トヨタ、1位と3位に!2戦連続ダブル表彰台へ【WRC:ラリー・ドイチェランドDAY3結果】
現地時間の8月18日、WRC(FIA世界ラリー選手権)第9戦「ラリー・ドイチェランド」のデイ3が開催。午前8時48分にSS8からスタートし、SS15まで8本のSSが行われた。
この日の注目は、王者セバスチャン・オジェからして「いまのトヨタのパッケージを打ち破るのは難しい」と言わしめた好調トヨタに挑むのは誰になるか、ということ。
これまでのトヨタはターマック(舗装路)では良い結果がなく、WRC復帰2年目にして、これまで得意としていたグラベル(未舗装路)に加えていよいよターマック(舗装路)でも速いとなると、チャンピオンカーへの道が完全に開けるということになる。
前日は6本のSSのうちトヨタのタナックが5本のSS最速タイムを叩き出してその速さを見せつけた格好だが、デイ3の8本のSSのうちトヨタが最速タイムを出したのは3本(ヤリ‐マティ・ラトバラ2本とエサペッカ・ラッピ1本)に留まった。
この日最多の3本のSS最速を記録したのはヒュンダイのダニ・ソルド。続いてシトロエンのクレイグ・ブリーンが2本、そしてフォードのオジェが1本という結果に。
前日トップだったタナックは、スタート直後のSS8の時点から右フロントの空力パーツがなくなっていて、本人は「影響はない」とコメントしていたが、WRC公式TVジャーナリストたちは「アンダーステアが出やすくなる」や「どうしてもコーナリングが大回りになるだろう」と予測していた。
少なくとも、通常どおりのマシンコントロール性を犠牲にしたことは間違いない。それでもトップを守り、2位のソルド(ヒュンダイ)に対して43秒7という大量リードを築いた。
この日苦しい走りとなってしまったのは、王者オジェ。2位スタートだったが、SS13でSSトップのソルドから1分13秒6も遅れてしまった。その原因はタイヤのパンク。SS13を終えたオジェは、首を振りながらインタビューに答え、「遅れた原因はパンクだよ。なぜパンクしたのかはわからない。これまでと同じ走行ラインだったし、ただパンクしてしまった。たぶん石か何かが原因だろうけど…」と不運に見舞われたことを悔しがった。
そしてSS15走行後、「とにかく自分が出せるだけの限界で走った。もう一分の余力も残ってないよ。この週末は難しい勝負になってしまったし、残念な結果だけど、ここで顔を下に向けるわけにはいかないよね」と最終日に向けて気力を振り絞ったことを語っている。
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王者オジェを襲った波乱の結果、この日の総合順位は、1位オット・タナック(トヨタ)、2位ダニ・ソルド(ヒュンダイ)が1位から43秒7遅れ、3位ヤリ‐マティ・ラトバラ(トヨタ)同44秒5遅れ、4位ティエリー・ヌービル(ヒュンダイ)同52秒5遅れ、5位エサペッカ・ラッピ(トヨタ)、6位アンドレアス・ミケルセン(ヒュンダイ)同1分50秒7遅れ、7位セバスチャン・オジェ(フォード)同1分51秒2遅れとなっている。
この日もトップを守ったタナックは、SS15の走行後インタビューに答えている。
「正直、今日も大変な戦いだった。最初から全開で攻めた。リードはあるけどそれを感じてはいない。ドライバーズチャンピオンシップに関しては残り7戦あるわけで、何が起きるかはわからない。だから、まずは明日をしっかり走りたい」と、勝利の先に年間王者の可能性が見えてきたことに対しても冷静に対応していた。
そして、シーズン前半は不運に見舞われていたトヨタのエース・ラトバラだったが、後半戦に入ると一気に本来の調子へと戻ってきた。この日は最後にSS最速を取り、2位との差も0秒8と最終日の逆転も見えてきたなか、インタビューにこう答えた。
「ここはプッシュしたよ。最初はマシンが外に振られてしまって、グラベル(未舗装路)にタイヤを落としたけれど、それ以降はいい感じだった。今日はずっと攻めて走ったし、自分でも良い感触だった。あと天候に恵まれているのも大きい。いつもよりずっと走りやすいよ」と、天候変化が多いラリー・ドイチェランドが珍しく快晴に恵まれているのは追い風となっているようだ。
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トヨタの連続優勝も見えてきた最終日。ラリー・ドイチェランドのデイ4は、SS16からSS18、合計3本のSSを予定。SS16の現地スタート時間は午前7時49分(日本時間は午後2時48分)を予定している。<文/モータージャーナリスト・田口浩次>