烏丸せつこ、古舘伊知郎を激怒させた事件の真相「人間だから合う合わないある」
日本人離れした抜群のプロポーションで6代目クラリオンガールとしてデビューを飾ってから39年。グラマー女優から演技派女優へ、再び注目を集めている烏丸せつこさん。
2013年、NHKスペシャル『未解決事件』では「尼崎殺人死体遺棄事件」の再現ドラマで主犯格とされる女を鬼気迫る演技で体現。一方、笑福亭鶴瓶さんが司会の番組『チマタの噺』(テレビ東京系)では超過激なトークを展開。“暴走女優”と称されることに…。
◆「バラエティー番組に出るのは(笑福亭)鶴瓶ちゃんの番組だけ」
―『チマタの噺』での鶴瓶さんと烏丸さん、過激でしたね。女優さんの整形話など実名を出しちゃったり…―
「鶴瓶ちゃんはよく知ってるからね。若いときから私がおばさん気質だったことも知ってるし。『チマタの噺』は昔から見ていて、すごい好きな番組だったの。私は立て続けに2回呼ばれたのよ。でも、もう2回目で飽きちゃったから、『鶴瓶ちゃん、もうやめよう』って言ったの」
―“暴走女優”って紹介されていましたね―
「何でもかんでも言っちゃうから、ピピピピピピピピッて消されちゃった(笑)」
―結構話題になりましたので、バラエティー番組のオファーが多くなったのでは?―
「テレビに出るのはイヤ。絶対出ない。出るのは鶴瓶ちゃんの番組だけ。だって、私がそんなところでうまくしゃべれると思う? 無理(笑)。この前バラエティー番組で編集されてえらい目にあったし…」
◆古舘伊知郎を激怒させた事件の真相は…
かつて古舘伊知郎さんが司会をつとめていたトーク番組にゲスト出演した際、素っ気ない態度で古舘さんを激怒させてしまったことがある烏丸さん。トーク番組が苦手で、しゃべろうとしても言葉が出てこなかったのだという。
そのことをきっかけに出演映画のPRでもバラエティー番組に出ることをやめたという烏丸さん。今年6月にバラエティー番組で古舘さんを怒らせたエピソードが紹介され、謝罪したのだが、「言い訳だ!」とたたかれ炎上騒動に。
「今でも嫌なんだよね。今はこうやってしゃべれるようになったけど、絶対しゃべらなかったから。しゃべろうとしても言葉が出てこなかったんだよね。なんかある意味、病んでたんだと思う。言葉が出てこなかった。信じてもらえないかもしれないけど、本当にそうだったの。あの時期は結構つらかったし、悲しかった。だから、結婚して、これでもうやめられると思ったらホッとした」
―謝罪したのに、かなりたたかれてしまいましたが―
「編集って怖いよね。私は古舘さんの番組に出たときにはしゃべれなくてダメだったんだけど、久米宏さんの番組では何とかうまくしゃべることができたのね。古舘さんとはうまくいかなかった。明石家さんまちゃんとはオーケーで、桂三枝さん(現・桂文枝)とはダメ。
人間なんだから、合うとか合わないというのもあるじゃない。こういうのを最初にはっきり出してくれと言ったのに、それを全部カットされちゃった。古舘さんのところだけを流されちゃったもんだからえらい目にあっちゃって懲りた。やっぱりバラエティーはダメ」
―面白いのにもったいないですね―
「いやいや、苦手。鶴瓶ちゃん以外は無理だね。だいたいにして生番組だとピピピピッて消せないから危険だしね(笑)」
◆肉体派女優から演技派女優へと言われて
6日(土)に公開された映画『教誨師(きょうかいし)』で女性死刑囚を演じている烏丸さん。
2013年に放送されたNHKスペシャル『未解決事件』の「尼崎殺人死体遺棄事件」の再現ドラマでの主犯格役も圧巻だった。特殊メイクに頼ることなく、深いシワ描き、カツラをつけて声色まで変えて熱演。鬼気迫る演技が話題になり、「肉体派女優が演技派に」と絶賛されたが…。
「演技派とか言われるのは好きじゃない。演技派じゃないもん。昔は肉体派なんて言われてましたけど、どうしてみんなそうやってレッテルを貼りたがるのかなあって思っていたのよね。肉体派っていうのは、肉体しかないからでしょう?」
―そうではなくて、完璧なプロポーションでしたし、あの時代があるから、残虐な女役のインパクトが増していると思いますが―
「そういう風にしたかったんだな。あのまま、今でも何とか化けて外見を取り繕ってやろうと思えばできるわけじゃないですか、かたくなに。でも、私はとにかく壊したかった。
だから、あえて『尼崎殺人死体遺棄事件』もやることにしたんだけど、事務所からは『えーっ?!これやばくない?リスク大きすぎる』とか言われましたよ。でも、すごいそういうのは面白がってやる(笑)」
―あれは本当に鳥肌が立ちました―
「ひどい女だよね。テレビだけど、あの役は本当にやりたかったんだよね。やっていて面白かったですよ。でも、基本的にはテレビはあまり好きじゃない。あのマルチな撮り方がイヤなのよ。カメラがこうやって狙っているから、あなたはここでこう動いて歩いて来て、このセリフをここで言ってとか…それが性に合わなくてね」
―お昼の連続ドラマにも出られていましたが―
「3シリーズ続いたんだけど、もう4回目はやめちゃった。同じような展開が続くじゃない。定番で。それを楽しいという人もいるでしょうけど、私なんかはダメ。2シリーズ目から勘弁してくれって感じでしたね」
―やっぱり映画の方が肌に合うんでしょうね―
「そうだね。でも、今映画なんて言っていたらまずいよね。テレビと舞台の時代に映画が好きなんて言う人は少ないわって(笑)」
―テレビにはスケールが大きすぎるのかもしれないですね―
「でも、テレビに出てないと、『しばらく見ないうちに老けた。何?このおばさんになった烏丸せつこ』って言われるのがオチじゃない? まぁ、『勝手に言っておけよ』って感じなんだけどね(笑)」
―今年はすでに3本映画が公開されていますし、今月もう1本公開待機作がありますね―
「結構、インパクトの強い役をやらせてもらってるわね。『祈りの幕が下りる時』の仙台のスナックのおばさんも面白かった。リアリティーあるでしょう? 40代から70代まで演じたから、結構老けてね。私はああいうのを作るのが好きなんだよね。面白いじゃない(笑)」
◆烏丸せつこのヌード以上に魅力的な衣装はない!
かつて抜群のプロポーションをスクリーンやグラビアで惜しげなく披露し、絶大な人気を誇った烏丸さん。今やグラドルは山ほどいるが、彼女を初めて目にした時の衝撃には遠く及ばない。それほど、スリムなボディーに大きなバスト、高価な桃のようなヒップ、長い手足…日本人ばなれしたプロポーションはインパクトが強かった。
ファッション史研究の川本恵子さんが当時の烏丸さんについて「裸が最高、ファッション不要。肉体そのものが完璧で、それだけで圧倒的な存在感があるから、ファッションなんて必要ない。あのヌード以上に魅力的な衣装なんてない」と評したのは有名な話。
―当時はポスターも貼る端から盗まれて話題になりました―
「自分ではおっぱいがでかすぎてバランスが悪いと思っていたけどね。でも足は長いわ(笑)。あなたたち嫌ってたでしょう? 女にすごい嫌われていたもん(笑)。超生意気だったしね。あの頃から変わっていたじゃない? すごい嫌われていた」
―嫌いとかじゃなくてとにかくすごいプロポーションだなって思って見てました。ラジオのDJ(サウンドストリート)もまた雰囲気が全然違って面白かったですし―
「テレビでは言葉が出てこなかったんだけど、ラジオは大丈夫だったのよね。ラジオをやってからすごい女性のファンが増えたわけ。ゲストも結構いろんな人が出て好き放題やっていたしね。ラジオをやったときに初めて自分らしさが出せたっていう感じだったわけ。この人テレビでは突っ張ってしゃべらないけど、めちゃめちゃ面白いじゃんって(笑)」
―この業界にもファンが多いですね、クドカン(宮藤官九郎)さんとか―
「クドカンさんが監督した映画『少年メリケンサック』(09年)と『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』(16年)に出てるの。いろいろ塗りたくって誰が誰だかわかんない状態なんだけど、歌も歌ってるんですよ。すごいメイクをしているからわからない(笑)。私の場合はテレビはないみたいだけど、映画には出られるみたい。『もっと使えよ、私を、映画に』ってね(笑)」
◇
現在もスリムなプロポーションの烏丸さん。さぞかし色々なことをやっていると思いきや、ジムとは無縁、美容院に行くのもエステに行くのもイヤという出無精な性格だそう。
「とにかく無趣味でインドア派だから、ずっと家にいる。主人と2人ずっと話をしているんだけど、話が尽きない。それですごく発散できる」
「結婚は良いわよ」と話す笑顔に幸せオーラがあふれ出す。今月20日には主人公の母親役を演じている映画『オボの声』が公開。烏丸さんには、やっぱりスクリーンが良く似合う。(津島令子)
※『オボの声』10月20日(土)より渋谷ユーロスペースほか全国順次公開。
第1回松田優作賞優秀賞を獲得したオリジナル脚本を映画化。
それを聞いたものは命を落とすという“オボの声”のうわさが広まる田舎町を舞台に、元プロボクサーの武井秀太が、人殺しとうわさされる寡黙な男と出会い、自身の“心の声”に気付いていくさまを描く。
脚本・監督:齋藤孝 出演:結城貴史、菅田俊、水野美紀、石倉三郎、烏丸せつこ