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【WRC】トヨタ連勝なるか。第9戦「ラリー・ドイチェランド」が開幕

現地時間の8月16日~19日、WRC(FIA世界ラリー選手権)の第9戦「ラリー・ドイチェランド」が開催される。前戦のラリー・フィンランドで圧倒的な速さを見せたトヨタ、ドイツの地でも強さを見せることができるのか注目が集まる。

©WRC

ラリー・ドイチェランドが開催されるのは、ドイツ西側にあるザールラント州とラインラント=プファルツ州にまたがった地域。フランスやベルギー、ルクセンブルクと隣接するあたりだ。ザールラント州に関しては、第二次世界大戦後にフランス統治下にあったため、いまもフランス文化や言語が残っている。

そんな歴史的背景があるからではないが、このラリー・ドイチェランドではフランス人ドライバーが圧倒的な強さを見せてきた。元世界王者のセバスチャン・ローブが8年連続を含む9度の優勝、そして現世界王者のセバスチャン・オジェが3度優勝している。それ以外のドライバーでは、2013年にダニ・ソルド、2014年にティエリー・ヌービル、そして昨年の2017年はオット・タナックが優勝を手にした。

©WRC

さらにラリー・ドイチェランドはターマック(舗装路)ラリーということもあり、順当に考えれば王者オジェが有利な立場に立ち、そこに速さを見せるヒュンダイのヌービル、そしてトヨタに移籍したタナックが勝負を挑むだろう。

さらに、ラリー・フィンランドで圧倒的な速さを見せたトヨタは3台ともがこのラリー・ドイチェランドでも優勝できるポテンシャルがある。というのも、ラリー・ドイチェランドが行われる地は、ヤリスWRCカーのエンジン開発を担当するTMG(トヨタ・モータースポーツ・有限会社)が本拠地を構えるケルンから近い。つまり地の利があり、最適なスペックのエンジン提供が可能だ。

しかし、ライバルたちも黙ってはいないだろう。とくにヒュンダイチームは、マシン開発拠点をドイツに置いており、ラリー・フィンランドにおけるトヨタと同じように、ラリー・ドイチェランドは第二の母国ラリー。前回精彩を欠いたラリー・フィンランドからの巻き返しを狙ってくるはずだ。

とくに現在ドライバーズチャンピオンシップでトップを走るヌービルは、並々ならぬ意気込みを見せる。

「ここは僕の母国ベルギーからも近く、多くのファンが訪れてくれる。そんな地に、チャンピオンシップをリードした状態でやってきたことは本当に気分が良い。ここでは、勝利のために自分のすべてを出し尽くすよ。すべてフルアタックするつもりだ」と、勝利への思いを語った。

そして、タイトル防衛のためにも、ここでヌービルに勝たせるわけにいかないのが王者オジェだ。

「前回のラリー・フィンランドでは、自分たちが求めていた速さが出せなかった。でも、ここラリー・ドイチェランドはすべてが違うイベントだ。ここで勝利を勝ち取って、再びチャンピオンシップで有利な立場にいきたいね」とヌービルに対してハッキリとライバル心を表している。

©WRC

一方トヨタの3台は、ラリー・フィンランドでの勢いそのままにラリー・ドイチェランドに乗り込んだ。

チームの公式リリースによる3名のコメントは以下の通り。

7号車ヤリ‐マティ・ラトバラ
「ラリー・フィンランドが終わってリラックスしていますし、良いフィーリングでラリー・ドイチェランドを迎えられそうです。引き続き好調を保ち、今年の終わりまで良いリズムで戦い続けられる事を期待しています。去年の時点で我々のクルマには既に高い競争力があったので、今年のドイツでもきっと速さがあるでしょう。畑の中の田舎道は狭く高速で、私にとってはとても楽しめるステージです。また、軍事施設内のステージにも良いセクションがいくつかあります。ただし、このラリーは天気が変わりやすいので、しっかりと準備をして臨まなくてはなりません」

8号車オット・タナック
「フィンランドで優勝した事もあり、ドイツに向けては高い目標を設定しています。これからは、ひとつひとつのラリーで最高の結果を得ることを目標に掲げ、その上で再び選手権争いに加わる事ができるかどうか見極めたいと思います。私は多くの異なるタイプの道にチャレンジする事が好きなので、ドイツでは毎年ラリーを楽しんでいます。このラリーでは天気の変化を読む力がとても重要です。なぜならタイヤ選択が大きな差を生み、私は去年正しいタイヤ選択もあって勝利を手にする事ができたからです。ヤリスWRCの舗装路でのパフォーマンスはとても高いので、優勝争いをするための条件がすべて整っている事を期待していますし、とても自信があります」

9号車エサペッカ・ラッピ
「ラリー・ドイチェランドはいつも、非常にチャレンジし甲斐のあるラリーです。雨が降る事が多く、1日の間にしばしばコンディションが変わります。コーナーのイン側をカットして走ると泥が路面にかき出され、それがラリーを難しくします。私は過去にこのラリーで苦戦しましたが、困難に立ち向かう事は好きですし、再び舗装路を走るのはとても楽しみです。ツール・ド・コルスでは良いクルマのセットアップが見つかり、スピードも十分にありました。ドイツは大きく異なるラリーではありますが、ツール・ド・コルスの時と同じように良い走りができる事を願っています」

©TOYOTA GAZOO Racing

トヨタドライバーたちも触れているが、ラリー・ドイチェランドは天候変化が多いことでも知られていて、天候に合わせたドライビングやマシンセッティング能力なども求められる。

木曜日のSS1は現地時間で午後7時8分スタート予定。日本時間では、17日金曜日午前2時8分スタートとなる。最初のSS1は2.04km。連勝を狙うトヨタのスタートに注目したい。<文/モータージャーナリスト・田口浩次>