17奪三振の球団新記録を達成した今井。10月のシーズン最終登板では、3年連続の2桁10勝に到達し、キャリア初の防御率1点台をマークした。
その直後、カメラの前で初めて語ったのは、メジャー挑戦への思い。
「海外FAじゃなくてポスティングという形で、球団(埼玉西武ライオンズ)に権利があるので、ちゃんと球団と話をしないといけないと思っています。『メジャーで投げているところを見たい』とか『アメリカで投げているのを応援してるよ』と言ってくれる選手もたくさんいる。周りがすごく後押ししてくれている状況なので、だったら行ってみようかなって」(今井)
メジャーへ移籍する方法は主に2つ。一定の一軍登録期間をクリアすることで得られる海外FA権と、所属する球団の承認が必要なポスティングシステム。
今井がポスティングを選んだ理由は、所属球団に支払われる譲渡金にある。
「ポスティングは球団に譲渡金という形でお金が入るので、お互いにメリットがあるようにはしたい。ドラフトで獲ってもらった恩もありますし、育ててもらいました。譲渡金は僕からのお礼みたいなものじゃないですか。その額は大きいに越したことはないとは思います」(今井)
今井にとって、譲渡金こそが育ててくれた西武への感謝の証だった。最近では、山本由伸がドジャースにポスティング移籍の際、オリックスに約72億円の譲渡金が支払われた例もある。
また、ポスティング移籍の交渉において欠かせないのが、代理人の存在だ。今井が契約しているスコット・ボラス氏は、かつて松坂大輔や吉田正尚らを担当した、アメリカでも名高い代理人の1人である。
「『良かったら契約どうですか?』みたいなことを3、4年前に言ってもらって、最初に声をかけてくれたのが今の代理人のボラスでした。そこからモチベーションが変わったというか、(メジャー挑戦へ)もっと頑張ってみようっていう気になりましたよね」(今井)
かねてから今井に着目していたボラスと契約したことが、メジャーを意識するきっかけとなっていた。
◆平行線で始まった交渉 容認までの1カ月
秋のチーム練習が始まった10月10日。早速、ポスティング移籍への第一歩が動き出した。
チーム編成のトップを担う広池浩司球団本部長と今井によるマンツーマンの話し合いがはじまり、30分後にはボラス社の日本人スタッフも合流。
ポスティング移籍に向けた初回の話し合いは、どんな内容になったのか。
「まだポスティングを使う・使わせられるという結果は出てないですけど、今年(メジャーに)行くのが自分としてはベストなんじゃないかなという話はしました。『うちとしては残ってもらいたい気持ちはすごくある』と広池さんに言ってもらって、これから球団として考えて結果を出したいということでした」(今井)
互いの想いが交錯し、この日の話し合いは平行線となった。
その後も、今井は代理人ボラス氏を通じて西武と交渉を重ね、その決断を待つ間、チームの投手陣と汗を流した。西武一筋9年、プロ入り後初めて、自らの行く末がわからぬままシーズンオフを過ごす。
初回の話し合いから1カ月後の11月10日。再び広池球団本部長とマンツーマンでの話し合いに臨んだ。開始から30分後、報道陣の前に立った今井はこう報告した。
「先ほど広池さんともお話しをして、広池さんご本人も本当に悩み抜いた末に、容認という決断をしていただけました。すごく感謝していますし、後はどれだけライオンズに恩を返せるかだと思います」(今井)
晴れてポスティングでのメジャー挑戦が決まった。移籍の承認を決断した広池球団本部長は次のように語る。
「あれだけの投手ですし、特にこの2年は数字的にも非常に貢献してくれたので、チームの強化を預かるものとしては難しい判断でした。『残ってほしい』というところからの話し合いで、チームや本人、ファンの思いを全部考えた上でそういう判断をしました」
◆「正式オファー0」のなか、ロサンゼルスへ
ここから、代理人ボラスを通じてメジャー球団からのオファーを待つことに。
11月23日には、最後のファン感謝祭に参加するため、西武の本拠地・ベルーナドームへ。「通い慣れた道。いつも通勤で通っている道を走りながら来て、寂しくなるな…」と噛みしめるように漏らした。
西武のユニフォームを着るのもこれが最後。「メジャー行っても頑張れ~!」というファンからの声援に、今井はこらえきれず涙を流した。
「背中を直接押していただいていると肌で感じられました。日本を離れても応援してくださる方がたくさんいることを忘れちゃいけないと思いました」(今井)
メジャー球団からのオファーを待ち続け、交渉期限が残り1週間となった12月27日。いよいよ、アメリカへ飛び立つ日がやってきた。
しかし、市場の動きは例年より遅く、ほかのFA選手も移籍が決まっていない状況だった。そのなかで今井に関心を持ち、ボラス社に接触してきた球団は10球団弱。下交渉で2~4球団に絞られてから今井が現地アメリカへ渡ることになっていた。
メジャーの中でも高い注目を集める今井は、移籍先を探す先発投手のパワーランキングで4位に入った。それでも当人は冷静だ。
「メディアが何を言おうと、嘘か本当かはわからない。自分で実際に見て感じて思ったことが自分の中で事実になるじゃないですか。僕はそれしか当てにはしていない。吉田正尚さんの時も、レッドソックスのスカウトが日本の試合を見に来ていなかったらしいんです。急にポンって1日で決まったらしいんですよ。村上宗隆選手もホワイトソックスに入団するとは誰1人予想していなかったじゃないですか。そういうこともあるんでね、メディアは気にしていないですね」
ロサンゼルスに到着し、交渉期限は残り6日。朝から休む間もなくメジャー球団との本格交渉に入る。
そして、日が暮れた夜7時。初めてボラス氏本人との打合せへ。3時間に及んだミーティングの内容は意外なものだった。
「意外と具体的な候補は上がっていないらしい。というのも、興味を持っている球団と正式なオファーはまったく別の話らしいです。もちろん僕の投球のメカニックについていろいろ話をしたいという話はちょくちょくはあるんですけど、それが実際に契約に至るかとなると別の話になってくる。正式にオファーがあるかどうかはまだわかっていないです」(今井)
正式なオファーはまだ届いていないという衝撃の事実。この時、交渉期限は残り6日を切ろうとしていた。今井は代理人ボラスの元へ通い、オファーが届くのを待ち続けていた。
◆期限当日の逆転劇、アストロズ入団の理由
そして年が明け、交渉期限当日の1月3日。ついにアストロズへの入団が正式に発表された。いかにして契約合意に至ったのか。
「期限2日か3日前くらいですかね。ボラスの通訳さんに『22時くらいからスコットとみんなで電話できますか?』って言われて、そこで(オファーの)内容を教えていただいた感じです。(ほかのオファーと見比べる時間は)そんなになかったです」(今井)
なぜ最終的にアストロズを選択したのか。そこには今井らしい理由があった。
「日本人があまり馴染みがないですし、ヒューストンっていう街も馴染みがなかったので、良いなと思って決めた感じですかね」(今井)
まさに交渉期限ギリギリの移籍決定。アストロズを選んだのは、あえて日本人選手のいない環境に身を置くためだった。
西武との話し合いからここに至るまで、実に3カ月。入団会見の場では、長く苦しかったその胸中を語った。
「本当にメジャーでプレーできるのか、契約できるまで正直不安もすごくあって、寝られない日もたくさんありました。今回ポスティングを承認してくださった西武ライオンズ、シーズン中どんなときも味方でいてくれた家族のみんな、交渉にあたってくれたボラス社のスコットをはじめ、みなさんに感謝しています。そういう人たちのために、ワールドチャンピオンを目指して頑張りたいと思っています」
今回、今井がアストロズと結んだ契約は、出来高を含め3年最大99億円。古巣・西武におよそ16億円の譲渡金が支払われることとなった。
本拠地のグラウンドに足を運んだ今井は、「マウンドに実際に立ってみて、投げやすそう」と手応えを口にしている。
アストロズの好きなポイントを問われると、「監督やオーナーやGMが勝ちに対して貪欲。GMも僕の負けず嫌いなところがすごく好きと言ってくれたので、改めて良いチームだなと思いました」と笑顔で語った。
今井達也、メジャー挑戦記。その続きに注目だ。
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※番組情報:『GET SPORTS』
毎週日曜 深夜1:55より放送中、テレビ朝日系(※一部地域を除く)













