宇賀なつみアナ、感動。111年続く老舗が期間限定販売する“伝統の栗きんとん”
いま知っておきたい話題や気になるニュースをお届けする朝の情報番組『モーニングショー』では、月~金の日替わりコーナーが放送されています。
水曜日は、宇賀なつみアナウンサーが、伝統守り、次の世代へ引き継ぐべく奮闘する輝く女性から人生を素敵に過ごす秘訣などに密着する名物コーナー「継ぐ女神」をお届け。
9月12日(水)の放送では、岐阜・中津川市で111年続く老舗和菓子店「松月堂(しょうげつどう)」の3代目女将・吉村和子(よしむら・かずこ)さん(68)に、宇賀アナが迫りました。
「栗きんとん」1539円(6個入り 税込み)
◆おせち料理のものとは違う「中津川の栗きんとん」とは?
松月堂の看板商品が、これから旬を迎える秋の味覚“栗”を使った「栗きんとん」。中津川市というのは、昔から栗の産地として有名なのだそうです。栗きんとんと聞くと、おせち料理に入っている「水と砂糖を加えて煮詰めた餡(あん)」を連想する方が多いかと思いますが、中津川発祥のものはそれとは全く違います。「蒸した栗を丁寧にすりつぶして作る」のだそうです。1個につき栗3つ分が贅沢に使われているそうで、「栗そのものを食べているような満足感が得られる」といいます。
中津川の栗きんとんの誕生は明治時代だといいます。食材の保存技術の進んだ現代では1年中作ることも可能ですが、松月堂では季節感を重視し、あえて「9月~翌年2月末まで」の期間限定販売にしているそうです。
◆人間国宝の陶芸家が欲しがった「信楽焼の壺」の価値は?
和子さんの案内で吉村家へお邪魔した宇賀アナを出迎えてくださったのは、夫で3代目店主の秀仁さん(69)。秀仁さんが見せてくださった家宝は、「30年前に店の傘立て用に買った」という大きな信楽焼の壺です。日用品として購入した品がなぜ家宝なのかといえば、「以前に来店した人間国宝の陶芸家から『この壺と、自分の作品を交換して欲しい』と言われたから」なんだとか。その申し出は断った秀仁さんでしたが、「以来、壺は床の間に移して大事に飾っている」そうです。
秀仁さんはこの壺を、骨董店で「5万円」で買ったといいます。しかし先ほどの出来事があったので、今では「200万円位するのでは?」と思っているそうです。けれども和子さんの見立てはかなりシビアで「5000円」。果たしてどちらが正解なのでしょうか? 番組がお呼びしたプロ鑑定士の値付けは…購入価格と同じ「5万円」というもの。人間国宝の陶芸家は、「描かれている模様が個人的に気に入って、欲しがったのではないか?」とのことでした。この結果に、「あげればよかったのにね」と和子さんは笑いながらおっしゃいました。
◆今も伝統を守って製造されている「中津川の栗きんとん」
宇賀アナは、松月堂の仕事場へ特別に入れていただきました。伝統の栗きんとんに使われているのは、地元・中津川産と熊本産の栗。作業はこれを蒸し上げるところから始まります。大粒のものを厳選し、状態を見極めたうえで、最高の状態になるよう蒸すのだとか。通常は1時間程度で蒸し上がりますが、今年の栗は乾燥しているため、蒸し時間を20分ほど増やしているそうです。蒸したてのものを試食させていただいた宇賀アナいわく「しっとりしていて柔らかく、このままでも十分美味しい!」。
蒸し上がった栗は丁寧に裏ごしした後、絶妙な柔らかさになるようしっかり練っていきます。練り時間は、その年の栗の出来によって異なるそうです。水分が多く含まれている年だと時間がかかるそうですが、今年は乾燥しているため2時間程度で仕上がるんだとか。栗と砂糖のみで作られる、中津川の栗きんとん。秀仁さんは栗の水分量を見極めながら、しっとりとした舌触りになるよう練っていきます。
練り作業を終えた栗きんとんは1個1個、手作業で茶巾(ちゃきん)絞りにしていきます。繊細さを要求されるこの作業は、機械にはできないのだとか。宇賀アナもチャレンジさせていただきましたが、真ん中部分がへこんでしまい、きれいな形にはなりません。和子さんの採点は「20点」と辛いものでした。
茶巾絞りが終わったら、伝統の栗きんとんの完成です。熟練の職人が生み出したそれは、栗の旨味と香りが口の中一杯にひろがる絶品! 宇賀アナも「味覚で感じる秋」に感動している様子でした。
◆家業より松月堂を選んでくれた夫と店を建て直した吉村和子さん
「栗苞(くりづつみ)」1706円(6個入り 税込み)
伝統ある松月堂の次女として生まれた和子さん。結婚を機に長女が家を出てしまったため、店は和子さんが継ぐことになりました。それを後押ししてくれたのは、「自分が婿に入って一緒にやるから」という秀仁さんの言葉だったといいます。秀仁さんは大繁盛していた貸衣装店の長男だったのですが、そちらを継ぐ道を捨てて松月堂に来てくれたのです。
和子さんだけでなく、伝統の和菓子作りにも魅力を感じていたという秀仁さんは、親の猛反対を押し切って婿入りして職人に転身。しかし店は、駅前再開発によって人の流れが変わり、徐々に経営が苦しくなっていったといいます。しかし和子さんはあくまでも前向きで、苦境にもめげませんでした。「お客様が来ないなら、外へ売りに出ればいい」と「百貨店での販売」に乗り出したところ、これが大成功! 東京のデパートなどに置いてもらった自慢の栗きんとんは、珍しさも手伝って、製造が追いつかないほどの人気を呼んだといいます。
どこまでも前向きな和子さんは、百貨店での成功だけでは満足しませんでした。ヒットを機に、従来からあったお菓子を全て「名物の栗を入れたもの」にリニューアルさせたのです。その代表格が、栗きんとんに次ぐ人気商品になった、その名も「栗苞(くりづつみ)」。栗きんとんをモッチリ食感の本葛(ほんくず)で包んだもので、なんと「年間40万個を売り上げている」んだとか! 外側の葛と合うようにと、中身の栗きんとんは練り方や砂糖の量を微妙に調整しているそうです。
◆ピンチの時こそ逆転の発想を! そうすればピンチは大きなチャンスです
今回、和子さんへの取材を通して宇賀アナの心に残った「女神の一言」は、「ピンチの時こそ逆転の発想を! そうすればピンチは大きなチャンスです」。駅前再開発の影響で客足が遠のきはじめた時、和子さんはそれを「良いチャンスだ」と前向きに捉え、百貨店に新たな販路を求めました。そのおかげで全国の方々に中津川の栗きんとんを知っていただけたわけです。このように様々なアイデアで店を支えてくれる和子さんのことを、秀仁さんは「頼もしい」と思い、感謝しているそうです。
※松月堂(しょうげつどう)
住所/岐阜県中津川市太田町2-5-29
営業時間/8:30~18:30
定休日/元日のみ
紹介した商品は、小田急百貨店新宿店、東武百貨店池袋店、松屋銀座、梅田阪急本店などのデパートでも取り扱っています。詳しくは「松月堂」で検索してご確認ください。