トヨタが18年ぶりに参戦!世界ラリー(WRC)が「世界最古のラリー」で遂に開幕
◆もっとも栄誉あるモンテカルロ優勝
WRC(世界ラリー選手権)の2017年シーズンがついに開幕する。
その開幕イベントとなるラリーは、伝統に従って、1911年に初めてラリーという言葉を用いて開催した「ラリー・モンテカルロ」。途中、戦争などでの中断はあったが、今年で85回目を迎える世界最古のラリーイベントだ。
ラリー・モンテカルロがある地は、世界の富裕層が集まることで知られるモナコ公国。アメリカの人気女優で、気品に満ちた「クール・ビューティー」と呼ばれたグレース・ケリーがモナコ大公レーニエ3世に見初められたことから、モナコの地名は一気に世界中に広まった。
グレース妃人気がどれほど凄かったかといえば、グレース妃の妊娠時、カメラマンから膨らんだお腹を隠したいと使ったバッグが一気に人気となり、フランスの服飾ブランドであるエルメスは、その商品名を「ケリーバッグ」に変更したほど。世の女性が憧れるケリーバッグはグレース妃がきっかけとなったことは、有名な逸話である。
また、モナコ公国は面積が約2キロ平方メートル(200ヘクタール)しかなく、世界で194番目という小さな都市国家。この200ヘクタールがどの程度の広さかと言うと、東京ディズニーランドと東京ディズニーシーを合わせた面積が約100ヘクタールなので、モナコ公国はその倍程度の広さしかない、ということになる。
当然、モナコ公国だけでラリー・モンテカルロを開催できるはずもなく、実際にはフランスの山岳地帯をメインに走行し、モナコ公国はスタートとゴール地点という役割となっている。
◆18年ぶりに参戦するトヨタに注目
伝統のラリー・モンテカルロ。昨シーズン限りでチャンピオンチームのVWが撤退したことで、2017年シーズンのWRCは、フォード、ヒュンダイ、シトロエン、そしてトヨタという4つの自動車メーカーによる争いとなった。
そして、日本はもちろんだが、現地でもおおいに注目を集めているのが、18年ぶりに参戦するトヨタだ。
なにしろ、ドライバーズチャンピオンシップ部門では、1990、1992、1993、1994年と4度タイトルを獲得し、マニファクチュアラーズ部門でも1993、1994、1999年と3度タイトルを獲得した名門チーム。人気も当然なのだ。
そして、ラリー・モンテカルロでのトヨタのカーナンバーは10と11になることが発表された。
◆雪上と舗装路を走るラリー
ラリー・モンテカルロは、4日間かけて17のSS(スペシャルステージ)を走行して勝負する。
コースは雪上部分あり、舗装路ありのコースで、こうした滑りやすい路面のコースは、ドライバーの腕前ももちろんだが、マシン性能も成績に直結する。
というのも、「トラクション」と呼ばれる、マシンを前に押し出す力がより効率的に行えるマシンは、加速が良いぶんタイムが速くなる。雪上や低い路面温度の舗装路では、このトラクションの良いマシンが圧倒的に有利となる。
果たして、どのマシンのタイムが良いのか。開幕までにマシン開発をしてきた各社の仕上がりが結果に表れるわけだ。
◆王者オジェは防衛できるか?
昨シーズンまでの事前予想であれば、関係者の全員が4年連続王者のセバスチャン・オジェ(フォード)が勝つ可能性が高いと予想しただろう。
しかし、オジェは2017年、VWではなくフォードに移籍して戦うこととなる。フォードのマシンは非常に仕上がりが良いといわれているが、しかし、絶対有利とは言い切れない。
つまり、有利な立場であることは間違いないが、ヒュンダイ、シトロエン、そしてトヨタに乗るドライバーにもチャンスがあるということ。
4つの自動車メーカーのマシンが、それぞれどんな走りをするのか。2017年シーズンの勢力図を見極めるラリーとなるのが、間もなくスタートするラリー・モンテカルロだ。
<文/田口浩次(モータージャーナリスト)>
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