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トヨタ、WRC復帰後初の連勝!ランキング2位に浮上【WRC:ラリー・ドイチェランド最終結果】

現地時間の8月19日、WRC(FIA世界ラリー選手権)第9戦「ラリー・ドイチェランド」のデイ4、最終日が開催された。

日曜日の午前7時49分にSS16からスタート。初日からトップを守り続けたトヨタのオット・タナックが、ラリー・フィンランドに続いて見事トヨタチームのWRC復帰後初となる連勝を飾った。

2位にはヒュンダイのティエリー・ヌービル、3位にはトヨタのエサペッカ・ラッピが入り、トヨタはラリー・フィンランドに続いて、1位と3位という2台のマシンが表彰台獲得となった。

©WRC

最終日、余裕をもって戦えると思われたトヨタだったが、いきなり波乱がチームを襲った。

各マシンがサービスパークを出発し、SS16へと向かう一般道で、エースドライバーであり総合3位につけていたヤリ‐マティ・ラトバラのマシンにトラブルが発生したのだ。

このトラブルによって、パドルによるギアシフトが行えなくなったラトバラのマシン。なんとかマニュアルシフトでSS16へのスタートラインへと向かったが、このトラブルはすぐに解決できないと判断して、無念のリタイアとなってしまった。

この結果についてスポーティングディレクターのカイ・リンドストロームは、SS16終了後にインタビューに答えた。

「技術的な問題からリタイアを選択しました。トランスミッションに関連するトラブルです。すべてをサービスでチェックして送り出したにも関わらず、リタイアとなってしまい申し訳ない気持ちでいっぱいです。しかし、残り2台のマシンを最後まで走らせなければなりません」と肩を落としながら語っている。

SS16を終えた時点で、トップはトヨタのオット・タナック、2位にヒュンダイのティエリー・ヌービルが浮上、そして3位にはトヨタのエサペッカ・ラッピが続いた。

残るステージは2つ。SS17ではタナックはステージ6位、ラッピはステージ7位と無理しない。チームのためにも、確実に勝利と表彰台を手にする走りへと切り替えていた。

そして、いよいよ迎えた最後のSS18。

SS18は、ドライバーズチャンピオンシップに加算があるパワーステージ。総合順位とは関係なく、トップを取れば5ポイントを獲得できる(※以下1ポイントずつ減算して5位までポイントを獲得できる)。

ここで力強い走りを見せたのは、王者セバスチャン・オジェ。前日のデイ3では、パンクという不運から総合2位の座を手放すことに。その分を取り戻すべく、最高の走りを見せた。

「小さなミスはあったけど、それ以上に幸運だったよ。僕のベストの走りをしたつもりだ」と、パワーステージを終えた王者オジェの顔は晴れやかだった。

そして3位に入ったトヨタのラッピも、SS18をステージ3位と力強く走り終えた直後、インタビューに答えた。

「いい気分だね。僕たちにとってはクリーンな週末だった。トラブルもなく、ドラマもなかったけれどね」(ラッピ)

淡々と走った結果として表彰台を獲得できたことに、チーム、そしてマシンのポテンシャルの高さが伺いしれた。

2位にはヒュンダイのヌービルが入った。パワーステージは5位。しかしながら、これでチャンピオンシップのリードも守った。

「このパワーステージもミスをしてしまったよ。この週末はなんというか、難しい週末だった。ペースもあったし、マシンにも自信を持っていたが、どうもうまく行かなかった。でも、チャンピオンシップはまだ戦っている最中だ。うまくやっていきたい」と、棚ぼたの2位に喜ぶことはなかった。

そして優勝は、トヨタのオット・タナック。パワーステージも2位と最高の結果を残した。

©TOYOTA GAZOO Racing

パワーステージ後、タナックはマシンに乗ったまま表彰式会場まで運転し、インタビューに答えた。

「これでチャンピオンシップ挑戦と言うには先は長いよ。でも、ここで勝ち、2戦連続で勝てたことは大きい。ここでは限界まで攻めた」と2戦連続勝利を喜んだ。

表彰式後、トヨタチームのスポーティングディレクターのカイ・リンドストロームは、「ターマック(舗装路)で勝てたことは素晴らしい。それだけにラトバラのトラブルは残念でした。タナックは本当に常に全力を尽くしてくれています。この勝利でチームにも良い影響があるでしょう。さらにみんな一丸となって次の勝利へと目指してくれるはずです」と語り、トヨタにとってはいよいよチャンピオンシップへの挑戦も見えてきたようだ。

 

◆トヨタ、2位に浮上。一気にチャンピオン争いの主役へ

©WRC

ラリー・ドイチェランドを終えて、ドライバーズチャンピオンシップは、1位ティエリー・ヌービル(ヒュンダイ)172ポイント、2位セバスチャン・オジェ(フォード)149ポイント、3位オット・タナック(トヨタ)136ポイント、4位エサペッカ・ラッピ(トヨタ)88ポイント、5位アンドレアス・ミケルセン(ヒュンダイ)65ポイント、6位ダニ・ソルド(ヒュンダイ)60ポイントと続く。

マニュファクチュアラーズタイトル争いは、1位ヒュンダイ254ポイント、2位トヨタ241ポイント、3位フォード224ポイント、4位シトロエン159ポイントとなった。

WRCは次戦、8年ぶりにWRC開催復帰となるトルコに会場を移す。

政治不安で色々と騒がれているトルコだが、現役トップドライバーは誰もここでの優勝経験がない。つまり、ほぼ同じ土俵で戦うことになる。各チームの実力、そして各ドライバーの実力を測るには最高のラリーイベントだ。

開催日は、9月13日から16日。トヨタが3連勝で一気にチャンピオン争いの主役へと躍り出るか――。日本のファンでなくとも注目したい一戦だ。<文/モータージャーナリスト・田口浩次>