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五輪選手村で提供NGだった“船橋のスズキ” 漁師の改革で提供可能に

テニスの現役を退いてから、“応援”することを生きがいにしている松岡修造。

現在は2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックに向けて頑張る人たちを、「松岡修造の2020みんなできる宣言」と題して全国各地を駆け巡って応援している。

修造がこの日訪れたのは、千葉・船橋市の漁港。東京オリンピック・パラリンピックの選手村に提供される魚を食べられると聞き、やって来た。

そこで待っていたのは、船橋漁港で漁を営む大野和彦さん。

©TOKYO応援宣言

実は、船橋市はスズキの漁獲量が日本一。修造は、早速その名産をいただくことに。

©TOKYO応援宣言

「最も『スズキ』というものを味わっています。こんなに弾力が有るのかと。甘さと、モチモチ感も」(修造)

このモチモチ感が際立つ船橋のスズキ、実はそこには特別な〆方が大きく関係していた。

◆「東京五輪なのに魚が出せない」ピンチ乗り切った“改革”

大野さんが「お前はまだ生きている!これがキャッチコピーなんですよ」と語る特別なスズキの〆方。その名も「瞬〆」だ。

©TOKYO応援宣言

活魚で水揚げしたスズキから「神経」を押し出すことで、鮮度とうま味を長く保つことができ、美味しく食べられる期間は通常より3倍ほど長くなるという。

「この魚の良さを世界に発信しよう。江戸前の魚にオリンピックへ連れて行ってもらおうと思った」と大野さんは笑顔で話すが、自慢のスズキは今年になるまで選手村での提供が認められていなかった。

それはオリンピックの「環境への配慮」の基準を達していなかったからだ。

ロンドンオリンピック以降、自然環境の保全を考慮し、乱獲などにより資源管理ができていない食材は、選手村での提供が認められなくなった。漁獲量などについて明確な取り決めがなかったという船橋のスズキ漁は、まさにその対象だったのだ。

「このままでは、東京オリンピックなのに江戸前の魚が出せない」(大野さん)

危機感を覚えた大野さんは“ある挑戦”を始める。

©TOKYO応援宣言

それが2年前から地元漁師らと組んで進める漁業改革だ。産卵期にはスズキを取らず、20cm以下の幼魚は放流し、環境の保全を推し進めた。

そして、その取り組みを動画で世界に発信。その甲斐もあって、ついに今年、選手村でスズキを提供できるようになったのだ。

©TOKYO応援宣言

◆「量より質」を求める漁業へ

また、大野さんは日本と海外の「消費者意識」の違いを指摘する。

「マグロにしてもウナギにしても、絶滅危惧の恐れがあると言われています。私たちは“大変!今のうち食べておこう”と思いがちですよね。でも、例えばフランスのマダムたちは“だったら我が家では、しばらく控えましょう”となるんです」(大野さん)

実際、海外の大手スーパーでは資源量に応じて魚のラベルを色分けしているところもあるという。

だからこそ、大野さんは「資源を管理する=漁獲を規制することですから、量より質を求めていかないと、この漁業は成り立っていかない」と話す。

まさに、その質にこだわるにあたって、最大の武器となったのが「瞬〆」だった。

「江戸前をEDOMAEに変える!」――大野さんは来る2020年に向けて、力強く宣言した。<制作:TOKYO応援宣言>

©TOKYO応援宣言

※番組情報:『TOKYO応援宣言
毎週日曜あさ『サンデーLIVE!!』(午前5:50~)内で放送、「松岡修造の2020みんなできる宣言」も好評放送中、テレビ朝日系