テレ朝POST

次のエンタメを先回りするメディア
menu

松任谷由実「キャリアの最高傑作」 AIで挑んだ“第3のユーミン”の裏側「誰もやってないことをやるべき」

今さら人に聞けないような“音楽の基本”から、制作の裏側や専門テクニックといった“マニアックな知識”までを掘り下げる『EIGHT-JAM』。

11月2日(日)に放送された同番組では、松任谷由実がついにスタジオ初登場をはたした。

前回のインタビュー取材から約3年、そして約5年ぶりに40作目となるオリジナルアルバムをリリースする松任谷由実。

じつはこのアルバム、AIを駆使して全くこれまでに無かった新しい方法で作られた挑戦的な一枚。荒井由実時代から現在までの音声記録を基に、“第3のユーミンの声”を生成。名義は旧姓の「Yumi AraI」となっている。

数々の名曲を生み出してきた松任谷由実をもってして「最高傑作」と言わしめたアルバムは、いったいどのように生まれたのか? スタジオに本人が登場し、その制作秘話について語った。

さらに夫でありプロデューサーの松任谷正隆にもインタビューを敢行。AIを取り入れたきっかけや制作工程、苦労話など様々な裏話が明かされた。

きっかけは3年前。スタッフが古い松任谷由実のマルチテープを見つけた際、偶然にも東京大学のAI研究チームから「昔の声を再現できる」との提案があった。

しかし、松任谷正隆は「想像してたのとだいぶ違った。結構がっかりした」と振り返る。

当時は頓挫してしまったものの「リベンジをしたい」と考えていた松任谷正隆は、今回のアルバム制作時に「Synthesizer V」というソフトと出会う。音符と歌詞を入力して歌声を合成できるこのソフトを試してみると、「3年、4年のAIの進歩が異常すぎるぐらい異常だった。そこには本当に荒井由実があった」と、その再現度の高さに驚かされたという。

AIによって作られた“第3のユーミンの声”は、荒井由実時代と松任谷由実時代、50年間のボーカルデータを読み込ませ、歌詞と音符を打ち込み、細かいニュアンスを調整して生まれたもの。

ただしその作業は「途中で投げ出したくなった」というほど過酷だった。歌詞を打ち込んだだけではその独特のニュアンスが出せず、「ユーミンボーカルREC」→「ボーカルをMIDIデータ化」→「AIに歌唱させる」→「AIと生歌をミックス」という工程を踏み、通常の“10倍以上”の手間をかけて完成した。

一方、松任谷由実はAIを取り入れた理由について「50周年を過ぎて、次どこへ行こうっていう時に、誰もやってないことをやるべきじゃないかと思った」と語り、「燃えるタイプなので、喜んで被験者になろうと思った」と笑顔を見せた。

さらに番組後半では、「私くらいのキャリアと物量がないと、やっても意味がないと思う。レディー・ガガやビョークでも無理だと思う。私のキャリアの最高傑作です」と力強くコメント。その言葉に、スタジオ中から歓声が上がった。

このほか、岡村靖幸、武部聡志、原口沙輔らもスタジオに集結。実際にAIを使った曲作りを、実演を交えて解説している。

※『EIGHT-JAM』最新回は、TVerにて無料配信中!(期間限定)

※動画配信プラットフォーム「TELASA(テラサ)」でも配信中!

※番組情報:『EIGHT-JAM
毎週日曜 午後11:15~、テレビ朝日系24局(※一部地域を除く)