トヨタのタナック、1位をキープ!ラトバラも3位に【WRC:ラリー・フィンランドDAY2結果】
現地時間の7月27日、WRC(FIA世界ラリー選手権)第8戦「ラリー・フィンランド」のデイ2が開催された。
すでに7戦を終えて、シーズンは残り6戦。ここラリー・フィンランドは、後半戦の行方を占う重要な一戦となる。SS2からSS11まで、10箇所のSSで戦いは行われた。
金曜日を終えてトップは、初日に引き続きトヨタのオット・タナック。2位には5秒8遅れのマッズ・オストベルグ(シトロエン)、3位には23秒1遅れでヤリ‐マティ・ラトバラ(トヨタ)が続き、ラリー・フィンランドは北欧ドライバー有利という下馬評通りの展開となっている。
その後ろは、4位に36秒4遅れでヘイデン・パッドン(ヒュンダイ)、5位に46秒1遅れでティーム・スンニネン(フォード)、6位は58秒9遅れで王者セバスチャン・オジェ(フォード)、7位は1分1秒1遅れでエルフィン・エバンス(フォード)、8位は1分1秒4遅れで昨年の勝者エサペッカ・ラッピ(トヨタ)と続く。
トップ3ドライバーはラリー後のインタビューに答えたのだが、3位に浮上したトヨタのラトバラは、好成績に見えるが本人としては想定よりも悪い1日だったようだ。
「母国ラリーだし、勝利を目指しているが、昨年より正直難しいスタートとなった。マシンはコーナーでもっといい感じにしたい。アンダーステアが出てしまうんだ。酷いときは横滑りだ。それだとスピードが落ちてしまう。だから、明日に向けてセッティングを見直して、よくなるようにしたい。今日トップのタナックは素晴らしい走りをしたよ。2位のオストベルグもね。まずは明日だ」と、マシンの感触が自分が思っていたのとは違うことを少し残念に思っていたようだ。
2位となったマッズ・オストベルグは、笑顔が溢れる。
「マシンはすごく速い。チームは素晴らしい仕事をしてくれた。僕が欲しかったマシンそのものだよ。僕は以前よりチームと一緒にいる時間が増えた。仕事をさらに一緒にすることで、それがマシンにも良い方向に現れているんだ。マシンもマネージメントもほぼ完璧だし、僕のエンジニアたちの意見も素晴らしい。この調子で明日も速く行きたいね」と、いまの環境に満足しているようだ。
シトロエンは、エースドライバーだったクリス・ミークをシーズン中に解雇し、マッズ・オストベルグをレギュラードライバーに迎えた。この判断は正しい方向に進んでいるようだ。
そしてトップに立ったタナックは、「自分たちが選択したものがすべてハマった感じだ。ただ、路面は少し滑りやすく、途中エンジンを止めてしまうミスもあった。でも、それは大きな問題じゃなくて良かったよ。マシンは新エンジンが投入されて、それがすごく感触がいい。このままリードを広げたいけど、このレベルの戦いは、そんな簡単じゃない。それと、スタート順も重要だったりする。全員が同じ路面条件で走るわけじゃないからね。とにかくベストを尽くすよ」と語り、ラリー独特のスタート順による走行条件の違いを懸念材料としていた。
この金曜日の主役は、トヨタのタナックとシトロエンのオストベルグだった。
タナックはSS3までトップを守るが、SS4で総合トップをオストベルグに譲ると、SS5で再びトップ、SS6はオストベルグが奪い返すなど、この2人のドライバーによるトップ争いが続いた。その少し後ろで、トヨタのラトバラが追いかけていく展開だ。
また、その後ろでは冷徹なチームオーダーが下されていた。総合6位の王者オジェ、そして総合7位となったエバンスというフォード陣営の作戦だ。
チャンピオンシップを争うオジェの成績を優先し、エバンスには遅く走るようオーダーが下ったのだ。SS10走行後にそれを聞かれたエバンスは、ただ苦笑いするだけで、その質問に答えることなくインタビューを終えた。
ラリーシーズンも後半戦、非情な決断も今後は増えていくだろう。
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ラリー・フィンランドのデイ3は、SS12からSS19、合計8本のSSを予定。SS12の現地スタート時間は午前8時13分(日本時間は午後2時13分)を予定している。<文/モータージャーナリスト・田口浩次>