冒頭10分で“絶望”へ。緊迫に包まれた極上サスペンス『誘拐法廷~セブンデイズ~』
10月7日(日)に放送される松嶋菜々子主演のドラマスペシャル『誘拐法廷~セブンデイズ~』。
本作は、2007年に公開された大ヒット韓国映画『セブンデイズ』の日本版ドラマだ。
松嶋菜々子、そして、丸山隆平(関ジャニ∞)、杉本哲太、八嶋智人、風吹ジュン、飯豊まりえ、でんでん、柄本時生、柾木玲弥、伊武雅刀ら豪華キャストが集結しドラマ化が実現した。
◆冒頭10分で“絶望”へ
無数の“どんでん返し”が張り巡らされた「7日間のノンストップサスペンス」である本作。物語は、冒頭10分でめまぐるしく展開する。
本作の主人公・天吹芽依子(松嶋菜々子)は、メディアにも取り上げられるほど敏腕な女性弁護士。夫の相澤吾郎(杉本哲太)とは離婚協議中で、9歳の最愛の娘・真衣(高丸えみり)と2人で暮らしている。
仕事をバリバリこなし、仲間にも厚く信頼され、忙しい日々でも娘とのコミュニケーションを何より大切にする芽依子。
彼女が強い意志のもと保っているそんな“幸せ”な日々、そして、その軸がもろくも崩れていく様が、冒頭10分のあいだに静かな緊迫感をもって一気に描かれていく。
◆ラストまで解かれない謎
冒頭10分で芽依子の身に起こる悲劇。それは、一人娘の真衣が誘拐されるというものだ。
“誘拐”といえばサスペンスではよく見られる展開だが、本作はその後に誘拐犯から出される要求が非常に独特である。
―「殺人罪で起訴された限りなくクロだと思われる被告人・国光瑛二(柄本時生)を弁護し、無罪を勝ち取れ」―
国光は、凶器などの決定的証拠はないものの、現段階では限りなく有罪だと思われる人物。しかも、裁判の結審まで残された時間は“たった7日間”しかない。
優秀な芽依子にとっても厳しい状況であることは明白だが、娘を誘拐され、その命を握られている以上、彼女にこの要求を拒否することはできない。タイムリミット7日間という状況のなか、絶望の淵から芽依子は「国光の無罪判決」に向け動き出す。
国光は、殺人を犯したのか? ほかに真犯人がいるのか? そして、芽依子の娘を誘拐した人間は誰なのか?
いくつかの謎が、物語のラストまで明かされないまま続いていく本作。強いエンターテイメント性に魅せられるとともに、最後の謎が明かされたとき、その“意外さ”と“納得感”が不思議と混在し、またあまりの“切なさ”に心が大きく揺さぶられることになるだろう。
◆物語が加速する「駐車場」シーン
本作で“白眉”ともいえる展開は、物語中盤に訪れる。
それまで誘拐犯とは電話でしか話していなかった芽依子が、初めてその人物と“直接”コミュニケーションをとることになる「駐車場のシーン」だ。
直接ではありながらも“見えない”敵と立ち向かう恐怖、絶頂を迎える緊迫感…。
その後に芽依子=松嶋菜々子は、観ているほうも疲れを覚えるほど長距離に駐車場を走り抜けていく。その走りと同時に、まさに物語も大きく加速していくのだ。
さらに、裁判で芽依子とタッグを組む弁護士・宇津井秀樹(丸山隆平)も、この直後にある大きな決意を語る。
それまでの少しひょうひょうとした姿勢とは一変した表情を見せながら言葉を発する宇津井、それを受け止める芽依子、そして、バックで流れるエモーショナルな劇伴…。
過ぎ去った後に“高揚感”すら覚える名シーンだ。
◆松嶋菜々子、“ボロボロ”になる体当たりの連続
松嶋菜々子が本作で見せる“体当たり”シーンは、そこだけではない。
宇津井(丸山)から「あんたボロボロだよ」と劇中に言われる通り、娘のために何度も猛ダッシュを繰り返し、ときにズブ濡れになり、炎に巻かれることにもなる。
実際の火を使って撮影したというこの“炎に巻かれる”シーンは、手に汗握らずにはいられない。同シーンで拘束されながら松嶋が発する悲鳴は、芝居なのか、実際に出てしまった声なのか…。それすら分からなくなるほどの迫力だ。
―「あの子のためなら、私はどんなことだって耐えられる」―
そう娘への愛を強く語る芽依子の言動に、これでもかと説得力をもたせる松嶋菜々子の体を張った姿。必見だ。
娘を奪還すべく、弁護士の倫理、そして法律にも抵触しかねないギリギリの線で奔走していく芽依子。
そんな彼女とともに、観ている側も次々と意表をつかれ追い込まれていく展開が続いていった最後、芽依子はある一言を発する。
思いもよらぬラストのなか、芽依子がひとりの人物に伝えた言葉。芽依子はこれを、どんな気持ちで言ったのか…。ドラマが終わった後も、そこを考えずにはいられないだろう。
※番組情報:ドラマスペシャル『誘拐法廷~セブンデイズ~』
2018年10月7日(日)午後9:00~午後11:09放送、テレビ朝日系24局