トヨタ、2年連続勝利!豊田章男氏も現地で歓喜【WRC:ラリー・フィンランド最終結果】
現地時間の7月29日、WRC(FIA世界ラリー選手権)第8戦「ラリー・フィンランド」のデイ4(最終日)が開催された。
優勝したのは、昨年に引き続きチーム本拠地があるトヨタ。今季加入したオット・タナックがラリー・アルゼンチン以来の2勝目を上げた。表彰台には今回観戦に訪れていた“モリゾウ”ことトヨタの代表取締役社長である豊田章男氏も上がり、最高の笑顔でWRC勝利の味を噛み締めた。
最終日は、SS20からSS23までの4ステージが行われた。
トヨタは総合1位にタナック、3位にヤリ‐マティ・ラトバラ、4位にエサペッカ・ラッピがつけており、ライバルたちの動向次第では表彰台独占の可能性も持ちつつスタート。
しかし、SS20でいきなり波乱が起こる。SS20を走行していたラッピが、10.8km地点で左コーナーをオーバースピードで侵入、曲がりきれずにマシンが横滑りすると、狭い林間コースということもあって後輪がコースの轍に落ちてしまい、そのまま車体はロールアウト。ゴロゴロと回転して止まった。
幸い、ドライバーとコドライバーは無事だったが、ここで昨年の覇者ラッピの母国ラリーは終了。この後、ラッピたちは歩いてSS終了ポイントに向かった。この結果にラッピ本人は、「チームやラリーファンに本当に申し訳ない。いまはただ、次のラリー・ドイツで雪辱を果たすとしか言えない」と肩を落とした。
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一方、北欧ドライバー同士で最後まで激しいつば迫り合いを見せたのが、2位に入ったシトロエンのマッズ・オストベルグと3位に入ったトヨタのラトバラだ。
結果として2位逆転はならなかったラトバラだが、オストベルグとの戦いはとても満足がいくものだったようだ。ラリー後に自身のSNSにも、「オストベルグおめでとう!素晴らしいバトルだった。彼らは本当に凄い仕事をやり遂げた」とツイートしライバルを祝福。
さらにチームに対しても、「この週末、どんどんマシンが良くなっていった。彼らの仕事ぶりに本当に感謝したい」とツイートしている。前半戦、運にも恵まれていなかったラトバラだが、この3位表彰台は後半戦に向けた大きな転機となりそうだ。
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ラトバラとの戦いを制して2位を守ったシトロエンのオストベルグ。最後のパワーステージでは2秒5のリードを持って挑んだが、そのリードは無きに等しかったことをラリー後に語った。
「リードは正直ないと思った。相手はもっともクレイジーな走りをするラトバラだ。彼ならどうにでもできるタイム差だった。ただ、最終日の僕たちは非常に力強く走れていて、ほんの僅かだけど、最初のステージでリードを稼げたのは大きかったと思う。その後もエキサイティングな戦いが続いて、僕はただ、自分ができる完璧な走りを目指した。たぶん、過去最高の走りができたと思う」と、ラトバラという相手だったこそ自身も最高の走りが引き出せたのだと敬意を示した。
そして、今季2勝目を挙げたトヨタのタナック。コース沿道には海を挟んだ母国エストニアの旗が数多く並び、母国ファンが応援に集まっていた。この声援を背に、自身最高の走りができたと語る。
「パワーステージを終えて、今日は本当にパーフェクトだったと感じることができた。金曜日は僕自身にとってはタフな1日だった。走行順などの問題もあって、コースのクリーニング役になってしまったりしたから。さらにエンジンがストップすることもあったしね。だから金曜日はとにかく自分ができることをすべて出しつくした1日だった。
土曜日以降、僕たちはリードを築くことができたこともあり、ラリーをマネージメントできるようになった。そして最後のパワーステージではトップを獲得して5ポイントのエクストラを得た。最高だし、パーフェクトな週末になったと思う。
今週はエストニア首相がこの地を訪れ、僕たちは応援を頂いた。正直、緊張してしまうほどのプレッシャーでもあったけど、同時に多くのファンを含めすごくサポートされていると感じられた。その結果として勝利を得られたことは本当に嬉しい」
このように、ファンやエストニア首相に対して感謝を語っている。
◆トヨタ、フォードと1ポイント差
結果ラリー・フィンランドの上位陣は、1位オット・タナック(トヨタ)、2位に32秒7遅れでマッズ・オストベルグ(シトロエン)、3位に35秒5遅れでヤリ‐マティ・ラトバラ(トヨタ)、4位に1分35秒6遅れでヘイデン・パッドン(ヒュンダイ)、5位に2分15秒遅れでセバスチャン・オジェ(フォード)、6位に2分19秒2遅れでティーム・スンニネン(フォード)と続いた。
王者オジェはチームオーダーを使い5位まで浮上。ポイントを稼いだ。
これによりドライバーズランキングは、1位ティエリー・ヌービル(ヒュンダイ)153ポイント、2位セバスチャン・オジェ(フォード)132ポイント、3位オット・タナック(トヨタ)107ポイントとなり、4位エサペッカ・ラッピ(トヨタ)70ポイント、5位ダニ・ソルド(ヒュンダイ)60ポイント、6位アンドレアス・ミケルセン(ヒュンダイ)57ポイント、7位ヤリ‐マティ・ラトバラ(トヨタ)55ポイントと続いている。
マニュファクチャラーポイントは、1位ヒュンダイ228ポイント、2位フォード202ポイント、3位トヨタ201ポイント、4位シトロエン153ポイントとなっている。
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次の戦いは、ラリー・ドイチェランド。8月16日から19日の開催予定だ。トヨタは引き続き好調な戦いを見せることができるのか、注目が集まる。<文/モータージャーナリスト・田口浩次>