大阪桐蔭、根尾&藤原のアベック弾で16強入り!史上初、2度目の春夏連覇へ前進
第100回のメモリアル甲子園は、激闘の連続だ。史上初となる2度目の春夏連覇を狙う大阪桐蔭は大会9日目の13日、沖学園(南福岡)に中盤まで粘られる苦戦も、最後は10-4で退けて16強入りを果たした。
点を奪っても、すぐ追いつかれる緊迫の展開。先発したプロ注目の二刀流・根尾昴内野手(3年)が8回を投げて、高校で初の被弾となる2本塁打を含む8安打を許した。それでも6回表に強力打線が4点を奪い、7回には根尾が自らバックスクリーンにソロ本塁打。
こちらも今秋のドラフト1位候補の4番・藤原恭大外野手(3年)が、負けじと8回に左翼席に放り込むアベック弾で、相手に引導を渡した。西谷浩一監督(48)は選手をねぎらいながらも「エンジンのかかりが遅いですかね」と反省を忘れなかった。
春のセンバツで2年連続優勝投手に輝いた根尾は、さほど不調だったわけではなさそう。この日最速148キロのストレート、スライダーなど変化球のキレはよかったが、少しでも甘く入るとしぶとい沖学園打線につかまった。
記念すべき100回目の甲子園で、相手は打倒・大阪桐蔭に執念を燃やしている。1回戦の作新学院戦(3-1)で完投、この日9回にリリーフした背番号1の柿木蓮投手(3年)と先発2枚がそろい、打線もスケールアップしたとはいえ、この先も厳しい戦いを強いられそうだ。
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6年前の2012年大会で春夏連覇したチームは、絶対エースの藤浪晋太郎投手(24=阪神)と1学年下の森友哉捕手(22=西武)のバッテリーを中心に、史上7校目の快挙を達成した。
藤浪は甲子園で調子を上げ、準々決勝以降の3試合はわずか1失点。「連覇の重圧はありましたが、大阪大会の決勝で履正社に10-1のリードから8回に一挙7失点して降板した試合で気が引き締まり、甲子園では油断なく投げられました」と振り返っている。
準々決勝は天理(奈良)に1失点完投、準決勝の明徳義塾(高知)、決勝は光星学院(青森)を連続完封と「怪物」ぶりを発揮して、全国制覇を遂げた。ハラハラした接戦、逆転ドラマがなかった分、甲子園特集の名勝負シーンでは紹介されにくいほど、強豪との連戦でも圧倒的な投球を続けた。
その藤浪がプロでも1年目から3年連続で2ケタ勝利をマークしたのに、2016年から次第に制球を乱すようになり、昨年は3勝、今年も2勝と苦しみ、日米でフィーバーを巻き起こす同期の二刀流・大谷翔平(24=エンゼルス)とは対照的な状態に。野球人生は、何が起きるか分からない。
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昨日13日の2回戦では、済美(愛媛)が星稜(石川)と壮絶な死闘を繰り広げた。8回に一挙8点を奪い、最後はタイブレークの延長13回無死満塁から、春夏で史上初となる逆転サヨナラ満塁本塁打で決着(13-11)。
今春から採用の延長タイブレーク制がもたらした結末には賛否両論あるのだが、星稜は1979年大会の3回戦で箕島(和歌山)に延長18回サヨナラ負け(3-4)、1992年大会の2回戦は明徳義塾戦で4番・松井秀喜氏が5連続敬遠され、2-3で惜敗した「悲劇」の歴史がある。
今回もMAX150キロの2年生エース・奥川恭伸投手らが足をつらせる不運に見舞われて敗北。開幕戦の始球式で、松井氏に誓った全国制覇はならなかった。
今大会は、他にも例年以上に波乱が目立つ。春のセンバツ準Vの智弁和歌山が初戦で姿を消して、昨夏準Vの広陵も敗れた。そんな中で、大本命の大阪桐蔭はスロースタートを修正して、再び頂点で輝くことができるか。
昨夏は3回戦(1-2仙台育英)で、9回に中川卓也一塁手(現主将)がベースを踏み損ねる“悪夢”で敗退も、今春のセンバツは見事にその借りを返して優勝。今夏の北大阪大会準決勝では、ライバルの履正社に9回2死からの逆転勝ちで、甲子園に勝ち上がった。修羅場をくぐり抜けてきた大阪桐蔭ナインに、油断はなさそうだが。