通常の倍の費用で建てられた昭和4年の銭湯とは? 一度は訪れたい「江戸東京たてもの園」
東京都小金井市の都立小金井公園内にある「江戸東京たてもの園」は、失われてゆく江戸・東京の歴史的な建物を移築・復元し展示する野外博物館だ。
訪れる人は、江戸、そして明治~昭和中期の古き良き東京に思いをはせる。
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世界屈指の巨大都市・東京の知られざる魅力を発見し、暮らしに役立つ最新情報を届けるテレビ朝日の番組『東京サイト』(毎週月~金、午後2時~)では、4月24日~28日にわたってこの「江戸東京たてもの園」の魅力やお勧めスポットが紹介された。
その一部を、本記事でも紹介していこう。
◆「子宝湯」
江戸東京たてもの園の「子宝湯」は、1929(昭和4)年に足立区千住元町に建てられた銭湯。約2万円で銭湯が建つ時代に、約4万円かけたとされている。
唐破風には見事な彫刻が施され、脱衣場は折上げ格天井(ごうてんじょう)で豪華な造り。
そして湯場には、銭湯絵師・中島盛夫の富士山のペンキ絵が。
さらに、タイル絵師・章仙によるタイル絵もあり、男湯場には“那須与一”と“五条大橋の牛若丸と弁慶”、女湯場には、母親と入る子ども向けに“すずめのお宿”と“さるかに合戦”が描かれている。
これらの“銭湯アート”だけでも、ぜひ見に行きたいものだ。
◆「常盤台写真場」
常盤台写真場は、1937(昭和12)年に板橋区常盤台に建てられた写真スタジオ兼住宅。
水平線と垂直線のコントラストを基調としたモダンな外観は、戦前の最新デザインだ。建物内部はフローリングで明るく、夏季を涼しく過ごすため、南から北へ風を通す工夫も。
また子供室は机が造りつけられており、並んで勉強できる。さらに2階は写真スタジオになっていて、北側の大きな窓と天窓から安定した光が得られるようになっている。
◆「川野商店」
1926(大正15)年に江戸川区南小岩に建てられた和傘問屋兼住宅「川野商店」。
江戸の商家の伝統を受け継ぐ軒の深い出し桁造りが建物の裏側にまで施され、重層的な棟の瓦や肉厚な影盛をした鬼瓦などにより、建物外観は堂々とした風格だ。
一方内部は、1930(昭和5)年ごろの店内の様子を再現していて、当時はまだ珍しかった電話ボックスも…。
柱の少ない大正末期の建築で、奥の居住部分も見渡せるようになっている。
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この他にも、さまざまな歴史的建物が“展示”されている江戸東京たてもの園。東京で暮らすならば、一度は訪れてみたい場所だ。
※江戸東京たてもの園
住所:東京都小金井市桜町3‐7‐1(都立小金井公園内)
開園時間:午前9時30分~午後5時30分(10~3月は午後4時30分まで ※入園は閉園30分前まで)
休園日:月曜(祝日の場合は翌日)、年末年始 ※5月1日は開園
観覧料:一般400円、65歳以上200円
※番組情報 『東京サイト』
毎週月曜日~金曜日午後2時から放送、テレビ朝日