川崎宗則の一言で「自分の意志が固まった」柳田悠岐が実践、メジャー発の“ある理論”
昨年2017年、メジャーリーグで話題となった “フライボール理論”。
きっかけは、データ計測システムの導入により起こった“データ革命”だ。
これにより、各打者の成績や特徴がデータ化され、守備におけるシフトは大幅に進化。
打者に対して極端な守備シフトを敷くケースが増え、ゴロのボールがアウトになるケースが増えた。そこで提唱され始めたのが“フライボール理論”だ。
ゴロを打つより、フライで外野まで飛ばした方がヒット、さらにはホームランを狙えるのではないかという理論である。
ヒューストン・アストロズは昨季、チーム全体でこの理論を実践。ホームランを量産し、世界一に輝いたことで、一躍脚光を浴びることになった。
◆川崎宗則の一言で「完璧に自分の意志が固まった」
この“フライボール理論”を日本球界でいち早く実践しているのが、ソフトバンクの柳田悠岐だ。
きっかけは、昨年2017年。ソフトバンクの本拠地、福岡ヤフオクドームで人口芝の張り替えが行われた時のことだ。
この改修によって人工芝が以前よりも長くなった事で、これまで内野の間を抜けていた当たりは失速し、抜けにくくなっていた。
2017年4月、柳田がその変化に戸惑っていた時に、アドバイスを授けたのが川﨑宗則だった。
「フライを打て」(川崎)
この一言で「完璧に自分の意志が固まった」という柳田は、シーズン中にも関わらず打撃スタイルの変更を決意した。
◆意識したのは「ボールを叩く場所」
最初は、ポイントが合わずに凡フライになることもあって苦労したというのだが、その苦労の裏には意外な事実があった。
2012年から16年までのプロ野球全打者のフライ割合の平均に対して、柳田のフライ割合はいずれの年も平均値以下。
豪快なホームランのイメージが強い柳田だが、元々はフライの少ないバッターだったのだ。
そんな柳田がフライを打つために意識し始めたのが「ボールを叩く場所」。
以前は漠然とボールの真ん中を狙っていたというが、“フライボール理論”に取り組んで以降、バッターから見てボールの下、内側の部分だけを叩くイメージに変わった。(写真下のシール部分)
柳田は、練習を繰り返し、その感覚を刷り込むことで、“フライボール理論”を自分のものにしていった。
結果、2016年、36.6%だったフライ割合は、51.8%へ急上昇し、NPB平均も上回るフライボールヒッターへと変貌。
2017年4月終了時点で、打率2割7分8厘、ホームラン4本と低迷していた打撃成績を、最終的に打率3割1分、ホームラン31本に伸ばした。
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ソフトバンクの藤本博史一軍打撃コーチは、柳田以外にもチームで“フライボール理論”を実践している選手は多いと話す。
「上林誠知もそういう形になってきていますね。中村晃も、今年から飛距離を意識してそういう形のバッティングになってきているんじゃないかなと思います」
10月27日(土)からは、いよいよソフトバンクと広島による日本シリーズが開幕する。
両チームによる日本シリーズは初で、柳田にとっては幼い頃ファンだった地元広島のチームとの対戦となる。
セ・リーグ王者の広島を相手に、柳田をはじめ、上林、中村は“フライボール理論”を実践して強さを見せつけるのか。頂上決戦に注目したい。<制作:テレビ朝日野球>
※放送情報:「SMBC日本シリーズ2018」テレビ朝日系列にて放送
・第1戦 広島vsソフトバンク @マツダスタジアム
10月27日(土)よる6時30分~ ゲスト解説:松坂大輔